放課後児童クラブの昼食提供ばかり注目されますが、まず「おやつ」の充実を。おやつは絶対重要!おやつ大募集!
放課後児童クラブ(学童保育)運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。2023年から放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所の中核的な存在です)における昼食提供が一気に拡大しています。しかしその陰で、おやつの提供の重要さについてはまったく注目されていません。今こそ社会に問います。児童クラブにおける「おやつ」こそ重要であるということ。よって、おやつ情報を大募集します。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<児童クラブにおける、おやつの立場>
放課後児童クラブを運営するにあたって、国が目標とするべき運営の水準を示している「放課後児童クラブ運営指針」には、しっかりとおやつについて記載されています。以下に紹介しますが、ここまで丁寧に記載されている以上、児童クラブでのおやつは不動の地位にあるはずです。
「第3章 放課後児童クラブにおける育成支援の内容」の「1.育成支援の内容」の「(4)子どもにとって放課後児童クラブが安心して過ごせる生活の場であり、放課後児童支援員等が信頼できる存在であることを前提として、放課後児童クラブにおける育成支援には、主に次のような内容が求められる。」として、次のように記載されています。
「⑦ 子どもにとって放課後の時間帯に栄養面や活力面から必要とされるおやつを適切に提供する。
・ 発達過程にある子どもの成長にあわせて、放課後の時間帯に必要とされる栄養面や活力面を考慮して、おやつを適切に提供する。おやつの提供に当たっては、補食としての役割もあることから、昼食と夕食の時間帯等を考慮して提供時間や内容、量等を工夫する。
・ おやつの提供に際しては、安全及び衛生に考慮するとともに、子どもが落ちついて食を楽しめるようにする。
・ 食物アレルギーのある子どもについては、配慮すべきことや緊急時の対応等について事前に保護者と丁寧に連絡を取り合い、安全に配慮して提供する。」
つまり、運営指針は、放課後児童クラブで行われる育成支援に求められる内容として「おやつ」を挙げており、そのおやつについて、「栄養面や活力面から必要とされるおやつを適切に提供する」とあります。提供することが当然である、といってもいいほどの書きぶりですね。
「放課後児童クラブ運営指針解説書」には、もっと踏み込んで記載があります。
「おやつの時間は、子ども同士が、一緒になごやかに楽しむひと時でもあります。ゆったりとした雰囲気で仲間とともにおやつを楽しむことは、子どもにとって生活の場である放課後児童クラブにおいて、とても大切なことです。」
とても大切と記載されています。放課後児童クラブにとって、おやつは、欠かせないものです。
<実際は?>
ところが放課後児童クラブでは、おやつを提供しない地域があります。また、施設や事業者はおやつを準備せず、利用する世帯がおやつを準備し、事前にクラブに届けておく、あるいは持参するという仕組みの地域もあります。私が進めている「全国市区町村データーベース」で最近とりあげた地域だけでも、山梨県中央市、長野県茅野市、愛知県知多市が、施設としておやつの提供をせず利用世帯側が持参する方式でのおやつ提供となっています。
「保護者が自分で持ってきていたとしても、子どもはクラブでおやつを食べられるから、おやつ提供が実施されていることには違いはない」というのは、私に言わせれば屁理屈です。「施設が、子どもに、提供してはいないよね?」ということですから。先の運営指針の書きぶりでは、栄養面や活力面について児童クラブ側の配慮を求めています。つまり、おやつを提供するのが施設側なのだから栄養面や活力面について考慮して提供しなさい、ということです。家庭から持参させたおやつをクラブで食べるというのは、運営指針が求めている、おやつの提供とは意味が異なります。
先の「放課後児童クラブ運営指針解説書」には「おやつの内容等については、保護者に伝えることが望まれます」とあります。これはもう、施設側がおやつを準備して提供することを国が想定していることと断言できます。
たとえ、放課後児童クラブは地域の実情に応じて行ってよいと児童福祉法に規定されていても、放課後児童クラブの目標とするべき内容として国が掲げている事項については、市区町村は遵守するべきです。運営指針にて示されている内容を実施できるように努めるべきなのです。
「おやつは施設からは出しません。各自、家庭から持参してください」と利用世帯に求めることは、重度の食物アレルギーなど特別な事情を除いては、私は市区町村や児童クラブ運営事業者の怠慢であると断じます。私は、おやつの提供がまだまだ不十分な状態で、昼食の提供について自治体が注目してそちらを先に進める流れができつつあるように思えて、大変残念です。
こども家庭庁は、昼食提供を推し進めると同時に、「おやつの、事業者からの提供」を市区町村に強く求めるべきでしょう。どういうおやつを提供しているか、その調達や調理の方法と、おやつそのものの内容について、好事例を集めて各市区町村に通知するべきでしょう。
保護者の方々も、おやつの重要性を改めて考え直してください。保護者や一般社会の人々は、児童クラブにおける種々の事項について、いまの自分たちの基準や感覚で物事を判断してしまうことがありますが、こと「おやつ」については、自分の感覚で判断してはなりません。おやつは、午後の仕事の緊張をいったんほぐすための午後3時ごろの息抜きの時間、甘いお菓子や飲み物を楽しむ時間という理解でしょう。そのこと自体はいいんです。先に紹介した、運営指針の解説書の中身がまさにそのことです。
ただし、それだけではないのです。運営指針には「発達過程にある子どもの成長にあわせて、放課後の時間帯に必要とされる栄養面や活力面を考慮」とあるように、育ち盛りの子どもに栄養を補給するという役割があるのです。大人の場合なら栄養はほぼ十分にとっているでしょうが、子どもは家庭や給食だけでは栄養が足りない面もあるのでその補充をしますよ、ということです。そしてそのおやつの内容は、ちゃんと事業者が工夫しなさいよ、ということです。単に甘いお菓子、子どもが好き好んで食べるお菓子ではダメですよ、といっているのです。
おやつが施設側から提供されていない児童クラブにお子さんが通っている、あるいはそもそも、おやつが提供されていない児童クラブにお子さんが通っているのであれば、保護者は市区町村や事業者に対して「運営指針にあるように、施設側がしっかりと、おやつを提供してください」とぜひ、声を上げてほしい。運営支援はそう願います。
<どんなおやつにしていますか?どういうおやつを子どもたちは楽しんでいますか?>
児童クラブにおけるおやつを実務面から考えると、複数の要素のバランスを考えてその施設、運営事業者として最適なおやつを提供することになります。要素としては次のようなものあります。
・費用。おやつのために使える予算、金額
・マンパワー。おやつ準備、調理、購入、提供のために投入できる職員の労働力
・調理施設。おやつを自施設で調理するときの設備面。IHやガスなどのコンロの数や火力、調理スペース、食材の保管の能力(冷蔵庫、冷凍庫の大きさ、保管庫などの有無、大きさ)
・児童数。あまりにも児童数が多い大規模児童クラブ状態では、おやつを子どもたちに配膳するだけでも一苦労。
・児童クラブの施設。児童数に比して児童クラブが狭いと、ギュウギュウ詰めの状態で子ども達がおやつを食べざるを得ない。それを回避するには時間差のおやつ提供や、別場所でのおやつ提供も考えるが、そのために適したおやつメニューが必要となる。
・食物アレルギーによる特別な配慮が必要な児童の人数。いまや食物アレルギーへの配慮が必要な児童はごく普通に入所在籍しているが、その人数があまりにも多くなる場合はおやつの提供方法や、おやつの内容についても考慮が必要。除去食調理の対応ができない自施設調理は困難となりがちとなる。
・保護者や自治体の雰囲気。「おやつの提供はいらない。夕食の邪魔になる」「おやつはいらないからおやつ代だけでも安くしてほしい」という雰囲気が全体を支配しているとおやつ提供は後ろ向きになる。
日々、おやつをすでに提供している児童クラブは、意識しているかしていないかは別にして、上記の要素を織り込んで子どもたちにおやつを準備し提供する業務をつつがなく実施しているのですね。このことは、保護者さんも行政担当者も、事業者、より正確に言えば各クラブの職員の日々の工夫と苦労に対して、ぜひとも敬意を表していただきたいと運営支援は考えます。
では、児童クラブにおいては、どのような工夫で、どのようなおやつを提供しているのでしょうか。運営支援はぜひとも知りたいですし、児童クラブを利用する子育て世帯にも興味が必ずあるでしょう。よって、運営支援ブログでは、次のことについてぜひとも全国のみなさまから情報を募集します。
「うちのクラブのおやつ大自慢!」として、情報を運営支援ブログにお寄せください。お寄せいただいた内容を運営支援ブログで公表して全国に発信します。情報は info@aiwagakudou.com へお送りください。
「おやつ大自慢」でお寄せいただきたい情報は次の通りです。おやつは、自施設調理、手作りとは限定しません。コアラのマーチでもいいんです。たけのこの里だっていいんです。人気の市販のおやつ情報も、ぜひとも欲しい情報です。
・おやつの名前、内容。例えば「シャカシャカパン」「チョコバナナ」など。
・おやつを調理または加工する場合は、その大まかな手順を。「食パンを数センチ四方に切る」など。
・おやつ準備に必要な時間や人数
・おおよその、おやつ1人分の費用。
・クラブの調理施設の状況。例えば「IHコンロが2つ。大き目の冷蔵庫が2つある」など。
・おやつに関わる職員について。例えば「パート職員2人が主に携わっています」
・アピールポイント。例えば「シャカシャカパンは、切ったパンを粉にまぶすだけですけれど、ココア味やチーズ味など子どもたちの好きなフレーバーで楽しめるので大人気です」ということなど。
また、実際にできあがったおやつの写真も添えていただけると、なおありがたいです。上記の情報は全て揃っていなくても構いません。ご提供、お分かりの範囲で構いません。
クラブ名は実名がありがたいですが、諸事情で「埼玉県内の民設民営クラブ」という表記でも構いません。できれば事業者、クラブ名を公開していただければ、という程度です。
(なお、ブログでの公開はしませんが、「おやつを提供したい、こういうおやつにしたいのに、反対や困難な事情があってできません!」という困った情報についても、ぜひ運営支援にお寄せください)
児童クラブに、おやつは必要。おやつはクラブで用意します!を、児童クラブの当たり前の常識にしましょう。運営支援ブログでぜひとも、おやつ盛り上げのためにおやつ情報をどんどん提供できればありがたいです。
<おわりに:PR>
弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。
☆
弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。
☆
放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。
☆
放課後児童クラブを舞台にした小説を完成させました。とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子ども達の生き生きと遊ぶ姿や様子を描いた作品ではありません。例えるならば「大人も放課後児童クラブで育っていく」であり、そのようなテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。出版にご興味、ご関心ある方はぜひ弊会までご連絡ください。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。ぜひご連絡、お待ちしております。
☆
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆
(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)