放課後児童クラブの職員数を減らせませんか?児童数人なら職員1人でいいと思いますが。

 放課後児童クラブ(児童福祉法に規定されている放課後児童健全育成事業を実施する施設のこと。学童保育所もその多くが該当します)には、厚生労働省令や各市区町村の条例によって、配置するべき職員数が定められています。

 とはいってもその基準は緩やかで、「支援の単位」という児童集団(1つの児童クラブや、複数のクラスがある場合はその1クラスにおおむね該当)ごとに、「放課後児童支援員」という資格を持っている人2人以上を配置すること、ただしその1人を除いて他の人は補助員(つまり無資格者)でも構わない、となっています。つまり、児童クラブを開設している時間帯には必ず1人の放課後児童支援員が必要ですよ、ということです。これはあくまでお手本の基準であって、そうしないことでも可能です。ただしその場合は、国が交付する補助金は大幅に減らされる一種のペナルティはあります。

(参考:放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準 第十条 放課後児童健全育成事業者は、放課後児童健全育成事業所ごとに、放課後児童支援員を置かなければならない。2 放課後児童支援員の数は、支援の単位ごとに二人以上とする。ただし、その一人を除き、補助員(放課後児童支援員が行う支援について放課後児童支援員を補助する者をいう。第五項において同じ。)をもってこれに代えることができる。)

 では、「クラブに登所する児童が3人ぐらいでも職員は2人以上いなければならないの?」という問いがあったとしたら、答えは「その通り。例外を除いて2人以上必要です」というのが答えです。例外とは、もともと児童数が少ない小規模施設の場合や、補助金の減額を受け入れるうえで条例で2人以上の基準を緩和している場合です。

 なぜ児童数が少なくても2人以上必要なのか。実に簡単です。登所している児童が2人だとして職員が1人だけ出勤したとします。1人の子どもがけがをして病院に搬送する必要がある。職員は児童を保護者の代わりに監護していますから病院に行きますが、もう1人の子どもをクラブに留守番させますか?それはできません。職員が2人いれば対応できます。

 これは例ですが、児童クラブで子どもがけがをすることは案外に多いので、充分にありえることです。児童数が少なければ職員数も少なくていいでしょう、という考え方の根本には「児童クラブの職員は子どもを見守ること、子どもを預かること」という意識が横たわっています。そこが間違っています。児童クラブにおける子どもの託児機能はあくまで外形的なものであって、事業の本質は、子どもの生活を支え、支援することで子どもの成長(社会性や心理面)を支えることです。その手段として遊びがあったり集団生活があります。ただ付き添っている大人ではありません。付き添いだから1人でいいだろう、という考えになりがちですが、そもそもの基本的な出発点が異なっていることからの理解がないと、「なぜ児童数が少ないのに職員は2人以上必要なのかが分からない」という問いへの解答の理解もおよそ難しいのです。

  (運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)