関東平野部でも大雪の可能性。天候急変など、いつもと違う状況が予想されるときに、運営側の対応能力が示される

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 本日2月5日から6日にかけ、関東地方平野部で雪の予報となっています。大雪になるかもしれないとも言われています。北海道や本州日本海側の地域の方からすればたいしたことのない積雪でも、大騒動となるのは毎回、同じですね。冬の大雪や夏の台風、激しい雷雨など、天候の急変、気象災害は、いつ、どのような災害が起こるかどうか、事業運営者は常に「万が一の対応」を考えておかねばなりません。
 保護者会運営や、地域に根差した運営事業者なら、現場の職員と運営側の距離感が近いので即座の対応がとりやすいですが、公営や、営利の広域展開事業者は、急な方針変更や臨機応変の対応はおおむね時間がかかり、方針の変更に消極的なことが多いので、なかなかきめ細かな対応をしない傾向があります。そのような組織に属する現場の職員や現場職員の調整役(マネジャー的存在)は、事前に運営責任者や運営本部に対し、予想される事態が起こった時の対応について早急にとりまとめることを要望し続けることが大事です。

 例えば、普段は降雪がめったにない地域における大雪、積雪を考えてみます。私なら、次のようなことを考えて指示します。
・数日前から職員に注意喚起。通勤が車の職員にはノーマルタイヤでの出勤はダメと伝える。
・保護者にも注意を呼びかけ。特に現場の職員から、自転車や車を利用する保護者に注意喚起をすること。
・当日に研修や会議が入っている場合は、前日に続行か変更するかを決める。
・いよいよ雪が降ってきたら、学童施設への被害が起きぬよう点検と片づけの最終確認。
・通常は時間外利用で別料金を徴収している際は事前のルールに従って対応する。
・交通機関の乱れで職員が帰宅できない場合も含め、組織としての対応を職員に提示しておく。

 なお、どんなに大雪でも働いている人、働かないといけない人はいます。よって、私は、大雪だから学童保育所も当然閉鎖だ、という考えは支持しません。最後の最後まで働いている子育て中の人を支えるシステムである、ということを誇りに思いたい。学童保育は社会で働く子育て中の人を支える重要な存在なのですよ、と。集中豪雨や台風で災害が現実的に発生する恐れがあり自治体から避難指示が出るような極端な事態は場合は別ですよ。

 運営側としては、どうしても、出退勤時の職員の負傷や、出勤時に時間がかかってしまい開所時刻に影響が出るような事態を憂慮します。職員の負傷は、その後のシフトに影響が出ますし、労災の申請手続きにも事務方の時間がとられます。出勤時刻や開所時刻は行政との契約もあるので当然ながら厳守です。「雪がひどくて道が混んで、出勤時間に間に合いませんでした」「開所時間に間に合わず、学童を開けませんでした」という言い訳は社会が許しません。30分早く家を出ることが社会人として当然ですし、運営側も事前に何度も念入りに、そのような指示を出すことが必要です。
 また、職員は運営側に「こういうことが予想されます。こういうことをすれば大丈夫だと思う方策はありますが、どうでしょうか」ということを相談、打診することも社会人として当然です。いつもと同じ時刻に家を出て、結果、間に合いませんでした!という程度の人は、あまりにも社会人として残念です。
 もちろん、運営側は、ただやみくもに職員に対して定時に出勤しろ、学童の開所が遅れないようにしっかりやれ、と一方的に指示するだけではダメなのです。職員が安心して働けるような環境を整えることは事業者の責務です。雪や大雨で交通機関が乱れそうだというとき、打開策や回避策をしっかりと提示し、職員が選択できるようにすることが大事なのです。
 運営側は、職員に対して、「ちゃんと出勤して学童をしっかり開きなさい」と言うだけではダメです。決められた時刻での開所を行うために職員の出勤に不安があるようならば、会社(組織)の費用で近隣の宿の宿泊費用を出すなどの対応をすることです。また、保護者の子どもの迎えの時間が遅れて時間外勤務をせざるをえない職員も出てきますが、当然、割増賃金の支払と、それ以上に「大変なときに頑張ってくれて本当にありがとう」と感謝の気持ちをしっかり伝えるべきです。

 天候急変のような異常時こそ、運営側の対応能力が問われます。事業活動に及ぼす影響をどれだけ少なく、最小限に食い止められるかは、運営側の程度によります。最悪の事態の想定から、何通りにも及ぶ解決策、解消法を考えておき、職員や保護者に安心できる策を提示すること。それがリスクマネジメント、つまり危機管理です。この危機管理能力を備えた事業者なのかどうかが、一目瞭然となるのが天候急変のような異常時です。公営学童の運営主体たる自治体や営利の広域展開事業者は硬直的な組織運営が目立つ形態ですが、危機管理能力の不足のため異常時における柔軟な対応ができず何らかの被害が生じた場合、組織に重大な影響を及ぼす可能性があることをしっかりと認識していただきたい。
 また、働いている職員や保護者は、大雪や集中豪雨、また地震などの異常事態のときに、自分の属する組織がどの程度の実力を兼ね備えているか冷静に観察しましょう。ろくな対応ができない、対応をしようとしないという組織は、結局のところ、自分のことを守ってくれません。職員なら転職すればいいですが、その学童しか使えない保護者にとっては、たまったものではありませんね。異常時に子どもの安全をしっかりと図ろうとしない、保護者にも杓子定規の対応しかしない組織については、改善を求めて行動を起こすことを考えましょう。自治体に抗議する、議員に相談する、メディアに公表するなどの手段があります。

 学童保育所は、子育て世帯を支える仕組みですが、社会を支える仕組みであるのです。その仕組みに関わっていることに、「私たちが頑張っているから社会が動いているんだ」ということに、誇りを持ちましょう。その姿勢に社気が敬意を持つに至った時こそ、学童保育の社会的地位のさらなる向上の時なのですから。(こんな安い給料でやってられるか!という気持ちは、分かります。それはそれで解決が絶対に必要な問題です)

 育成支援を大事にした学童保育所、かつ、社会に必要とされる学童保育所を安定的に運営するために「あい和学童クラブ運営法人」が、多方面でお手伝いできます。弊会は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その策定のお手伝いをすることが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。萩原は2024年春に「知られざる学童保育の世界」(仮題)を、寿郎社さんから刊行予定です。ご期待ください!良書ばかりを出版されているとても素晴らしいハイレベルの出版社さんからの出版ですよ!

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