放課後児童クラブの職員になるには?

 放課後児童クラブ(地域によっては学童保育所や、学童クラブといった様々な名前が付いています)で働くためには、様々な方法があります。
(1)正規職員(常勤職員とも)を目指す場合は、資格が必要となる場合がほとんどです。その資格とは「放課後児童支援員」という都道府県知事の認定する公的な資格です。この資格を得るには、「すでに保育士である」「すでに各種教員免許を持っている」「すでに社会福祉士である」などのほか「福祉や芸術、教育、体育、社会学などを学ぶ大学や短大の学部や学科を卒業した」、「無資格でも放課後児童クラブで2年間2千時間以上の実務経験がある」などの条件を満たす必要があります。例えば、教員免許は持っていないけれど大学でスポーツ系の学部学科を卒業した、という人ならば、お住まいの都道府県や指定市、中核市で実施している「放課後児童支援員認定資格研修」に参加することができ、だいたい4日間36時間の学科を受講すれば、放課後児童支援員の資格を得られます。その資格があれば、正規職員、常勤職員として採用される可能性は極めて高くなるでしょう。

(2)資格がない場合は、「無資格でも正規職員、常勤職員を募集」という事業者を探しましょう。実はかなりあります。放課後児童クラブの世界は他の業種よりはるかに厳しい人手不足です。資格を持っていない人手もフルタイムの勤務が可能としている事業者はあります。ただその場合、収入が下がることは覚悟しなければなりません。放課後児童クラブの世界はこれまたただでさえ給与が低い業界ですから、無資格の場合はさらに給与が低い、手取り15万円前後になる可能性を考慮する必要があります。ただ、それでも2年間、なんとか働けば、放課後児童支援員認定資格研修に参加できる条件をクリアして資格を手に入れられます。

(3)非常勤の補助員から始める。補助員とは、放課後児童クラブの世界において、放課後児童支援員の資格を持って働いている人以外のことを指します。非常勤の補助員とはいわゆるパート、アルバイト職員ですが、パートやアルバイトであっても放課後児童支援員の資格を持っている人はごく普通にいますし、上記(2)の場合は正規職員、常勤職員であっても資格がないので「補助員」扱いとなります。つまり、放課後児童支援員の資格を持っていないパート、アルバイトということです。これであれば、ほとんどの児童クラブで常時、職員を募集していますから、自分の望む条件に一番近い事業者を選んで働くことができます。これであっても2年間2千時間以上の実務経験を積めば、資格を手に入れられる条件をクリアできます。ただし、週3日の勤務であれば、2千時間をクリアするには2年では足らず、もっと長い期間が必要となるでしょう。

 放課後児童クラブは常に慢性的な人手不足ですから、就職すること自体は非常に容易です。求人広告には「未経験でも大丈夫」や「子ども好きな人歓迎」、あるいは「子どもの笑顔に癒やされる仕事です」といった、いかにも魅力的な文言がつづられていることが多いです。しかし、現実の児童クラブの仕事はまったく簡単でもないですし、キラキラ輝いた楽しいだけの仕事ではありません。種々の要因でストレスをためた子ども達の暴言や乱暴な行為に傷つき、保護者からは一方的な要求を受けることもあり、クラブ運営事業者は現場クラブの要望をなかなか聞き入れないという、しかも労働の質と量に比べて極めて低い報酬額と、雇用労働条件としては他の多くの業種の中でも極めて厳しい条件にあります。就職するのは非常に楽、ということはそういう現実が隠されている、ということでもあるのです。それでも、折々に感じる子ども達や保護者からの感謝、笑顔が実に励みになることは間違いありません。

 なお、市区町村が運営している、いわゆる「公営」クラブの場合は、市区町村が募集している会計年度任用職員に応募することになります。民間事業者の求人とは異なりますので、詳細は市区町村の市役所、役場に問い合わせて下さい。

(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)