放課後児童クラブの職員配置は?

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所も一部が含まれます)に配置される職員の人数については確たる決まりはありありませんが、およそ児童数40人に対して職員2人という想定がされています。

 児童クラブに配置する職員数については2つの「モノサシ」があります。1つは国が定めているもので、厚生労働省が出している決まり(省令、といいます)によると、放課後児童クラブには放課後児童支援員2人を配置すること、そのうち1人は補助員でも構わないとしています。しかもこの決まりは、市区町村が省令を参考に条例を制定するときに参考とするようにしています。参考であって「絶対」ではないことに注意が必要です(これを「参酌基準」といいます)。

 実は2015年からしばらくの間、放課後児童クラブには「必ず」放課後児童支援員2人(うち1人は補助員でも可)を配置するよう国は市区町村に強制していました。ところが、放課後児童支援員を雇用することが難しい地域から反対があり、内閣府が主導する地方分権改革によって、2020年から2人配置が義務ではなく参酌化されたという経緯があります。これが先に述べた1つ目のモノサシですが、今も多くの市区町村は、条例において、放課後児童支援員2人(うち1人は補助員で可)を義務としています。これが2つ目のモノサシです。

 よって、命題の回答としては、「放課後児童クラブの職員配置は、放課後児童支援員という資格がある人を2人、ただし1人は補助員(無資格者)にしても良い、という基準を守っている市区町村が多数派ですが、条例によってこれとは違う基準を設けている市区町村もあります」という内容になります。

 保育所のように、児童クラブの児童数何人につき職員を何人配置しなければならない、という国の決まりはありません。児童クラブは省令によって「おおむね40人」が児童数として示されていますので、児童数40人について職員2人と実質的な基準が存在することにはなります。また、児童クラブを運営する企業や団体が独自に配置基準を設けて運用している例はあります。

 児童クラブの職員はただ子どもの相手だけをするわけではなく、運営業務や連絡業務など種々の業務がありますから、児童5人に対して職員1人ぐらいの配置基準でないと、とても満足な児童クラブにはなりません。おおむね40人の児童クラブなら職員8人程度が必要となります。
 また、国は、児童クラブに交付する補助金の額を、放課後児童支援員の配置の人数によってその金額に差をつけています。放課後児童支援員が2人配置されている児童クラブが一番多い額の補助金をもらえるようにしており、政策的に、有資格者の配置を後押ししているといえるでしょう。
 一方で国は(こちらは内閣府ですが)、有資格者の配置数を減らしたことで地方が喜んでいますよ!という事例を紹介しています。当然ですが、資格がある職員が勤務している人数が減れば子どもへの対応について不十分な点が出てきます。配置数が減って喜ぶのは、有資格者を確保できず苦しむ市区町村や事業者だけで、従事する職員数が減って1人あたりの仕事量が増える現場職員は基本的に歓迎できないことです。なぜ有資格者を確保できないかといえば、求人に応募する人が期待できない低賃金で募集しているからであって、それは市区町村が児童クラブに投入する予算の少なさが原因です。ここを改善しない限り、児童クラブで働く人は今後も増えないでしょうから配置基準を改善しても意味がありません。
 まずは、児童クラブで働きたいという優れた資質を持った人が増える魅力的な雇用条件を提示できる業界に変化することが必要です。そうでなければ、他の職業では通用しないような、社会人としてふさわしくない、放課後児童支援員の資質にふさわしくない者が職員として働く可能性を広げてしまいます。
運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)