放課後児童クラブと放課後等デイサービスの違いは何ですか?

 放課後児童クラブ(児童福祉法に規定されている放課後児童健全育成事業を実施する施設のこと)と、放課後等デイサービスは、ともに児童福祉法に定められていますが、その内容は大きく異なります。

 放課後等デイサービスは、「支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通 じ て、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図る」(厚生労働省のガイドライン)と、その基本的な役割について説明されています。
さらに「子どもの地域社会への参加・包容(インクルージョン)を進めるため、他の子どもも含めた集団の中での育ちをできるだけ保障する視点が求められる」ことと、「保護者が障害のある子どもを育てることを社会的に支援する」という目的があります。特に後者、保護者の支援については、「子育ての悩み等に対する相談を行うこと」、「家庭内での養育等についてペアレント・トレーニング等活用しながら子どもの育ちを支える力をつけられるよう支援すること」、「保護者の時間を保障するために、ケアを一時的に代行する支援を行うこと」の3点が具体的に示されています。

 一方、放課後児童クラブは、保護者の就労等で不在の留守家庭の児童に対して、生活及び遊びの場を提供し、児童の成長を支援しつつ保護者の就労等を保障する、という役割があります。放課後児童クラブでも、障がいのある児童を受け入れますが、一般的には、より専門的な療育、発達支援を提供する場が放課後等デイサービスである、という考え方で運営されています。

 そして放課後等デイサービスと放課後児童クラブは連携して子どもの最善の利益を保証するよう活動することも、求められています。

 かねて問題となっていることに、専門的な療育、発達支援が必要な児童でありながら放課後児童クラブ(学童保育所を含む)の入所を求める世帯が後を絶たない理由として、保護者の就労支援について放課後等デイサービスが明確にその使命として位置づけられていないことがあります。つまり、放課後等デイサービスは午後5時~6時に入所児童を家庭に帰すので、フルタイムで働きたい保護者のワークライフバランスになかなか合致しにくいということがあります。最近では児童を受け入れる時間を伸ばしている放課後等デイサービスがかなり増えてきたのでその点については解消されつつあるようですが、午後7時まで児童が過ごせる施設が増えている放課後児童クラブとはまだ差があります。両者を併用する世帯もあります。

 児童クラブ側にも、専門的な支援を必要とする場面において、その専門性をしっかりと学んでいない職員が多いなど、障がいのある児童の支援に必ずしも適切ではない態勢であるクラブが多いという問題があります。また大規模状態のクラブが多く、国がいくらインクルージョン保育を進めても現実的にクラブで過ごすことが苦痛である子どもが大勢います。環境を改善しないで理念だけ先行しているのが現状ですから、児童クラブ側の環境改善、つまり子どもが過ごしやすい環境の整備と、専門的な発達支援の知識と技術を持った職員を継続して雇用できる人件費補助制度の確立こそ急務であるといえます。

(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)