学童保育で働く職員に出来る限りの福利厚生サービスの充実を図ろうシリーズ。職員の身の安全をしっかり守ろう!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。

 人手不足で大変な学童保育の世界。時間と費用をかけて採用した人がすぐ辞めてしまわないように、運営主体(事業者)は、職員を大事にしているということが、しっかりと職員に伝わっていることが大切です。これまでに、以下のことを提言しました。
・インフルエンザなどワクチン接種の費用補助
・特別な有給休暇の付与
 今回は、福利厚生とは違いますが、事業者が責任を負っていることとして、職員をしっかり守る必要性について説明します。

 労働契約法という法律があります。使用者(会社など法人、保護者会運営の場合は保護者会)が雇っている労働者(職員)との法律関係を定めたものです。とても重要な法律ですが、この法律の第5条がとても重要です。
・労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)
 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 この規定には罰則がありませんが、だからといって守らなくても大丈夫、ということではありません。この法律を守らないことで、職員の生命や身体等の安全に重大な結果を招いた場合は、不法行為となり、使用者に損害賠償責任を課せられることになります。

 学童保育の現場にあてはめると、例えば、次のような状況が想定されます。
「児童が降所後、仕事が残っていたためにやむなく残業をすることになった。残って仕事をするのは1人の職員。クラブの施設には、満足な防犯設備はなかった。最近、近所で不審者の侵入事案や押し込み強盗などの発生が伝えられていたことから、職員側はかねて、カメラ付きインターホンや防犯カメラ、厳重な施錠設備がないことの不安を訴えていたのだけれど、運営側は職員の防犯設備整備の要望に応じてこなかった。そのような環境で残業を余儀なくされていた職員だったが、侵入してきた不審者によって、生命身体に危害が加えられてしまった」

 この場合、事件を起こしたのは第三者の不審者であったとしても、運営側にも、労働契約法第5条違反の責めを負う可能性が極めて高いのです。被害を受けた職員が運営側を訴えることができるでしょう。このような万が一の事態であっても、人を雇う側はしっかりと労働者の生命身体の安全を守る義務があるのです。

 働く側にとっても、不安の中で残業しなければならないのは、心理的にとても嫌ですよね。防犯設備の不備については、遠慮なく、運営側(使用者)に要求してください。夜の残業だけではなく、午前中、職員数が極めて少ない状態においても同様です。
 防犯設備だけではありません。夏の酷暑において空調設備が能力不足で熱中症になる危険性が極めて高いのに、運営側が対応しないことも、この第5条違反になる可能性が高いと、私は考えています。
 もっといえば、大規模学童において、あまりに多くの児童への対応を余儀なくされ続け、人員増など過酷な労働環境の解消を訴えていたのに、運営側が対応しなかった結果、心身に不調をきたした場合も、第5条違反になる可能性があります。

 この第5条は、宿直中の従業員が侵入してきた元従業員に殺害された事件に関して、最高裁判所が、民間企業の使用者の従業員に対する安全配慮義務を認めた判決を基にして制定されたものです。学童保育所においても、かなり前ですが、関東地方の学童保育所において夜間に侵入してきた不審者によって職員が殺害された事件があったと、私は記憶しています。映画やドラマだけの出来事ではないのです。

 「防犯設備などは、普段から運営側に訴えているけれど、まるで対応がない」という職員も多いでしょう。職員側は、自分たちの要求は法に基づいて必要なことを訴えているのだと、理路整然と訴え続けましょう。(もちろん弊会もそのお手伝いはできます)残念ながら、こうした法律の知識を欠いているか、対応しなくても大丈夫と誤認している運営側は大変多いのです。

 コンプライアンスこそ、事業運営の土台です。それは法令をしっかりと守ることです。それが、職員の身を守り、ひいては学童保育というシステムを守ること、子どもを守ることになるのです。要求が実現するまで、「法律で定められていることなので、必ず実現してください」と、訴え続けましょう。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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