学童ガチャって何ですか?

 学童保育所(この場合、放課後児童健全育成事業を行う学童保育所、すなわち放課後児童クラブのことを指すとします)に関して「学童ガチャ」という言葉が使われることが増えています。学童ガチャとは、一時流行した「親ガチャ」と似たような意味で、「入所する学童保育所が選べない状況の中で、子どもが入所した学童保育所が、子どもや保護者の生活様式とうまく適合せず、学童保育所の利用が困難になる状態」と説明できます。(詳しくは「知られざる学童保育の世界」(寿郎社)を参照)

 学童ガチャの発生原因を詳しく考えると次の要因が考えられます。
・子どもが入所できる学童保育所は通常、小学校学区内にある施設に限定される。その施設を利用したくない場合に他の学区の学童保育所の利用ができない場合がほとんど。あっても利用料金が高額であるいわゆる民間学童保育所となり、利用しづらい。つまり、子どもと保護者の側に、学童保育所を選ぶ選択肢がない。
・入所した学童保育所の運営形態やサービス内容が希望している水準と異なる。例えば、保護者が運営する形態の学童保育所であって組織運営業務に否応なく従事させられて苦痛に感じる。盆期間は閉所してしまうので子どもの居場所に困る。閉所時間が午後6時30分で、仕事を終えて迎えに行っても間に合わない等。つまり、使い勝手が悪い。
・入所した先の学童保育所で行われている子ど達への支援、援助の質が低い。大規模状態で子どもがギュウギュウ詰めの「数」の問題があれば、職員が一方的に子どもたちに命令、強制させる形態の指示で子ども達の行動を厳格に管理していることも実は珍しくない。つまり、事業内容の質が低い。

 上記の事が単独、もしくはからみあって、「子どもが学童に行くのを渋る、拒否する」ことが学童ガチャ状態です。また保護者自身も、学童と関わりたくないという考え方に傾いてしまうことがあります。

 学童ガチャのうち、子どもが学童の雰囲気に慣れない、いじめもしくはいじめに近い行為を受けていることが原因であれば運営側に申し入れて対処を求めることで改善する可能性があります。ですので、子どもの「行き渋り」を察知したら早めに保護者が行動することが肝心です。開設時間や運営形態に関する問題は、市区町村に要望したり保護者仲間に呼びかけて賛同者を増やすなどしたりして内部から組織を変えていくことになりますが、そう簡単に事は進みません。

 学童保育を利用することが明確になったら、すぐに地元の学童保育所を見学したりその運営の状況について情報を収集したりすることで、学童ガチャに陥らないように事前の対策を講じておき、心構えをしておくことが重要です。
運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)