学童保育所と放課後児童クラブの違いは何ですか?
学童保育所=放課後児童クラブではありません。学童保育の正式名称が放課後児童クラブ、という解釈は間違いです。
学童保育は、「保護者が仕事や学校、介護や看護などで家を不在にする間に小学生を安全安心な場所で過ごさせる仕組み」を指し、その仕組みが実施されている場所が「学童保育所」となります。学童保育や学童保育所は一般的な仕組みや施設を指す普通名詞と考えてください。その学童保育と呼ばれる仕組みの中において、「保護者が仕事等で不在の間に、小学生の児童に対して適切な遊びと生活の場を提供し、児童が育っていくことを支える(=育成支援を行う)」ことが「放課後児童健全育成事業」であり、その放課後児童健全育成事業が実施されている場所が「放課後児童クラブ」です。放課後児童健全育成事業は児童福祉法で定義されていますが、放課後児童クラブは行政機関が使用している用語であり児童福祉法に規定された用語ではありません。まして学童保育、学童保育所という単語は、児童福祉法には登場しません。
学童保育所では、育成支援が必ず行われるとは限りません。育成支援の代わりに学習やスポーツ、アクティビティなどが提供されていても学童保育所となりうるのですが、放課後児童クラブでは育成支援が必ず行われます。学習やスポーツなどに特化した施設は放課後児童クラブとはなりません。ただし、放課後児童健全育成事業は市区町村の事業であり、市区町村が認めさえすれば、学習やスポーツに特化している施設であっても放課後児童クラブとして扱われます。学童保育所と放課後児童クラブの境界は、極めてあいまいな側面も有しています。
まとめると、学童保育所と、放課後児童クラブは同一ではありません。学童保育所と呼ばれる施設の中に、放課後児童クラブが含まれる、という考え方が正確です。ただし、市区町村が独自に定める条例や要綱では、放課後児童クラブと同一の役割を持つ施設を学童保育所として扱っていることも珍しくないのです。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)