学童クラブの職員は午前中からの勤務が必要ですか?

 必要です。その理由をイメージするためにまず、「クラブ職員は企業で言えば経理会計、労務、総務などすべての任務をこなしている」と想像してください。目の前にいる子どもたちと関わることだけが仕事ではないのです。クラブ運営のために必要なことをクラブ職員はすべてこなしているので、子どもたちがいない時間帯が業務として必要だ、ということです。

 具体的には次のようなことです。
・子どもたちへの支援計画を職員たちで協議検討し、まとめあげる。数十人の子どもが在籍する施設ですから支援計画の量は膨大です。まして様々な境遇、状況の子どもがいます。子どもの状態に即した計画を協議検討するには時間がいくらあっても足りません。
・必要な業務の技能向上に当てるための研修、学習
・行事やイベントの計画、準備
・必要な物品、おやつなどの調達
・施設で購入したり支払ったりする現金類の管理、清算
・職員の労務管理
・(施設を運営する事業者が保護者や職員で構成されている場合)組織運営に関わる業務

 学童保育所や児童クラブの職員は「子どもが登所しているだけで仕事時間が十分。それ以外に働く理由は存在しないはずで、その分、人件費を下げられる」という考え方はまったくの間違いです。保護者や行政職員の目の前で繰り広げられている、子どもや保護者への直接的な支援、援助「だけ」が必要な業務ではありません。それこそスーパーマーケットで例えるなら、レジ担当の職員だけで店が営業できると主張しているようなものです。商品の在庫管理、発注、陳列、売り上げ代金や経費の管理、職員の労務管理、施設の維持、清掃など、客の目に見えない実に多くの業務があり、それを担当している人たちが集まって1つのスーパーマーケットが営業できるのです。学童では、子どもが登所している時間は主に子どもや保護者への支援に全力を注ぎ、子どもが登所していない時間帯に他の業務をまとめて遂行しています。そして学童の支援員や指導員と呼ばれる人たちが、保護者たちの目に見えない部分のすべての業務を担っている、ということです。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)