学童保育も、労働生産性の向上に取り組もう。その4

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 学童保育所の世界は、「低賃金」「長時間労働」「重労働」であり、それらは「働き手不足」の原因であり結果であるという、構造的に非常に困難な状態です。その厳しい状況は、学童保育に対する社会的評価の向上とそれに伴う補助金等の増額で、長期的に見て解消されることを私は期待しています。
 しかし、それとは別に、今この時点で、学童保育の業界が取り組まねばならないことがあります。それが、質の高い学童保育事業の実施であり、そのために必要なのが「労働生産性の向上」であり、その取り組みは「業務改善行動」が中核となります。

 前回は、業務改善行動として「整理整頓」(モノだけでなく、情報にも)と「「職員それぞれの担当業務・担当分野の明確化」の必要性を訴えました。4回目は、業務改善行動についてあと2点、これはぜひ心がけていただきたいこととして「情報共有の工夫と徹底」と「組織の理念の徹底理解&業務遂行手順の見える化」について提言します。

 まず、「情報共有の工夫と徹底」です。「以前、こういうことがあった」「いま、こういう状態である」「今後、こういうことが必要となる」という現在過去未来それぞれに存在していた情報を、職場の職員で徹底的に共有することです。そしてその共有情報をベースに、過去の振り返りや今後の取り組みをチームとして決定していくのです。これがおろそかになると、個々の職員が個々の判断で業務を実施することになり、結果として、バラバラな方向性で業務が進んでいってしまいます。こうなると、大きな事故、事件の発生リスクが格段と高まることにつながります。
 情報共有の工夫と徹底は、例えば、前日にクラブで起きたトラブルを次の日に出勤する職員にしっかりと伝えることができるかどうかで、その程度の具合が判断できるでしょう。申し送りの書面がなく、前日に何が起きていたのか知らない職員が、前日のトラブルについて対応を第三者から求められたとしても、何ができるでしょうか。情報は今、その場にいる者だけでなく次の時間帯に業務を行う者にも的確に伝えておかないと、結果として、トラブルがさらに拡大することになります。情報共有の工夫と徹底は、書面は当然のこと、SNSや組織内のネットワークシステムを含め、様々なテクノロジーも駆使して行うべきなのです。

 そして「組織の理念の徹底理解&業務遂行手順の見える化」です。自らが所属している組織が掲げる理念は何か、そしてその理念に基づいて組織的に目指している目標は何か。このことへの徹底理解(これもすなわち、情報の共有)は当然ながら必要です。そして、組織は当たり前ですが、理念に基づいて設定された業務目標を常に持っているはずです。その業務目標を具体的に実現するために業務を遂行するわけですから、その遂行の具体的な手段、方法については、職員が誰でも理解できる形で明示すること、すなわち「見える化」が必要なのです。業務遂行マニュアルはもちろん、安全管理や危機対応など、種々の場面に即した業務遂行の手順書を、組織は必ず備えなければなりません。

 学童保育の世界は、ただ単に、子どもが楽しく過ごせる場所と空間と時間を提供すればよい、というものではありません。それらを実現するためには、各々の組織が持つ理念に基づいて、実現するために必要な知識と技術、そして意識を、職員すべてで等しく理解し共有することが必要なのです。もちろん、現場のクラブの職員だけではなく、むしろ運営責任者、経営者(理事や監事といった役員たち)が、何よりも理解し、実践することが当然に求められるのです。

 業務改善行動が具体的に改善されて実行できるようになると、業務上における事故や災害のリスクが当然ながら減っていくのです。もちろん、トラブルも減っていきます。そのことはすなわち、日々の業務において育成支援の質の向上に直結し、労働生産性の向上を実現するのです。また、先日の悲劇的なプールでの事故も、これらの業務改善行動をしっかり取り入れて日々の業務を行っていれば、きっと防げたはずであろうと、わたくしは考えています。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の業務構造の質的改善について、積極的に発信をしていきます。また、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供できます。学童保育業界が抱える種々の問題や課題について、具体的な提案を行っています。学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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