放課後児童クラブで過ごした経験がある人は、大人になって何か振り返るものがあるのかな。そんな調査がほしい。
学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。なんだかんだで、パリ五輪での選手たち、アスリートたちの奮闘にはしみじみと感動させられます。メダルを獲れた人も獲れなかった人もいますが、だいたい五輪に出られることだけで、どえらいすごいことなんですよね。超人たちを見るたびに、放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)を過ごした経験を持つ人、いわゆる「学童っ子」は何か特徴や強みがあるのかなと気になっています。
※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。
<児童クラブを利用する子どもは増えている>
日本の子どもたちの多くが放課後児童クラブを利用するようになっています。小学1年生ではおよそ5割近くが児童クラブに通います。まあ、6年生になると全体の3パーセントまで減りますが、児童クラブの「量=受け入れ可能人数の増加」の整備が進めば、高学年の児童クラブ登録率も増えていくことでしょう。参考までに、運営支援がまとめた登録数データを掲載します。
小学校の低学年のうちだけの1~2年間程度ではなく、小学5年生や6年生まで、小学校生活のほとんどを児童クラブに在籍していた人を、私は学童っ子だと考えています。自分で進んでクラブに行きたかったのか、半ば無理やり親の意向でクラブに通っていたかどうかもまた差があるのですが、「クラブが好きで、自分の意志でクラブに通うことを選んでいた子ども」のことを「真・学童っ子」と勝手に定義しましょう。クラブが好き、というのは友達同士、あるいて低学年との交わり、クラブの先生、クラブで過ごす時間、それらいろいろな要素が好きだということですね。
現状、放課後児童クラブは実に多種多様な事業内容がそれぞれの事業主の方針によって展開されています。大雑把に分ければ次のようになるでしょう。
・各種体験提供型=事前のプログラムやスケジュールで各種の活動内容を行う。
・学習支援重視型=学習時間をしっかり確保して学校の宿題だけではなく予習復習、成績向上を視野に入れる。
・遊び重視型=放課後児童健全育成事業にある「適切な遊び」を重視した内容。
もちろん上記3種を取り混ぜて過ごす時間を持つクラブもあるでしょう。この3種に優劣は付けられません。それぞれに子どもの希望や保護者の意向に適合して存在しているのであれば、向き不向きはあってもその事業内容に優劣は付けられないものだと私は考えています。
ただ、大事なことは「子どもに、無理強いするような時間の過ごし方をするようなクラブであれば、子どもにとって意義はないだろう」ということです。それは、子どもにとってそれこそ刑務所のような時間の過ごし方になってしまいますからね。
<学童っ子は社会でどれだけ成功する?>
私はとても気になっています。もちろん、児童クラブで長時間過ごした経験を持つ、それが影響して、つまり相関関係があって大人になってから物事がうまくいっている、ということを立証したり証明したりすることはほぼ不可能でしょう。ただ、どうしても気になるのですね。児童クラブで、子どもが、自分がやりたいこと、したいことに夢中になって過ごした経験を持っている子どもが、中学や高校、専門学校や大学で、どう他者との人間関係を構築して過ごしているのか、社会人になってどれだけ仕事において成果を出しているのか、そういうことがまったく分からないものだろうかという思いがあります。児童クラブにおいて、子どもが主体性や自主性をのびのびと育てることができた場合、大人になって、何か好影響をもたらすことはないのか、と考えるのです。
オリンピックアスリートは、才能をさらに伸ばすとか、あるいは足りない才能を練習や工夫で補っていく、そういう努力を日々積み重ねてその場所に立てているのだろうと思うと、何かしら、そういうことができるようになったことの要因はあるのではないかなと私は思います。別に五輪という極めて特別な場ではなくても、職場で、学校で、人が生き生きと、伸び伸びと活動したり過ごしたりできるようになるために、何か児童クラブで過ごした経験が反映されていないものだろうかと感がるのですね。
ぜひ、大学の世界で、そういった研究をじっくりを行って結果を社会に発表してほしいと期待します。学童っ子が大人になったら、こういうことが傾向として目立つと考えられなくもない、という程度のものでもいいので。私の行っているこの運営支援という事業が、奇跡的に何らかの稼ぎを得られるようになったら(本が売れるとか、講演にいっぱい呼んでいただけるとかで)、そういう地道な研究を行う方へ資金援助をしたいと常々、考えています。
私の個人的な感覚でいえば、高学年までの比較的長い間、児童クラブに通っていた自分の周りの子どもたちを見ると、みな、大人になってそれぞれ元気に過ごしています。だからといって児童クラブに通っていない子と比べて客観的に充実した毎日を過ごしているかどうかなんて、分かりません。ただ、あくまで「個人の幸福感、幸福度」でもいいので、学童っ子と、そうでない人との、ある時点における、人生の幸福度や充実度について比較できる調査があればいいのに、と思います。
<ぜひ調べて発信しよう>
児童クラブそのものはもう何十年も前から存在している仕組みです。今ほど登録率は高くなかったとはいえ、児童クラブで過ごした記憶を持つ大人は大勢いるでしょう。私は、大人たちが、児童クラブについて感じたこと、思っていたことを、どんどんと世間に公表してほしいと願っています。決して、良い思い出だけではないでしょう。つらかったことや嫌だったことだってあるでしょうし、実はそっちの方が多いのかもしれません。いじめがあったとか職員にひどいことを言われ続けたとか。そういうことも含めて、「私の児童クラブ時代」「私の学童時代」を、大人がどんどん世間に発信してほしいと期待しています。
メディアには、アスリートやアーティスト、あるいはビジネスマン、もちろんごく普通の市井の人々にいたるまで、なにかのきっかけがあればいいですし、そうでなくても特集を組んで、「学童時代と私」のようなテーマで取材し、報道してほしいと期待します。これだけ社会と必要とされている児童クラブです。しかも税金からなる補助金がますます投入されていく社会資源です。児童クラブで過ごした多くの人の経験、記憶が、どうやって社会に蓄積していくのかの過程を記録していくのも大事なことだと私は思うのですね。
そうして、児童クラブがいかに多くの人の子ども時代に関わっていたのかが広く知られるようになることが、私の狙いです。児童クラブがしっかりと整備されることが必要だと社会に認知させることが必要だからです。なぜならそれが、児童クラブで過ごす子どもたちがより充実した時間を過ごせることになり、何よりも、児童クラブで働く人への理解と敬意、リスペクトを生むことになるから。それは当然、今よりはるかに向上した待遇を呼び寄せます。もちろんそのためには、今既に児童クラブに関わっている人がもっともっと研鑽を積んで「(質的に)あってよかった児童クラブ」と国民に実感させることが必要だということは、言うまでもありません。
この猛暑、酷暑の中でも、子どもたちは児童クラブで過ごし、職員は疲労を感じながらも子どもたちと過ごしています。この日常を支えている児童クラブ関係者に心より敬意を表して、本日のブログはお開きといたします。頑張れ、全ての学童っ子!子育て中の保護者たち!そして学童の先生たち!
<おわりに:PR>
※書籍(下記に詳細)の「宣伝用チラシ」が萩原の手元にあります。もしご希望の方がおられましたら、ご連絡ください。こちらからお送りいたします。内容の紹介と、注文用の記入部分があります。
放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。1,900円(税込みでは2,000円程度)です。注文は出版社「寿郎社」さんへ直接メールで、または書店、ネット、または萩原まで直接お寄せください。お近くに書店がない方は、アマゾンが便利です。寿郎社さんへメールで注文の方は「萩原から勧められた」とメールにぜひご記載ください。出版社さんが驚くぐらいの注文があればと、かすかに期待しています。どうぞよろしくお願いいたします。
(関東の方は萩原から直接お渡しでも大丈夫です。なにせ手元に300冊ほど届くので!書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかぜひ、ご検討ください!また、事業運営資金に困っている非営利の児童クラブ運営事業者さんはぜひご相談ください。運営支援として、この書籍を活用したご提案ができます。)
「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)