学童保育の「連絡協議会」「連絡会」とは何ですか?

 学童保育所(放課後児童クラブである場合も、そうでない場合も含まれます)によっては、連絡協議会や、連絡会という組織に加盟している場合があります。

 連絡協議会や連絡会は、ごく簡単に言えば「放課後児童クラブの発展に寄与する、業界関係者の集まり」です。児童クラブの世界が他の業種と決定的に異なる点として、「利用者たる保護者や、雇用されている職員が、組織の事業運営者となっている場合がある」ということがあります。そのような状態を「保護者運営」と称しますが、そのような保護者運営の学童保育所や児童クラブに所属する保護者や職員が、事業運営に関して情報を共有したり事業運営の問題点を共有して解決策を模索したりする、いわば「みんなで集まって相談して、前進していこう」というのが、連絡協議会や連絡会とよばれる組織の目的です。よって、児童クラブを運営しているのが市区町村だったり社会福祉法人だったり広域展開事業者の場合、事業者として連絡協議会や連絡会に加盟することはまずありません。保護者運営形態の児童クラブが加入したり、あるいは他の運営形態が運営するクラブに所属する保護者や職員が個人単位で加入することが通例です。組織運営に不安がある組織運営のプロではない非常勤のボランティア保護者だったり本業が放課後児童支援員だったり、つまり事業経営が本職ではない人たちが集まって相談する場、といえるでしょう。行政機構とは関係のない民間の組織です。

 市区町村ごとに複数のクラブが集まって会を設置する場合もありますが、都道府県単位で連絡協議会や連絡会を設置し個々のクラブが加盟するという形式が目立ちます。都道府県単位の連絡協議会や連絡会を束ねる全国組織もあります。一般的に任意団体ですが法人格を得ている組織もあるようです。
 主な活動としては、定期的に職員や保護者を対象とした学習会や研修会を開催したり、行政機構へ施策の改善を求める運動を行ったりしています。児童クラブの状況を調査して定期的に公表もします。連絡協議会や連絡会の中には、放課後児童支援員の資格認定講座の運営を行政から任されている組織もあります。

 保護者が運営に関わるクラブが急速に数を減らしていることから、連絡協議会や連絡会に加入していない放課後児童クラブの方が圧倒的に多いのが実情です。活動においては保護者の活動が期待されているため、保護者が活動に関する負担感から参加を見送ることも珍しくありません。かつては、児童クラブに関する国や行政の施策が不十分すぎたため、その是正を求める連絡協議会や連絡会の活動が目に見えて分かりやすかったものが、最近は国や行政の施策が相当、充実しているので連絡協議会や連絡会の存在意義が揺らいでいる点も見受けられます。その点で、従来型の活動は曲がり角に差し掛かっているといえるでしょう。

 (運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)