大型連休の祝日でも、子育てをしながら働いている世帯はきっと数多いはず。放課後児童クラブはこういう日こそ、必要です。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたらSNSに投稿してくださいね!
大型連休に入っています。今年は飛び石型と言われているようですね。そういえば飛び石といっても今のこどもたちにはすぐ連想できるものなのかなと、ふと思いました。放課後児童クラブで働く人たちには今週はほとんど平日ですから大型連休の気分はほとんどないかもしれませんね。5月3日の土曜日からの4日間が楽しみな児童クラブ関係者も多いことでしょう。運営支援は改めて訴えますが、大型連休で多くの人が楽しんでいるときに働いている子育て世帯の生活の支えが必要なのです。
(お知らせ:きたる5月4日と5日は、当ブログの更新を休止します。奈良へロングドライブの予定です。大仏と、シカさんと、法隆寺と、石舞台を見学したいと楽しみにしている運営支援です。なおブログは6日以降に再開します。)
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<休みを楽しめることができるのは、楽しめるサービスを提供する仕事に従事している人がいるから>
大型連休中にも児童クラブの開所が必要だということは、この運営支援ブログは当然、過去に主張しています。2023年5月1日付の「大型連休でも、働いている子育て世帯はきっと多いはず。子育て支援としての学童保育が果たす役割はきっとある。」と題したブログです。以下に一部を紹介します。
(2023年5月1日付ブログ)
仕事を休む保護者の世帯もあるでしょう。また祝日の日でも、休めない保護者の世帯も、もちろん多いでしょう。何といっても、今はサービス業に従事している方が多い時代です。連休中こそ稼ぎ時と、営業をしている企業や店舗もたくさんあり(だからこそ、行楽地や旅行で楽しめることができるのですから)、そこで働いている人は当然、います。その人たちの中には、小学生ぐらいのお子さんを育てている世帯もきっとあるでしょう。学校は休み、学童保育所も基本的にお休み。児童館は開館しているでしょうが、仕事を休めない世帯の小学生は、おそらく、家で留守番しているケースも多いかと想像します。家に子どもを残して働いている保護者にとっては、気が気でないことと思います。
「祝日ぐらいは、子育て中の保護者は仕事を休めるように、企業が配慮すること」というのは理想ですが、現実はほぼ不可能です。時給制で働いている人にとっては、大型連休をずっと休んでしまっては収入も減ります。時給制の非正規労働者が、祝日で休んだ分の収入を雇用側が保障する制度はありませんし、今後もおそらくできないでしょう。私は、こういう大型連休や年末年始にも働いている子育て世帯を支えるために、学童保育所も、一定数の開所が必要だと考えます。もちろん、すべての施設を開所する必要はないでしょう。利用世帯が平日よりは当然、減りますから、地域ごとに開所する施設を決める、いわゆる「拠点開所」「拠点保育」を、実施することが望ましいと考えます。
学童保育所以外の子育て支援施策、例えばファミリーサポートに行政がもっと援助して、こういう大型連休中でも、子ども見守りのニーズを受け止められるように、多角的総合的に、子育て支援を行うことが必要だと考えます。
こういう主張をすると、働く側から「私たちだって休みたい」という声は絶対に出ます。もちろん、その気持ちは否定しません。大型連休中に出勤した人は、後日、まとまって振替休日を取得すればいいのですし、大型連休中に出勤した人には、インセンティブを運営組織が用意すればいいでしょう。働く人の中には、「ゴールデンウイーク中はどこも混んでいるから働いて、その分、手当ももらって、後でのんびりと旅行でもしよう」と思う人だっていると思います。働き手も、いろいろな事情の人がいますから、大型連休中であっても勤務できる人を探せばいいのです。
学童保育所も、この社会活動を支える重要な公共的社会福祉サービスです。それは、社会で活動する人を支える使命を負っているということ。社会のニーズがあるなら、積極的に対応することが必要です。そうやって社会からのニーズに対応することを積み重ねていくことが、学童保育所に対する社会的な評価の向上となり、それは学童保育所で働く人への高い賃金を社会が容認する結果を導きます。
子育てを支える仕事には、覚悟が必要です。社会的責任を果たすという覚悟が。学童保育をはじめとする子育て支援に従事する人は、社会に貢献しているという誇りと、子育て支援こそ社会を支える重要な役割だという覚悟の双方をもって、頑張ってほしいと切に願います。
そして行政も、学童保育の社会的重要性をしっかりと評価し、そこで働く人が十分に満足できるだけの補助をするべきだと、私は思います。
(引用ここまで)
<言いたいことは全く変わっていません>
ほぼ2年前に投稿したブログ記事ですが、今も訴えたいことは全く変わっていません。児童クラブの職員さんを含めて多くの人たちが大型連休の期間中、旅行先やお出かけ先においていろいろな娯楽で楽しめるのは、高速道路のサービスエリア、パーキングエリア、テーマパーク、映画館、博物館、動物園、行楽地の飲食店で働いている人がいらっしゃるからです。連休だろうが平日だろうが、交通機関、電気・ガス・水道・通信・物流・報道、警察、消防、海上保安庁、自衛隊、医療機関、スーパーマーケットや飲食店小売店、そして高齢者や障がいのある方の介護施設で働いている人がいます。公共インフラに従事する方々の中には当然、子育て世帯だって多くあるでしょう。もしかすると、家で留守番を指せているのかもしれません。働きながらも、留守番をしているこどものことを思って不安な気持ちに、あるいは罪悪感にまでさいなまれている人がいるかもしれません。
聞いた話ではドイツでは日曜日、ほぼすべての店が閉まっているといいますが、そういう世界であれば家族で過ごせる世帯が多いでしょう。とはいってもインフラ関連で働くいわゆるエッセンシャルワーカーの世帯の子育て支援は必要でしょう。
多くの人たち、まして児童クラブの中にいる人たちも、「子育て世帯は大型連休のときぐらい、休めばいい」と気軽に言いますが、それが実際にできる企業、事業者ではない組織で働いている人たちの気持ちを傷つけています。休みたくても休めない立場の人だってあります。また、飲食や娯楽サービスを提供する店や事業場で働いている人たちは、この大型連休の時期こそ稼ぎ時、雇う立場であれば当然、1人でも多くの職員、従業員に勤務してもらいたい。売り上げの多寡に直結しますからね。そういう社会の仕組みをまったく考慮しないで「休まないのは自己責任」で片づける世の中の「正論」と呼ばれる意見には、私は断固、抵抗します。時給制で働いている人、月給日給制で働いている人は、児童クラブが閉所しているために仕事を泣く泣く休んだとしたらその分、欠勤控除にもなるのです。時給分の稼ぎを無にするのです。
大型連休の時に働いてしっかりと稼ぐ。その稼いだ金で、後日、改めて、こどもや家族と一緒にのんびり過ごしたり、おでかけしたり、ごちそうを食べてその時に家族でめいっぱい楽しむ。それでいいじゃないですか。そのためにこそ、こういう大型連休の期間にこそ、子育て支援の施設はこどもを受け入れる態勢を整えるべきなのです。社会インフラであることをより社会に理解して受け入れてもらうには、祝日の社会経済活動を支える人たちを支える機能を目に見える形で、多くの人たちが実感できる形で児童クラブが実践することです。それがすなわち、社会からの高い評価と感謝を得ることになり、それがやがて児童クラブの職員に高い報酬を導くのです。
<児童クラブこそ大型連休に稼働するべき>
2年前のブログにも記しましたが、すべてのクラブが開所しなくていいのです。自治体の区域内で必要最小限度で開所すればいいのです。駅に近いとか交通の便が良いとか、もともとの登録児童数が多いとか、何らかの理由があればいい。区域内で複数の事業者がクラブを設置し運営している民設の施設が多い場合には、行政も介して相談し、区域における開所施設を決めればよろしい。すべてはこどものため、子育て世帯のためです。「うちは1施設1法人、そんな施設ばっかりの地域だから無理」ではありません。どちらを向いているのですか? 児童クラブは公の事業です。補助金を受けている施設であればまさに公に奉仕することが必要です。民設の事業者同士で相談して大型連休の開所体制を決めればいいじゃないですか。難しいですか? 本気で挑めば、決してそんなことはありません。
こういう利便性に関することは保護者が声を上げて各方面に働きかけると、より実現の可能性が高まるでしょうね。
これも2年前に記していますが、児童クラブで働く側の本音は複雑です。「私たちだって休みたい」というのは、普段からあまりにも雇用労働条件が恵まれていないから。年次有給休暇も思うように取れない。完全週休二日制だって夢のまた夢。長時間の過重労働が当たり前の過酷な世界で働いているからです。この点はもちろん、国が現実を認識して児童クラブの雇用労働条件が改善できるような施策を市区町村に指示して強力に推進することです。そのことは必要ですが、「普段の仕事があまりにも過酷」ということを、大型連休中の子育て支援の実施の可否に紐づけて考えてはなりません。別の問題です。
「休みの日ぐらい親子で一緒に過ごさないとこどもがかわいそう」というのは、単に感情的な問題です。決して子育ての放棄ではありません。そう考える支援員は、現実世界をあまりにも知らなすぎます。「自分は常にこども優先で考える、素晴らしい支援員だ」というはなはだしい勘違いに陥っています。そういった思い込みは現実の子育て支援には有害です。社会はそんな甘い考えでは成り立ちません。
子育て世帯の過ごし方の方針に対して、それが児童虐待に該当するものではない限り、「こうしなさい、ああしなさい」という意図を児童クラブ側は持つことは不要です。相談を受ければその相談に親身になって解決に一緒に取り組むのは職務としても、「大型連休の時ぐらいは休みを取って親子で一緒に過ごしたらどうですか?」という意図をもって接したり児童クラブの施策を考えたりすることは、出過ぎた行為です。むしろ大型連休中にこどもが児童クラブを利用したとして、そのこどもが児童クラブで過ごしている間、こどもが「今日はここで過ごせて留守番よりましだったよ」と思ってくれるような支援、援助、関わりを実施することが、児童クラブで働く人の仕事です。プロフェッショナルなら、そう考えるはずです。
仮に大型連休中の児童クラブ開所が実現するなら、その期間に働きたいという人を事業所内で募ればいいでしょう。特に大型連休の間は予定がない職員だっているでしょう。いくつかの事業者が連携して開所するなら、普段から接していないこどもと接する支援員、補助員もいるでしょうから事前にこどもの様子を知る機会を設けたり情報を共有するなりすればいいでしょう。事業者が、単に「これから祝日も開所するから。あとは現場でよろしく」というのでは絶対にダメです。現場の職員が少しでも安心して、こどもの安全安心を確保しつつ働けるような環境を整えることは事業者の責務です。大型連休中の開所実現には、現場職員の確保と覚悟だけではなく、むしろ事業者の覚悟と、現場が安心できる職場環境の設定、実現が必要です。
現実に従事した職員には、少しでも特別な手当てを用意しましょう。何らかの特別手当でもいいですが、4~6月の報酬で社会保険料が決まることを考えると夏の賞与、一時金や期末の手当てで、祝日稼働分の手当て分を上乗せするのもいいでしょう。それが動機になって大型連休中の勤務を希望する人が相次いで現れるぐらいの臨時手当を用意しましょう。特別な手当ても出さないで働かせるのは、私はいかがなものかと考えます。もっともそういう祝日や日曜日勤務分を考慮した基本給設定になっているなら話は別ですが。
そもそも、国や行政は、社会全体の活動を支える社会インフラとしての放課後児童クラブの価値を正当に評価し、社会活動を支えるに十分な報酬が届くようにして、その職務の専門性を評価するように努めることが欠かせません。それこそ児童クラブの世界をより奮い立たせるのですから。児童クラブの人たちは、やるときゃやる人たちです。「やりがい搾取」で疲弊しきっているだけです。
児童クラブを必要としている世帯が、必要なときに児童クラブを利用できるような状態にある、ということを目指しましょう。事業者も行政も。大型連休中や年末年始、通常の日曜日にだって働いている子育て世帯のために児童クラブができることは進んで引き受けていく、担っていく覚悟を持ちましょう。それと同時並行で、子育て世帯の労働者が、できるだけ所得補償をされつつも時短勤務や育児休業勤務ができる社会を作り上げていく努力を社会全体で尽くしていくことが必要です。その努力を後押しするのに力になるのは、子育て世帯の支援に関わっている人たちの声の集まりです。
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弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。
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放課後児童クラブを舞台にした、萩原の第1作目となる小説「がくどう、序」が発売となりました。アマゾンにてお買い求めできます。定価は2,080円(税込み2,288円)です。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員・笠井志援が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。リアルを越えたフィクションと自負しています。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、群像劇であり、低収入でハードな長時間労働など、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。素人作品ではありますが、児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描けた「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作に向いている素材だと確信しています。商業出版についてもご提案、お待ちしております。
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弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。
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「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
(宣伝です:放課後児童クラブのエアコン機器の点検と清掃を考えている方に朗報です。弊会をバックアップしてくれている、埼玉県上尾市の「SVシステム株式会社」(埼玉県上尾市の電気・空調設備施工管理会社|点検・修理・メンテナンス|SVシステム株式会社)が、「児童クラブ限定」で、格安にエアコン機器の点検と清掃を承ります。上尾市に比較的近い地域であればお伺いできます。見積はもちろん無料です。技術者のスキルは超一流。私が以前、児童クラブ運営事業者だったときからの長いお付き合いです。弊会お問い合わせメールで連絡先をお送りいただければSVシステム社に転送いたします。直接のご連絡も、もちろん大丈夫です。夏前にぜひ、エアコンの点検を!)