学童保育で働く人から発せられる、信じがたい言葉。その背景と対策を考えてみる。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 私はSNSを利用して、そこでも自分の考え、意見を発信しています。SNSは誰もが自分の意見や心情を自由意思で発信できる電磁空間であり、不特定多数の人がその思いを発信できる公共の空間だと思っています。よって、そこでは犯罪となる等、違法とならない限りは、人は自由に意見を発信してよいと私は思っています。

 だから、学童保育で働いているという人、学童保育と関わっているという人が、どんなことを発信しても、その行動に対して「止めろ」とは言いません。それが例え、学童保育の子どもたちや保護者たちに対する感情的で辛辣な批判、悪意を込めたと思えてしまう発言であっても、個人や法人への誹謗中傷でない限りは、言論の自由は保障されるべきだからです。
 ただし、学童保育の子どもたちを対象にした悪意ある発信に対して、私は、「その発信は、学童保育の子どもたちと保護者への卑劣な行動であり、かつ、学童保育で働くすべての真面目な職員への冒涜であり、学童保育と、学童保育で働く職業に対する世間の信頼を失墜させる、大変残念な行為」であると思っています。

 SNSで学童保育に通う子どもたちや保護者に悪意ある発信をする方の発信が、学童保育に関わる人やシステムに対する評価を傷つけていると私は思うのです。投稿を見た世間の人は「学童保育の人は、自分のクラブの子どもを、こんなに悪く言えるんだ。仕事なのに、好き嫌いという気分で左右される仕事なんだ」と思うでしょう。それでは、子どもの育成支援、子どもと保護者の子育ての支援、援助を行う専門職ではなく、「単なる見守り、監視人だから、子どもや保護者のふるまいに腹を立てて悪口をSNSで垂れ流すんだ」と思われるでしょう。

 対人支援の専門職であるなら、子どもの問題行動や保護者の常識を外れた振る舞いに対して、「なぜ、そのような行動をしたのか、その動機は何だろうか」ということを探り当て、その動機を除去することに力を注ぐことが仕事だと私は思うのです。子どもや保護者の困りごと、あるいは、困りごとがあることに気付いていない心理状況が引き起こす種々のふるまいを解消するために、その子どもと保護者に向き合うことが、学童保育所の職員が仕事として行う専門性だと私は理解しています。
 その専門性が社会に認められてこその学童保育の社会評価の上昇であり、それが待遇改善実現を導くのであり、理想的な雇用労働条件の実現をもたらすと私は考えていますが、SNSで、子どもや保護者のことを悪く言うような人物がいる限りは、学童保育に対する社会の評価は、上がっていくことは期待できないでしょう。

 もちろん、人間であるなら、誰しも腹を立てたり、むかっときたりすることはあります。腹を立てることが問題なのではなく、自分が立腹した原因(=子どもや保護者による困った振る舞い)を解消するための行動を起こすことができない、できにくい状況があるとしたら、それが真の解決されるべき問題なのです。職場環境として、子どもや保護者が起こす「困りごと」の解消に向けた行動を実施することを許さないかもしれません。例えば、職員数が少なくて業務過多になっており困りごとの協議検討に充てる時間が確保できないかもしれません。この場合は、「心がやさぐれる」ことにも、多少なりとも同情はできます。もちろん、残念ながら、子どもや保護者の支援に興味も関心もなく、ただただ面倒くさいことを避けたいがために「言うことを聞かない子どもたち」をののしっているとしたら、それは放課後児童支援員としてはもちろん、学童保育に関わる資質が欠けているのですが。

 劣悪な職場環境で働かざるを得ない日々を過ごすという悲しい現実の積み重ねが、「子どもと保護者のために働きたい」という職員の志を無残にも潰した結果、子どもや保護者の行動にいちいち腹を立ててSNSで発散している学童保育関係者のその悲しい行動を導いたとしたのならば、その職場環境を改善しようとしない運営責任者(もちろん、行政や国も!)の問題になってくるです。人手不足の解消に本気で取り組まない運営側、大規模学童の解消に行政とガチで向き合ってやりとりしない運営側、職務を果たすに必要な就業時間を確保しようとしない運営側、低賃金の改善に取り組んでくれない運営側。これらの悲惨な現状に虐げられている職員が作り上げ得る職場環境や雰囲気が良好であるはずはありません。そうした環境にいる職員が、健全な育成支援など実施できるはずがありません。職員のメンタルヘルス上に、正しい育成支援を行うことを妨げる問題が発生している可能性があるのです。
 よって運営側は、現場との意見交換、情報共有を密にすることによって、現場職員のストレスをしっかりと把握し、例えば労働安全衛生法に規定されている「ストレスチェック」を実施して、職員のメンタルヘルスを支える措置を講じなければなりません。ストレスチェックは現在、常時50人以上の労働者がいる事業場に実施が義務付けられていますが、学童保育は1つのクラブを事業場と考えず、1つの事業者(法人、運営組織)をもって事業場と考えて積極的にストレスチェックを実施するべきです。
 もちろん、先に挙げた種々の課題に本気で取り組むこと。それが最優先なのは言うまでもありませんね。

 学童保育は、長年の人手不足に低賃金、長時間労働であり、社会人としての資質に恵まれた人ばかりで構成される業界ではありません。残念ながらそれは認めざるを得ません。もちろん、そのような残念な人は少数派です。が、数十人に1人は存在しているのではないかなと私は覆います。そのような適性も資質も無い人の残念なSNSでの発信で、学童保育全体の業界が傷つけられることは残念です。しかしもっと残念なのは、もともとしっかりした考え、志しを抱いて学童保育の世界に入った人が、劣悪な職場環境で過ごすうちに心理状況が悪化し、夢や希望を減退させてしまうことが後を絶たないことです。その結果として、信じがたい、子どもたちや保護者への言動となるとしたら、それは防がなければならないと、私は考えます。

 そのためにも、運営者の取り組みが、欠かせないのです。学童保育の質的向上は、運営者がいかに職員をフォローしていくかに左右されるのです。そのフォローが無い現在の学童保育の世界についてしばらく考えてみたいと思います。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育で働く人の雇用の安定、職場環境の安定と業務の質の向上のために種々の提案を発信しています。学童保育の運営に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った運営の方策についてその設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

 (このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば、当ブログの引用はご自由になさってください)