学童保育での子どもの叱り方について、どのように考えていますか?
学童保育所(そのほとんどが「放課後児童クラブ」です)で子ども達は集団生活を行います。同学年または異年齢の子ども達と一緒に遊び、おやつを食べ、イベントや行事についての話し合いに参加し、児童クラブの職員の支援、援助を受けながら、人間として必要な生活習慣や社会規範、また自分自身の能力(主体性やコミュニケーション能力など)を身に付けて行きます。
その過程において、子どもは他者とのトラブルやいざこざ、けんかも多く経験します。また子ども1人でもしくは集団で、いたずらや悪ふざけをします。もちろん、児童クラブ職員は当然、そこに介入します。その時に問題となるのが「職員の叱り方」です。
児童クラブは子どもが伸び伸びと過ごす場所であるという理想を掲げていることが通例ですが、それは子どもが好き勝手に自由自在に過ごすということを意味してはいません。当然、守らなければならない決まり、ルールは守ることが大事であることも子ども達は身に付けて行きます。それができない場合、職員から何らかの関わりを受けます。それが叱責や指導という形で現れます。状況に応じてその形は異なります。例えば、子どもが意図的にハサミなど鋭利なものを他者に突き付けている状況のとき、職員は厳しく制止します。大声で怒鳴る場合もありえるでしょう。
一般的に叱り方としては、「大声で(時には怒鳴り声で)制止させる、行動を止めさせる」こと、そういうことはしてはダメだと強めに「叱る」こと、あるいは、そういうことをするとこうなるから良くないよと「諭す」こと、それはダメだからねと「注意する」こと、があります。
児童クラブにおける叱責、叱り方で大事なこととしては、「問題のある行動をした子どもにも、なんらかの事情があるだろう」と職員が認識したうえでの制止行動が必要だ、ということです。クラブでイライラしている子どもが他の子どもにつっかかる、悪口を言うということがありますが、それをただ一方的に「そういうことは言ってはダメです!」ときつく叱るよりも、つっかかったり悪口を言ったりしている子どもに、「なにかそうさせる事情があるはずだ」という考えをもって接することです。例えば、学校でその子にとっては理不尽な形で教職員に怒られた、あるいは友達同士のけんかがあったり嫌がらせをされたりと、その子にとって心理的に追い詰められた事情があるかもしれない、ということを想定して対応することが必要だ、ということです。
もちろんこれは、乱暴な行為をされた側に我慢を強いるということではまったくありません。嫌なことをされた「被害者側」がしっかりと守られねばならないですし、受けた痛手は十分に回復されねばなりません。その手当、ケアとは別に、問題行動を起こした側の背景事情を考慮した上での対応が必要だ、ということです。よって、児童クラブ職員は丁寧に聞き取りや調査が必要であって、それをせずにただ単に怒鳴って叱るということでは、そのクラブでは職員は子ども達からの信頼は得られません。
児童クラブの職員の、子どもへの叱り方は、子どもと職員との関係性を構築する上で、丁寧に対応をしなければならない大事な問題であるのです。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)