子どもの居場所は、多種多様であってほしい。公設の学童保育「だけ」では居場所が見つからない子どもがいます。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 学童保育の運営支援として学童保育の事業活動を支える活動をしている弊会、およびわたくしですが、「学童保育所(=放課後児童クラブ)」だけが子どもの安全安心な居場所となるという考えは持っていません。よって、行政も、学童保育「だけ」を整備してほしいという考えも、もっていません。その点、「学童保育絶対至上主義」ではないことを、改めて示しておきます。

 当たり前ですが子ども1人1人の感性、価値観は違います。違って当然です。むろん、保護者も同じことで、我が子の子育て方針に、保護者ごとにいろいろな違いがあるのも当然です。「みんな違って、みんないい」とは金子みすゞさんの詩ですが、まずはこの「みんな、違う」ということからすべての子育て施策を考えていくことは、忘れてはならないと私は考えています。

 だからといって、子どもが100人いれば100通りの放課後の過ごし方を準備しなければ、とは現実離れしていますから、およそ多くの子ども(そして保護者)が満足できる、受け入れられるような仕組みを整えることになります。その仕組みの中で、個々の子ども、個々の人間において、不当にその希望や「こうありたい」という願いが抑圧されたりまったく無視されたりすることが起こらないように、仕組みを整え運営する者が配慮していくことになります。

 学童保育所も同じことですね。多くの子ども、保護者が、それぞれの生き方、ライフスタイルにおいて、受け入れられるような運営をすることになります。そうしていっても、どうしても、その学童保育所に「合わない」子ども、保護者は出てくることは、ある意味、避けられないことです。

 子どもの居場所として学童保育所は優れた仕組みであることは私も理解しています。しかし、公設の学童保育所がどうしても自分の居場所にはならない子どもは絶対にいます。ある程度、許容できる範囲で「がまん」しながら学童保育所を利用している、通っている子どもは当然ながら大勢います。どうしても無理、という子どもたち、つまり「行き渋り」に陥ってしまった子どものことを、「学童が合わないのは仕方がない、あとはそれぞれ、ご家庭で対応してね」となっているのが、多くの地域の現状です。まして、「あの子は学童で暴れてばかりだから、いっそのこと、学童を辞めてもらおう」と運営側から子どもを追い出すようなことすら、実は起こっているのです。また、小学4年生になって、「もうあなたは高学年になるから」といって、新1年生の入所枠を確保するため学童を辞めざるを得ない子どもは全国に数多くいます。制度の不備、ぜい弱な制度設計のために既存の学童保育の世界で受け止めきれなかった子どもが、確実に存在しているのです。(なお、学童保育所に入所すらできない「小1の壁」は、子どもと子育て中の保護者にとって、もっとひどい状況であることは言うまでもありません)

 公設の学童保育所は、運営が公営であろうが民営であろうが、多くの地域で、「この小学校の子どもは、この学童保育所を利用する」ということになっています。つまり、学童保育所を利用する側に、「どこのクラブにしようか」と選択する状況になっていません。今どきは小学校や中学校も学区選択で、制限はありながらも通学できる範囲において入学する学校を選べるようになりつつあります(もちろん、そうではない従来通りの仕組みである方が大多数でしょう)。あなたはこの小学校だから、この学童を利用してくださいと行政が決めたルールで入所したクラブが、どうしてもその子にとって居心地が悪い、穏やかにすごせないとなったとき、大人は、つまり社会は「どうしたら、その子がもっと安心して過ごせる場所を提供できるだろうか」ということを、しっかりと考えるべきなのです。行き渋りになって学童を辞めてしまった子どもの居場所を考えるべきです。あってはならないことですが問題行動を理由として学童を追い出されてしまった子どもの居場所を考えるべきです。それこそが、「こどもまんなか社会」を構築する上で、欠かせない考え方だと、わたくしは思っています。

 とはいえ、現実的に予算の問題はじめ種々の問題から、公設学童を同じ学区内に複数、行政が準備することは不可能です。なんでもかんでも行政ができる、あるいは行政がやるべきである考えは持たないほうがいい。もっと単純に、「カネ」を用意してくれればいいのです。世の中には、いろいろな考え方や理念をもって、子どもの居場所作りに取り組んでいる団体や人、あるいは取り組みたいと思っている団体や人があります。それら、子どもの居場所を、それぞれの考え方や理念に基づいて、地域に作りたいと思っている団体や人に、行政がしっかりと支援することで、子どもが「自分に合う居場所を選択する」というとても大事なことが、実現できます。要は、行政が、子どもの育ちを支える活動をしている組織団体に、必要十分な支援をすることです。

 言うまでもなく、行政が補助金として支援する以上、補助金を受ける側は、法令に則り適正な事業運営を行い、子どもの権利を侵すことなく、保護者の子育ても支えつつ、行政側にとっても実りあるような活動をすることが求められます。当然、事業者は、自らの活動内容、活動実態について、すべてオープンにして、第三者によるチェック、事業評価を受けてその結果を公表することが求められます。行政が行う監査もしっかり受けることは当然です。行政は、子育て支援を行う、子どもの居場所をしっかり作るということが守られていれば、あとは業務内容についてはとやかく口を出さずに、民間の知恵と活力に期待してほしいですね。

 私の見聞きした範囲では、行政が補助をすると、補助を受ける団体に対し、地域の有力者と呼ばれる方たちがああだこうだと介入してきて、挙句の果ては行政に対して「公のお金を、あんなよく分からない市民団体や活動家に渡して活動させていいのか!」と、難癖をつけるようなこともあります。得てして、子育てに限らず種々の「共助」を行う人たちの集まりに対して、その活動を快く思わない人たちがいるのも事実です。行政には、毅然として、「行政サービスにおいて必要な部分を担っている活動ですから、ルールにのっとって援助しています」と、気概をもってはねのけてほしいと私は期待します。

 地域において、学童保育所がしっかり整備されていることは大前提です。その上で、「行きたい人が、行きたいときに行ける」児童館の役割は重要です。児童館は長期的に縮小傾向にありますが、利用できる者が限定されない児童福祉サービスはこれからの多種多様な生き方が尊重される時代において、その本来の機能を存分に発揮できると私は考えています。児童館と学童保育所(特に、基幹となる大きなクラブ)が連携し、地域の子どもたちの育ちを支えていくことを、まずは土台にしてほしいと期待します。その上で、種々の「独自の」活動をする団体が、それぞれの特色を掲げて子どもたちや保護者の日常生活を支えていく仕組みが整うことです。勉強に重きを置く施設だってあっていい。やたらめったら外遊びで子どもたちを存分に遊ばせる施設だっていい。日々いろいろなメニューをもって子どもたちの知的好奇心を刺激する運営の施設だってあっていい。学習支援を前提とする、いわゆる民間学童保育所も、その幅広い子どもの居場所作りの中で機能する1つの仕組みとも言えます。事前登録や利用日の事前申請は必要でしょうが、子どもが、「いまの自分は、あの場所で過ごしたい」という希望があるなら、その希望になるべく寄り添えるような地域社会を作ることこそ、私は、こどもまんなか社会の大前提だと考えています。

 放課後児童の居場所は学童だけ、全児童対策だけ、というのはある意味、最低限の水準です。まして小1の壁で学童の利用ができないというのは、その最低限の水準すら守られていない悲惨な状況ですから、市区町村はあらゆる方策をもって学童保育の待機児童は解消しなければなりません。その結果、大規模学童となってしまうことが多々ありますが、それについても早急に解消しなければなりません。その解消の有効な手法として、多角的な子どもの居場所作りが必要なのです。

 最後に申し上げますが、こと、伝統的な学童保育の世界は、「学童保育こそ子どもの育ち、保護者の子育てを真に支えられる」という、それこそ「学童保育絶対至上主義」にとらわれていると私は感じます。学童保育の仕組みは確かに素晴らしい。素晴らしいですが、その運営を保護者に負わせたままにしたり、学童にいる子はしっかり見ているけれど学童に入っていない子どものことはその存在すら意識しないというような態度は、私は受け入れられません。「たまたま」うちのクラブに入所した子どもと、入所していない子どもがいるだけのこと。学童保育の世界に関わる人は、学童内での種々の難問に手一杯なのは承知ですが、学童保育を必要としない、あるいは利用できない子どもや子育て世帯のことも合わせて考える思考をもっと取り入れていくべきだと私は感じています。

 育成支援を大事にした学童保育所、かつ、社会に必要とされる学童保育所を安定的に運営するために「あい和学童クラブ運営法人」が、多方面でお手伝いできます。弊会は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その策定のお手伝いをすることが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。萩原は2024年春に「知られざる学童保育の世界」(仮題)を、寿郎社さんから刊行予定です。ご期待ください!良書ばかりを出版されているとても素晴らしいハイレベルの出版社さんからの出版ですよ!

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