学童保育所が小学校建物内にあることのメリットとデメリットは?
学童保育所(放課後児童クラブである場合が多いです)が設置、開設される場所は様々です。とりわけ最近は小学校施設内に開設されることが多くなっています。余裕教室を改装したり、あるいは小学校を建設する際に児童クラブの部分を最初から造ることで建物内に児童クラブが開設される場合です。余裕教室改装のクラブは一般的になりました。メリット、デメリットは次のようになります。
・長所(メリット)
「不審者の侵入を抑止する防犯面で一定の安全」
「耐震や防火の面で相当の安全」
「下校時の交通事故や防犯では発生リスクはゼロ」
「設置時の費用を専用施設の新設に比べれば抑制できる」
→保護者にしてみれば、防犯や事故防止の点で絶大な信頼感があるでしょう。また、送迎も学校に行けばいいので分かりやすいです。設置者にしてみれば、専用施設を最初から建設するより費用面で安上がりです。だからこそ国は余裕教室の活用を口酸っぱく求めるわけです。
・短所(デメリット)
「学校との管理協定が必要で実際の運用には不便。トイレ1つ使うにしても事前の取り決めが必要」
「小学校の校庭は実は思うようには使えない。今はとかく学校側が、あれはダメ、これもダメというので、なかなか子どもを思うように遊ばせられない」
→午後5時までなら校庭を利用できるとか、放課後は一切校庭の利用を禁止する、という小学校もあります。それなら学校敷地外の児童クラブが近隣の公園で遊ぶことができればそちらのほうがよっぽど子どもの遊びについて適した環境となります。つまり、学校側の事情による制約が児童クラブの活動を制限することが実は相当あることを、ぜひ知っていただきたいものです。
「小学校の周りは朝夕の子どもの登下校時にスクールゾーン設定がされていることもあり保護者の車による送迎に一定の制約がある」→事前に除外申請を警察署ですればいいのですが、手間はかかります。
そしてこれこそ重要ですが、「児童クラブは本来、学校という管理下の時間からの解放である放課後や長期休業期間中の、子どもの豊かな時間を保障する場所。それが小学校内にあるというのは、学校からの解放の点でやや影響をもたらす面が否定できない」ことです。
→休みの日なのに学校にいる、という感覚を子どもが持ってしまうと、本来のリラックスした時間を感じられないという問題があります。とりわけ「学校が苦手な子」にその傾向があります。
学校内にある施設は、保護者や設置者にとって安全でベストと思われますか、こと、子どもの気持ちや、子どもの遊びを重視する現場クラブ職員にとっては、必ずしもベストの選択ではないことを理解するべきでしょう。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)