大雪や台風、集中豪雨など大変な時に学童保育所を開所しているときに受けるクレームはつらいが、割り切るべし!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 関東地方は5日午後から降雪となりました。2014年2月ほどの大雪にはなりませんでしたが、それでも埼玉県の平野部でも10センチ前後の積雪になったようです。普段、降雪がない地域ですから、これでも大騒ぎです。でも全国中継で、延々と関東は雪で大変だ!のニュースを見せられる関東以外の人は、いささか食傷気味だと思いますが。

 さて、こうした積雪や夏の台風接近、集中豪雨など、気象の異変時になると議論になるのが、「どの程度までひどくなったら学童保育所は閉所していいのか」です。運営を市区町村から任されていたり運営について市区町村と契約もしくは委託書等で仕様が決められている場合は、最終的に市区町村の意向が影響しますから、事業者だけで判断できません。おおよそ、なるべくギリギリまで閉所しないでおく姿勢の地域が多いように思いますが、その正反対であっさり閉所としてしまう地域も、特に公営学童には見受けられると感じています。わたくし個人としては、ギリギリまで開所して保護者の就労を支えることが重要だと思っています。(地震については、おなじ天災ですが異なる対応が必要でしょう。事前に立案してある防災計画にのっとり、行政からの避難指示を絶対的に受け入れて対応することに尽きます)

 天候急変のような異常時には、当然ながら、学童職員も本音では仕事を休みたい。それは当然です。交通機関が通常通り動いていないだろうし、出勤しても無事に到着できるか、あるいは帰宅できるか分からない。何より外に出たくない。安全な場所で過ごしたい。人間として当然です。ですが、「仕事だから」「働いている人を支える仕事だから」「事業者が休めと言わないから」等々の理由が重なって、やむなく、しぶしぶ、出勤する職員は多いでしょう。中には「こんなときこそ、私たちが頑張らなきゃ!」という萩原のような超変わり者もいますが極めて少数です。「なんでこんなときに出勤しなきゃいけないんだ」と学童職員が思うこと自体、当たり前だし、決して批判はできません。
 ただ、客観的に身体的に危険が極めて少ない状況において、「こんな時には出勤したくないからサボる。保護者や子どもがどうなろうが構わない気持ち>出勤して学童保育の開所運営に協力して保護者の生活を支援する気持ち」となって出勤しない職員には、出勤した職員より、評価を下げればいいだけの話です。

 さて、本音を押し殺して頑張って出勤している職員ですが、「こんなときに学童が開いていて助かった。ありがとう」と保護者から言われれば少しはうれしい気持ちになりますが、必ずしもそうとは限りません。得てして、天候急変のような異常時には「なるべく早くお迎えにきてください」と事業者から保護者に呼びかけたり、あるいは「通常より閉所時刻を早めて午後〇時に閉所しますので、それまでに迎えにきてください」等と通知があったりします。そのことについて「早く迎えに来てと言われたから早く来たけれど、困るんですよ本当は」とか、「どうしていつも通りの時間まで学童を開けてくれなかったんですか。こっちはお金を払ってるんですよ。こちらの要望は聞いてくれないんですね!」と、苦情やクレーム(注:苦情とクレームは本来、別の事象ですが、便宜上、ひとくくりにしています)を受け、「こっちだって頑張って来ているのに!」と、悲しい気持ち、つらい気持ちになる職員は、少なくないと思います。当然、運営本部にもお叱りの電話、クレームの電話が来ますから。むしろ、日々、顔を合わせている職員に苦情やクレームを言うよりも、特に知り合いでも関係性があるわけでもない本部スタッフ、本部職員には、かなり厳しい言葉で、うっぷんを晴らすかのように苦情やクレームをぶちまける保護者の方が多いのです。

 しんどいですね。気持ちが萎える、ひどく落ち込むのは当然です。保護者、子どもの生活を支えている仕事なのに、その支援先から叱られたり文句を言われたりするのは、残念な気持ちになります。「先生、大変な時にありがとう」と言ってくれる保護者以外に、傷ついた学童職員を励ましてくれたり慰めてくれたりする人は、なかなか現れません。しかし、それは、「そういうもの」だと思ってください。世の中、そんなものです。
 遠慮せずに申し上げれば、働いている子育て世帯を支える仕事である以上、また、学童保育を必要とする保護者の多くがライフラインを支える仕事、社会を支える仕事(いわゆるエッセンシャルワーカー)をしている以上、それら保護者たちが必要としているなら、学童保育と言う仕組みはギリギリまで、それら保護者を支えるために稼働するべきです。それを貫徹して初めて社会から感謝されます。使命を当然果たすことに、感謝を求めるのは、人情としては分かりますが、それ以上のものではありません。まして、感謝がないから今の保護者は冷たい、理解がないと批判するのはお門違いです。それぞれの仕事をそれぞれ当たり前に遂行することに、いちいち感謝する必要はありませんし、感謝を求めることは不思議なことです。

 と、まずは自分自身を割り切ること。自分が困難な状況の中、一生懸命に頑張った。それに対して文句や嫌味を言われてもしまった。でも自分は学童職員として仕事をやりきった。子どもが全員、降所した。これでよかった。任務、完了!と、まずは自分で自分を評価しましょう。同僚は、お互いにねぎらいの声をかけましょう。そして事業者、運営本部は、その場所で本部職員としての職務をやり切って満足するのではなく現場職員に最大限の評価を送りましょう。そして何より、事前に、そのような危急時にしっかりと任務を遂行した職員の頑張りに報いるための報奨、評価制度を導入して、次の給料に少しでも上乗せできるような手当を付けましょう。仕事の頑張りには、お金で報いることは当然です。

 なお、当ブログでは昨年6月下旬に、苦情やクレームについて掲載しています。今も頻繁に閲覧されている人気の内容です。そこには、こう記載しました。
「苦情やクレームには当然、解決する努力は必要です。その努力自体は、案外簡単です。
 「丁寧に話を聞くこと」
 「現実的に被害を受けたことが明白であるなら、それについては社会的常識としての謝罪をすること」
 「姿勢として、相手側の感情に寄り添う態度や口調を示すこと」
 「すぐに解決に取り組む姿勢を見せるが、絶対にその場で、解決策を安請け合いしないこと」
 「自分1人で対応することは絶対に避け、常に上司と連携して対応すること」」(引用ここまで)

 天候急変のような異常時になんとか学童を開いて頑張っている学童職員が、保護者から受ける苦情、クレームは、保護者自身のスケジュール、仕事や業務の都合を変えなければならなかったことで周囲に及ぼした影響で自分自身の評価が影響を受けることに対する保護者自身のいら立ちをぶつけられているもの、だと私は思っています。保護者が、学童職員その人自身に対して何か問題や敵対心、いらだちを感じているものではないと思えます。保護者が、急なスケジュール変更を余儀なくされ上司や同僚などに影響を及ぼしてしまった原因をもたらした学童の運営の都合(そうなることの理由は、理解はしている)に、いら立ちをぶつけたいのです。

 どうして苦情、クレームをぶつけてくるのか理由は分かっているわけですから、上記にある、「丁寧に話を聞く」「相手の感情に寄り添う」といった基本的な対応をしっかりと行えばいいのですよ。いずれ、ふと、「ああいうときに学童が開いていてよかった。ギリギリまで開いてくれていてよかった」と、保護者が気付くときがくるんだと、信じましょう。人を信じることが、学童職員の仕事には大事ですから。

 育成支援を大事にした学童保育所、かつ、社会に必要とされる学童保育所を安定的に運営するために「あい和学童クラブ運営法人」が、多方面でお手伝いできます。弊会は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その策定のお手伝いをすることが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。萩原は2024年春に「知られざる学童保育の世界」(仮題)を、寿郎社さんから刊行予定です。ご期待ください!良書ばかりを出版されているとても素晴らしいハイレベルの出版社さんからの出版ですよ!

 (このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば、当ブログの引用はご自由になさってください)