子どもが放課後児童クラブに行きたがらないのですがどうしたらいいでしょうか。

 放課後児童クラブ(地域によっては学童保育所や、学童クラブといった様々な名前が付いています)に子どもが行きたがらない状況を「行き渋り」と呼びます。これはとても深刻で、子どもは児童クラブに行くのを嫌がるあまり、小学校への登校を拒否することもあります。実はそれほど珍しいことではありません。そうなると保護者は安心して仕事ができなくなり、重大な局面に追い込まれます。もちろん一番深刻なのは、当の子ども自身です。行き渋りを起こしている子どもは、心理的に極めて深刻なストレスを抱えているからです。

 行き渋りの傾向が見られたら、直ちに児童クラブの職員に連絡し、一緒になって対応を考えてください。ここで、児童クラブ側が「うちには問題ないですよ」と軽くあしらうような態度であれば大問題です。すぐに市区町村の担当部署に連絡してしまいましょう。「まともな」児童クラブであれば、すぐに保護者と一緒に対応策を協議し、実行してくれるはずです。

 行き渋りの原因は多岐にわたります。それらが複雑に絡み合っていることも多いのです。
・クラブで過ごす時間が苦痛。これには、嫌な児童がいるとか、嫌な職員がいる、ということが考えられます。いじめや、いじめに近い状態が起こっている可能性があります。また残念なことですが、子どもの気持ちや希望をまったく考慮せず一方的に行動や考え方すら強制させる職員も実はいます。
・クラブで行われる活動内容がつまらないとか、子ども自身にとって難しい、受け入れがたい状況にある。ということも考えられます。体を動かす遊びが大好きな子どもに、ずっと読書やボードゲーム、DVD鑑賞を強いるというのでは子どもは児童クラブに行きたがりません。逆に、室内で静かに過ごすことが好きな子どもに、半ば強制的にドッジボールやサッカーの時間を強いることも、行き渋りの原因となります。
・子ども自身が、他に明確に「やりたいこと」を理解している場合もまた、行き渋りの原因になります。英会話やダンス、スポーツをしたいという子ども自身の欲求があれば、それらができない児童クラブで過ごす時間は苦痛になるでしょう。

 行き渋りは、その要因が外的なもの(嫌な人がいるとか、好みでない活動ばかりしている)というものと、内面的なもの(自分自身で他にやりたいことが確立している)と、大きく2分されます。後者であれば子ども自身の成長、自立でもあるので、児童クラブではない世界で子どもが活動することについて保護者が検討することが必要でしょう。
 問題は前者です。これはその要因を除去するには時間がかかりますし、事業内容の変化が実行されないと完全に解決されない可能性が高いものです。保護者と職員が一緒に考えて、解決を導く策をいろいろと試行することになります。この点において、保護者は児童クラブ側に問題解決を丸投げしてしまうと、うまくことが進みません。行き渋りを起こしている子どもの気持ちをしっかりと、丁寧に把握して、出来る限りその子の不安やストレスを除去していくことが重要ですから、保護者の協力がなくして解決に結びつきません。行き渋りの解消は保護者の努力が必要であることを認識しておきましょう。

(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)