学童保育の別の言い方は?

 学童保育とは、放課後や夏休みなどの小学校が休みの日(休業日)に、働いていたり学校に通っていたりする理由のために自宅を留守にする状況がある保護者の子どもに、過ごす場所を用意しておき、保護者が再び子どもの監護ができるまでの状況まで子どもを過ごさせておく仕組みを指します。その仕組みが行われる場所が一般的に「学童保育所」と呼ばれています。(なお、放課後とは児童クラブに関して行政的には、必ずしも授業終了後の時間だけを指すのではなく、夏休みや春休み、土曜日の学校休業日において児童が小学校に通わない時間を指すとなっています)

 法律ではもう少し細かく定義が行われていて、就労等で保護者が不在の小学生児童に、生活の場と遊びの場を用意してそこで児童の健全育成を行うこと、と児童福祉法に規定されてています。これを「放課後児童健全育成事業」と呼び、この放課後児童健全育成事業を行う場所が「放課後児童クラブ」となります。

 つまり、社会一般的に想像される学童保育とは放課後児童健全育成事業であり、学童保育所は放課後児童クラブとなります。しかしこれは完全に等しいのではなく、学童保育(所)は、広く一般的に、子どもを受け入れて過ごさせる仕組みであって、そこには英会話や学習支援、スポーツ、ダンスなど一定の活動を子どもに体験させる仕組みも含んでいます。よって学童保育所は、「放課後児童健全育成事業」を行うだけの放課後児童クラブとは完全に一致しません。いうなれば、「学童保育という仕組みの中核が放課後児童健全育成事業であり、学童保育所の中には放課後児童クラブが中核的な存在として含まれている」と言えるでしょう。

 子どもを受け入れて過ごさせる施設の名称、呼び方は市区町村が条例や各種規定で制定していることが通例ですので、放課後児童クラブを学童保育所と呼ぶように規定している地域も珍しくありません。また、「留守家庭児童室」や「仲良し教室」といったその地域独自の名称を付けている地域も多いのです。

 整理しますと、学童保育(所)は、放課後児童健全育成事業であり放課後児童クラブを含む仕組みの呼び方、ということになるでしょう。その施設の呼び方は市区町村が独自に決めており、「学童保育所」「放課後児童クラブ」「学童クラブ」「留守家庭児童室」といった様々な名称があります。学童保育の実態は大変複雑ですから、一般的には「学童保育所=放課後児童クラブ」という理解でいいのですが、厳密には必ずしも一致していないことは特に行政機構の職員や議員、報道機関の方は知っておく必要があるでしょう。
運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)