就活中の皆様へ。放課後児童クラブ(学童保育所)も、ぜひ就職先に選んで考えてみてください。大丈夫、暮らせます。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台にした、人間ドラマであり成長ストーリー「がくどう、 序」がアマゾンで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! さて、2026年度に就職する学生の皆様へ、ぜひとも児童クラブを就職先の候補にしていいんですよ。
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<だって収入が低いんでしょ?>
放課後児童クラブを、新卒の学生が就職先として積極的に選択するということは、まだまだ珍しいかもしれませんね。なんといっても、ほぼたいていの児童クラブは、常に職員を募集していて、いつだって就職先として門戸を開放しています。つまり新年度のスタートに合わせて採用されなくても、いつでも採用してくれるという業界なのは、まあ事実です。
この運営支援ブログも、これまでに児童クラブで働く人の収入が少なすぎるということをさんざん指摘してその改善を求めてきました。「やっぱり、収入が少ない仕事は嫌だ」という思いを、これから就職先を決める人に抱かせてしまってはいけません。なので、しっかりと言っておきます。「まともな児童クラブの事業者なら、大丈夫、暮らせます。一人暮らし、できます。家族と同居なら、余裕ありあり。配偶者、パートナーもフルタイムで働いているなら、それなりに余裕をもって暮らせます。」と言っておきます。
まともな児童クラブの事業者?とはなんでしょう。日本全国には無数の児童クラブ事業者がありますから、「こういう事業者はまともだ」という確実な見分け方はありませんが、「おおむね、そういう傾向がある」ということであれば、「保護者運営を由来とする法人で、運営するクラブが少なくとも5クラブ(支援の単位)以上があって、法人運営を司る本部機能、事務局機能が独立して機能している事業者で、提示している初任給が20万円前後」である事業者が、当てはまるでしょう。
そういう事業者に採用されれば、よほどの贅沢を望まない限りは、ごく普通に「暮らせる」仕事ですよ、放課後児童クラブだって。
確かに収入は高くありません。採用されて働きだして5年過ぎても手取りで500万円を超すような世界ではありません。それは、仕方ありません。得てして収入というものは、ある意味、採用されることの難しさや、仕事そのものにおける難易度を反映しているので、年がら年中、職員を募集していて無資格でも仕事ができる児童クラブの仕事は、決して高収入ではありません。
ありませんが、まっとうな事業者であれば、ほどほどに満足して暮らせます。その点、実際に児童クラブの事業者において経営に携わってきた私が言うのですから、信じてください。先に紹介した児童クラブであれば、働きだして数年で額面ですが年収300万円を超すでしょう。二馬力ですと世帯収入500万円を超すでしょうから、外食だって時々はできる暮らし向きになりますよ。大丈夫、暮らせます。
ざっといえば、児童クラブで働きだした人が親と同居、フルタイムで二馬力なら安心して暮らせます。自身が児童クラブ正規職員、パートナーはパート勤務では生活をそれなりに切り詰めていけば暮らせますし、単身でも家賃がよほど高くなければなんとか暮らせます。児童クラブ勤め1人だけの収入でパートナーと子どもを養うというのは、よほど恵まれた条件で雇ってくれる事業者でもない限りは、さすがに厳しいかなぁ、ということです。
<就活生のみなさまへ。ここを確認しよう>
何も就活中の学生さんに限らず、中途入社を考えているすべての人にあてはまりますが、できることならハズレの事業者に採用されたくないもの。ハズレの事業者を選びたくはないもの。「まっとうな児童クラブ事業者」の見分け方を紹介します。
(1)公表されている雇用労働条件で、「有期雇用」「有期スタッフ」ではないこと。
有期雇用も考え方次第で、例えば他にやりたいことがある、という人はあえて有期雇用を選ぶのもありでしょう。というのは児童クラブは慢性的な人手不足なので、職員に辞めてもらっては困るのです。いつの日か自分のやりたいことのために仕事を離れる日が来る、ということを考えている人はあえて有期雇用を選ぶのもありでしょう。
ただそれは例外的ですから、児童クラブでずっと働きたいという人は、無期雇用の事業者を探しましょう。先に述べた事業者(保護者運営を由来とする法人で、~の事業者のこと)は実のところ、無期雇用で職員を採用することが多いのです。無期雇用であれば、たいていは賞与もあります。給与も固定給ではないことがほとんどです。つまり、無期雇用で人を雇う児童クラブ事業者は、就職先の選択肢として真っ先に挙げられる事業者です。
(2)初任給が20万円以上。あるいはそれに近い金額であること。
実際の支給額については地域差も大きいのですが、東京都内では初任給が25万円近くでないと厳しいでしょう。都内であれば20万円以上は最低ラインでしょう。それ以外の人口が多い地域は20万円以上であれば就職先の候補として考えていいでしょう。いわゆる地方では、児童クラブ以外の事業者と比較して、よほど低い事業者でなければ、就職先の候補として考えていいでしょう。ただ、いわゆる地方では無期雇用で雇いたいとする事業者自体が減ってしまう難しさがあります。
付け加えれば、住宅手当が充実している事業者を探しましょう。例えば、私は以前、経営に努めていたNPO法人で、優良な人材確保のために最大3割の家賃を補助する制度を始めました。そのようなありがたい手当の仕組みがあるかどうかも、ぜひ確認しましょう。
(3)保護者運営由来であること。
実のところ保護者運営を由来とする法人にも2系統あって、「現役保護者といわゆるOB保護者、つまり保護者たちが法人組織運営を行っている、あるいは中心になっている事業者」と、「組織運営はその事業者から報酬を受けている者が行っている事業者」です。前者は事実上、保護者運営が継続しています。
就職先の候補としては、後者の方をぜひともお勧めしたい。非営利事業者であればなおさらです。非営利なのは事業会社そのものの利益確保を(表向き)追求しないので、得られた収入を人件費に回す動機を維持できるからです。もっとも、非営利を掲げていても本部、事業者がガッツリと利益を確保している広域展開事業者がありますから、「非営利法人で全国で展開しているから、大丈夫」とはならない点だけは、注意してください。むしろより厳しい雇用労働条件の可能性すらありますから。
保護者運営由来であるというのは、必要以上に法人(運営本部)が利益を確保しようという動機が薄いことへの保障です。ただし、保護者運営が実質的に続いている法人事業者では、事業運営、組織の経営に不慣れな保護者や職員が携わることが多いことによる不利益(法令順守が不完全である等)もあることは、頭に入れておきましょう。保護者運営由来で実際の運営は専従の者が行っている形態が、営利法人でも非営利法人でも、ベストです。
(4)雇用労働条件に関する質問に、嫌がることなくどんなことでも回答してくれる事業者。
雇用労働条件については、求人広告や、学校に出されている求人票では、伝えきれないことがあります。ですので事業者の運営本部に尋ねることになりますが、この時に、しっかりと、丁寧に、優しく対応してくれる事業者を選びましょう。児童クラブの仕事は、ホスピタリティが大事です。それを運営本部の者が理解していないのであれば、まっとうな事業者とは言えません。働くにあたって居心地が良い事業者は、外部への問い合わせについても、とかく丁寧で親切なものです。
(5)実際の児童クラブの現場見学を嫌がることなくさせてくれる事業者。
これも大事なことです。百聞は一見に如かず、どんな育成支援をしているか、現場を見ればその一端がうかがえます。ですから、事業の運営に自信がない、つまり「人様にあまり見せられない」育成支援をしている事業者は、採用前の児童クラブ見学を嫌がります。「見学ですか?ええ、採用が決まって実際に働きだす前に、しっかり見学できますよ」という事業者は、避けましょう。逆に、「見学ですか?ええ、じっくりとウチの現場を見てもらって、それから求人に応募するかどうか決めていただいて大丈夫ですよ」と言ってくる児童クラブ事業者は、まず当たりです。
(6)子どもや保護者の表情を見てみよう。
上記の見学の際はもちろん、そうでなくても、たまたま児童クラブを通りがかったときに見かける人の表情でいいんです。児童クラブの庭や小学校の校庭、公園で遊んでいる児童クラブの子どもの顔、職員の顔。または児童クラブに送り迎えに来ている保護者の顔。見かける人たちの顔の表情が、時折、やわらかいものであるなら、大外れの事業者ではないでしょう。特に、校庭や公園で遊んでいる児童クラブの子どもや職員が楽しそうで、それがいつ見かけてもたいてい楽しそうなら、ハズレである可能性は低くなるでしょう。
(7)インターネットでの発信がしっかりしていること。
これは、保護者運営由来の事業者では、なかなかできていないのですが、児童クラブの様子だけではなく、事業者に関する情報公開を含めて、小まめに情報を発信している事業者は、「事業を行う事業者としての総合的な能力が高い」ということが言えます。広報や事業の周知は、事業者が「私たちは社会から求められてこそ存在する」ことをしっかり理解している事業者なら、とても丁寧に行うものです。「黙っていても入所希望者はやってくるもんね」と安易に考えている事業者は、インターネットでの情報発信や周知は後ろ向きになります。それは、事業者自体の事業の執行能力の高低を示していると言えるのです。保護者運営由来の法人で、ウェブサイトやHP、SNSでの発信がしっかりとマメに行っている事業者は、まず「当たり」です。
<ダメでも、自分を責めないこと>
あえて言いますが、自分の生活や暮らし向き、ライフスタイルとびったりと一致する理想的な就職先なんて、そうそう簡単に見つかりません。何かしら妥協したりあきらめたりすることはあります。それは児童クラブだけじゃなくて、どの仕事であってもそうですから。
だから、自分なりにいろいろと調べて、準備をして、そして採用されたとして、「やっぱり、何かが違う」として、1年たたずに、または数年で離職、退職することは、決して悪いことではないのです。「私のような」とあえて言いますが、私のような者が事業者のトップにいるなら、「そうか、続かなかったか。うちとは合わなかったかな、他にぴったりと合う事業者があるといいな」と、嫌な顔をせずに送り出してくれるものです。
それだけ、児童クラブの世界の「マッチング」は、なかなか難しい。ただ難しいですが、何度も言うように「多くの事業者は一年中、絶賛求人募集中」ですから、すぐに次の事業者にチャレンジできます。それはそれで業界としてはあまり望ましいことではないのですが、働く側にしてみれば、いくらでもやり直せるのです。
児童クラブは、100の事業者があれば、100通りの運営方針があります。自分自身がぴったりとフィットする、合う方針の事業者は、いずれ見つかります。見つからないからといって自分で児童クラブ事業を興す人もいるほどです。「ここのクラブは合わないな」というなら、働く先を変えてみるのは、決して悪いことではありません。(子どものことを考えると離職、退職なんてダメ、という人がいますが、いやいや働いて職業人生を過ごす職員が、十分な育成支援をできると考えることがおかしいのです)。「私、続かなかった」と自分を責めることはありませんよ。
それにしても、児童クラブの世界のマッチングを手助けする事業者があってもいいのにと私は思いますよ。人材派遣や紹介業者ではなくてね。
<小説では?>
最後に、わたしの初小説「がくどう、 序」では、児童クラブへの就職について、どう描かれているのか一言だけ紹介します。1作目の主人公は、実に単純な理由で児童クラブで働きだします。上記の(1)から(7)に示したこともいくつか踏まえていますが、実に単純すぎる理由で児童クラブを就職先に選ぶのです。その結果として、延々と続く物語が進行していくのですが。そのあたり、ぜひとも作品を手に取って読んでみてくださいね。
<おわりに:PR>
弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。
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放課後児童クラブを舞台にした、萩原の第1作目となる小説「がくどう、序」が発売となりました。アマゾンにてお買い求めできます。定価は2,080円(税込み2,288円)です。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員・笠井志援が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。リアルを越えたフィクションと自負しています。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、低収入でハードな長時間労働など、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。素人作品ではありますが、児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描けた「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作に向いている素材だと確信しています。商業出版についてもご提案、お待ちしております。
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弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。
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「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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