学童保育所の子ども達の暴言がひどすぎます。
学童保育所(そのほとんどが「放課後児童クラブ」です)で働く人、特に年配の新規採用職員を悩ませるものに、入所している児童からの、とても厳しい「言葉の洗礼」があります。「じじい、ばばあ」は当たり前で、平気で「死ね」と言ってくる子ども達に、「とても傷ついた。子ども達が嫌いになった。もう仕事を辞めます」として早期に退職する人もいるのが実態です。
学童保育所、放課後児童クラブに入所している子どもと、入所していない子どもの比較で、入所している子どもが明らかに他者への暴言が多いかどうかは、私にはまったく分かりません。ただ、児童クラブに何十年も勤めている職員に話を聞くと、明らかに20~30年前の子どもより、この10年前以降からの子ども達から受ける暴言、ひどい言葉は増えているし、その言葉の内容が暴力的になっているし、意味なく突然、ひどい言葉を浴びせられる、という感覚があると言います。
子どもたちを取り巻く社会環境の変化や、今の子ども達の世代、年齢に多く見られる意識の在り方については、専門家の調査や分析に任せるとして、これは以前から変わらぬことですが、学童や児童クラブの子ども達が新しくやってきた職員に対してひどい言葉を投げかける行動の代表的なものである「お試し行動」について紹介します。
簡単に言えば、子どもが新しくやってきた職員に乱暴な言葉を投げつけることで、「この人は、どの程度になったら怒り出すのだろう」(つまり、「どの程度までなら許してくれるのだろう」)ということを推し量っている。「こんな自分を、受け入れてくれるだろうか」ということを試す行動です。
子どもが大人に護ってもらえる安心感を得るには、その大人が自分を受けとめてくれているという確信が持てなければなりません。その確信を確実にするために、あえてひどい行動をしてもこんな自分を受け止めてくれる大人であれば、子どもはその確信が得られれば一気に距離を縮めてくるのです。
そのお試し行動においても、以前よりかははるかに激烈なひどい言葉遣いで繰り広げられることになりますが、その段階でクラブにて働き出した側が「以前の子どもたちはこんなではなかった」とショックを受けて、「あんなひどい言葉遣いの子ども達の面倒なんてみたくない」となってしまうのです。
児童クラブにおける子どもたちのひどい言葉遣いの全てをお試し行動では説明できません。その子の固有の事情(普段は抑圧される生活を送っている中で、誰も自分を叱る立場の者がいない児童クラブの場で、たまったストレスを吐き出すときに酷い言葉遣いが現れる)によるものが多いでしょう。しかしまず児童クラブで働こうという人は、「子ども達は自分にひどい言葉を投げつけることでこちらの許しが欲しいんだ」と理解した上で、どっしりとした態度でまずは受け止めてみてください。もちろん、いくら子どもとはいえ、一線を超えてはならない言葉遣いはあります。明らかに人権の観点から差別的である言葉を投げつけている場合については都度、しっかりと注意、指導する必要はあります。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)