学童保育で働くために必要な能力やスキルは何ですか?
学童保育所(放課後児童クラブのことを指している場合がほとんどです)での仕事は、「子どもが好きであれば大丈夫」と思われていますが、間違いです。学童保育所、放課後児童クラブで働くとなった場合、次のような能力が絶対に必要です。むしろ、子どもが好きということよりもっと大事なことがあるのです。
(1)コミュニケーション能力
児童クラブの仕事は、「(複数、それも時には非常に多人数の)子どもたち」、「保護者」、「同僚職員」、「(運営組織が大きいものであれば)上司、上長」、「学校の教職員」、「地域の人々」と、実に多くの人たちと「関わる」ことが必要な仕事です。今の状況や自分の立場、希望、要望などを相手に正確にかつ確実に伝えて理解を得ることが、仕事を円滑に進めるためには欠かせません。そのために最も必要なのが、コミュニケーション能力です。児童クラブの仕事は「コミュニケーション労働」とも言えます。「子どもが好き、でも大人と話すのは苦手」という人は残念ながら児童クラブの仕事には向いていません。
(2)マルチタスク能力
児童クラブの仕事は、様々な立場に属する多数の人たちを相手に行う支援、援助が業務です。多人数を相手にするということは、同時に発生する様々な事案に対して、瞬時に優先順位を判別して対処することが必要です。まして管理職になればなるほど、その判断に必要な時間は短く、かつ、判断に対する責任もまた重くなっていきます。パートやアルバイトといった補助員職員でも実は同じです。目の前の子どもと関わっている中、ちょっと離れたところで子ども同士の口喧嘩が始まった。さあどうする?瞬時の判断が必要です。よって、実務上、1つの出来事に対しては対応できるが複数の出来事に対応することが難しい人は残念ながら児童クラブの仕事には向いていません。
(3)文章作成・事務処理能力
児童クラブの仕事は子どもの成長を支援、援助し(=育成支援)、保護者の子育てを支えることですが、それらは常に記録を基にして、過去の状況から現状、そして今後に到達するべき目標を比較します。よって、育成支援の記録や、子ども個々に対する分析や状況の記録を作成することは児童クラブ職員にとって必要な業務です。ここに文章作成と事務処理能力が問われる要素があります。自分だけが分かるような文章で記録しては第三者による評価、判断に使うことが困難になります。また、おやつ代などの処理に関わる事務仕事も案外と多いもの。「文章を書くのが苦手、事務仕事が苦手」という人は残念ながら児童クラブの仕事には向いていません。
(4)社会人としての常識
実はこれが最も必要かもしれません。児童クラブの仕事は、子ども達の健全な成長を支えることですが、底には生活上必要な習慣を身につけさせることも含みます。つまり、子ども達がいずれ社会に出た時に、人として困らないような振る舞い方だったり考え方だったりをも子ども達自身が身に付けていくことを支える仕事です。これができる児童クラブの職員ということは、つまり社会人としての常識がしっかり身に付いているということです。遅刻をしたり指示された仕事を勝手に無視したりさぼったりするような人は社会人として失格ですが、それはつまり児童クラブの職員としても失格です。法令、ルール、約束を守ることに重要性を理解できない人は、もちろん児童クラブの仕事に就いてはなりません。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)