大地震に備えよう。放課後児童クラブ(学童保育所)で、こどもと職員が犠牲にならないよう「そなえよつねに」。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。ぜひ手に取ってみてください! 「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く成長ストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!

 大きな地震が2025年12月8日の深夜に発生しました。青森県内で震度6強を観測しました。地震の規模(エネルギー)を現すマグニチュードは7.5と推定されています。本日の運営支援ブログは、放課後児童クラブにこどもと職員がいる時間帯に大地震が起こりうることを大前提に、被害を極力、少なくするための心構えを改めてよびかけます。「放課後児童クラブに関するシルバー人材センターのニュース記事」については明日以降、取り上げます。
 (※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)

<毎年のように激しい揺れに襲われています>
 まずは12月8日深夜の地震に襲われた地域の方々にお見舞い申し上げます。日常の生活に早く戻れますように。単なる一般人であるわたくし萩原の感想ですが、地震のマグニチュードが7.5という大きな地震でしたが、震源の深さが80キロメートルと推定されているようで、比較的、地中の深いところで起きたプレート境界型地震だということで、揺れが大きかった割には致命的な被害が起きたという報道は見かけていません。これが深さ20キロ、10キロ程度になりますともっと激烈な揺れが広範囲にわたって襲ってきたでしょうし、津波ももっと大きなものが襲ってきた可能性もあります。とはいえ数十センチの高さの津波でも、人は簡単に死にますから軽視してはならないのですが。

 日本は言わずもがな地震が大変多い地帯です。広い世界で日本はそれほど大きくない地域ですが全世界で起きる地震の1割が日本周辺で起きるというデータもあります。つまり日本は日常的に地震がある地域なのです。日本気象協会のホームページには、震度ごとの地震の発生状況が一覧表で掲載されています。それを見ますと、震度6弱以上のとても強い揺れを観測した地震は、2021年以降、毎年、日本のどこかで起きています。2020年は観測されていませんが2016年と2018年には観測されています。
(ちなみに、マグニチュード7以上の規模の地震を一般的に「大地震」と称しています。また、マグニチュード7.8以上の地震を巨大地震と呼ぶようです)

 「日本に住む限り、どこに住んでいても、大地震に遭遇する可能性がある」と、徹底的に心に刻み込んでください。

<設置主体と運営主体に求めたい対応>
1 地震発生時の対応マニュアルを確認する。また現場クラブ勤務職員に確認を指示する。
 →マニュアルがあっても、理解していなければ意味がありません。マニュアルは活用できてこそ意味があるからです。「マニュアルは作った。それがどこに片づけてあるか分からない」ではダメです。策定していないのは論外です。児童クラブの立地場所ごとに即した内容になっていますか。点検しましょう。地盤が弱い地域に立地する建物は同じ規模の地震でも地震動が激しくなります。

2 避難訓練を実施するよう指示をする。
 →こういうときに行うことで臨場感が増します。揺れを感じた地域にある児童クラブは当然、西日本で今回、揺れなかった地域でも極力、避難訓練を実施しよう。地盤の弱い低湿地地帯、海や川に近く津波の恐れがある地域はなおさらです。

3 施設近くに「崖(がけ)」や「ブロック塀」がある児童クラブ施設では、避難経路を確認するよう厳重に指示する。津波の恐れがある地域に児童クラブがある場合も念には念を入れて避難経路を確認するよう指示をする。

4 地震動によって児童クラブ施設内外の物品や設置品が転倒、崩落してこどもや職員が巻き込まれないように片づけるよう点検を指示する。
 
5 職員や保護者からの問い合わせや対応の確認には、即座に返答できるようにする。
 →大きな地震が起こると、保護者や職員から「施設の建物の耐震性は大丈夫か」という問い合わせが増えます。そのときに即座に返答できなければ不安をかきたてます。即答できるよう手元に資料を準備しましょう。

6 児童クラブ施設の耐震性について点検確認する。
 →よもや、建築基準法の旧耐震基準の建物を補強することもなくそのまま児童クラブとして使ってはいないでしょうね。そういう施設が万が一、あるならできる限り早く、別の施設への移転をするべきです。「旧耐震なのを知っていて補強もせずに漫然と利用していたら、大地震がやってきた」ということには絶対にならないようにしてください。こどもと、職員が、死にますよ。

7 「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されています。このことを正しく職員、保護者に伝えましょう。こどもにも当然、説明をしましょう。

8 防災士や消防機関など防災の専門家を招いて職員と保護者に研修の機会を講じましょう。こどもには当然ながら、こどもに向けて専用の「防災を知る、学ぶ時間」を確保しよう。防災士の原則的な考え方にある「自助」「共助」「協働」のいずれも児童クラブが日ごろから大事にしている理念のはずです。自分たちで考えて行動すること、職員集団や保護者といったメンバーで一緒に行動すること、地域や行政と共に児童クラブを盛り立てていくこと、いずれも平常時から行っていることです。防災も同じで鵜s。

<児童クラブの職員、スタッフさんへ>
1 避難訓練をしよう。
 →日本のどこでも大地震が起きる可能性があるのです。「いま揺れたら一番、イヤだなぁ」という状況でこそ避難訓練をしましょう。おやつ準備中とか、外遊びと中遊びで職員が分散している状況は、対応がしづらい場面です。そういう場面でこそ避難訓練が必要です。「こどもが全員、施設内で座って待機している。職員も全員が施設内でこどもを見ていて、避難訓練開始時刻を全員で時計を見ながら待っている」状況で行う訓練は、訓練ではありません。そんなのは「訓練ごっこ」です。

2 書籍、おもちゃ、家電類など、施設に固定されていない物体を片付ける。高い位置に置かない。高い位置に置かざるを得ない場合は固定する。本棚やロッカーの固定具合を確認する。
 →地震は「揺れる」のは当然ですが、地震の規模や、地震の震源との位置によっては「物体が飛ぶ」のです。地震の揺れの勢いが「重力加速度」を超えた場合、物体は空中に飛び上がります。ロッカーの上に置いてあった書籍や遊具、家電類が「飛んで」周りにぶちあたるのです。本棚やロッカーの固定は当然しているはずですが、改めて固定具合を確認してください。地震動で物体が飛んできて室内にいるこども、職員に当たらないように整理整頓、片づけよう。

3 マニュアルの確認。とりわけ、「緊急時の連絡」について確認する。
 →地震動による被害を食い止めたら、次は「情報の伝達」を確実にすることです。地域の警察や消防、児童クラブの運営本部、そして保護者と、情報を確実に伝える必要がある相手先はたくさんあります。連絡手段や連絡方法について確認しましょう。保護者にも確認を求めましょう。連絡アプリもいざというとき必ず使えるかどうか分かりません。それなりに大きな災害時には通信制限が発動されるのでスマホ利用の連絡手段が確実に使えるかどうかなんともいえません。災害伝言ダイヤルといった今ではアナログっぽい手段が有効になることだってありえます。

4 「デマ」に惑わされないこと。
 →地震や台風、噴火のような「自然災害(天災)」には、科学的な根拠を持たない「デマ」がつきものです。特にSNSなどインターネットにはデマがたくさんあります。児童クラブの職員のみなさんは、あえて失礼なことを申し上げますが、科学的な根拠、合理的な理由を確認することなく「知ってる? こんなことがあるんだって」と素朴に信じてしまいがちな人がいます。多数ではないですがいます。地震は予知できるとか、「次はここで大きな地震が来るって話だよ」というのは、デマです。地震の確実な予知は現在の科学技術水準では不可能です。「〇月〇日〇時ごろ」という日付を特定して災害が起こるという情報は「デマ」です。デマを職員が信じてはなりません。まして、こどもに話すなんてことは、絶対にしてはなりません。

5 備蓄品を確認しよう。
 →通常、放課後児童クラブは避難先に指定されていないことが多いのではないでしょうか。小学校建物内にあるならともかく、独立した棟であれば、近くの小学校や公民館などの施設が避難先に指定されていることでしょう。そうであっても、突然の大地震でたとえ近場であっても移動に危険が伴う場合は児童クラブに留まることも大いにあります。臨機応変の対応が必要です。そのような状況で、半日あるいは1日、児童クラブに留まることになったとしてもやり過ごせるぐらいの最低の備蓄品が必要です。賞味期限を確認しましょう。

<保護者さんへ>
1 こどもには、常に「地震」のこわさを話しておこう。

2 利用している児童クラブの建物内の様子を見てみよう。危ないと思われる状況があったら遠慮なく職員に声をかけよう。
 →職員は当然、落ちて当たっては困るようなものを高い場所に置かないように意識をしているはずですが、そうはいっても、日々繰り返される日常の、「慣れ」の中では、重い図鑑が本棚の上にあったり、ロッカーにちょっとした家電類が載せられていたりと、「それ、落ちたら危なくない?」という状況が起こりがちです。前にも書きましたが、地震によっては「物が飛ぶ」揺れに襲われることだってあります。それでこどもや職員がけがをしたり命を落としたりしないように、保護者の視点で「危険チェック」をしましょう。

3 緊急時の連絡先を確認して児童クラブに最新情報を伝えましょう。
 →落とし穴です。職場が人事異動で変わった、転職した、いろいろな事情で連絡先が変わることはあるものです。必ず最新の連絡先を伝えましょう。

<最後に、豆知識>
 「震度」と「マグニチュード」は違います。混同する人が多いですが、正しい知識を会得しましょう。震度は「その場所の揺れ具合」です。揺れ具合によって被害の大小が変わりますから震度の観測は重要です。「マグニチュード」は地震のエネルギー、パワーです。マグニチュードが大きければそれだけ大きい地震で被害を起こしやすいのです。震度は各国で異なります。日本の最大の震度は「7」です。「震度8」と言っている人がいたら「ああ、この人はでたらめを言っている」と判断しましょう。マグニチュードは9もあります。震度とマグニチュードの関係はよく「電灯」にたとえられます。どんなに明るい電灯でも、100メートルも離れたら、暗く見えますよね。一方で、小さな電灯でも近づけば明るく見えますよね。マグニチュードが小さくても、地震が発生した場所のすぐ上の地面にいたら大きく揺れます。

 直下型地震について。怖いイメージで語られる直下型地震。とりわけ首都圏ではその発生が警戒されています。でも直下型地震って、首都圏だけに起こるものではありません。どんな地震でも、真下の地面の中で発生したら、その真上の地面にいる人にとっては直下型地震になります。ですから海底の地面の下でもない限り、陸地の部分で起きる地震は、地震が起きた場所の真上にいる人にとってはすべて直下型となります。こわいのは、日本ではどこにいても直下型地震が絶対に起きない、とは言えないことです。いわゆる「阪神淡路大震災」(地震の名称は「兵庫県南部地震」)は、大地震が巨大都市直下で起きた最悪の例でした。

 大地震のメカニズム。今回の東北の地震は、プレート境界での大地震と推定されているようです。あの東日本大震災(地震の名称は「東北地方太平洋沖地震」)や、発生に向けて警戒されている南海トラフ地震、そして最近はすっかり言及されなくなった「東海地震」は、地球を覆うプレート(板のようになっている岩盤のカタマリ)同士の衝突によって起きる大地震です。プレートは動いているのでどうしてもこのタイプの地震は、起きます。一方で、内陸で顕著な大地震、先の阪神淡路大震災を引き起こした地震は、プレートのぶつかりあいで起きた地震ではなくて、「ぶつかりあうことでプレートの内部にたまってしまう圧力が限界を迎えて岩盤の中でズレ(正確には「破壊」。すなわち「断層」)が生じることで起きる地震」です。ですからプレートの境界から離れた地域でも起きます。しかも巨大地震になることもあります。濃尾地震という明治時代の大地震がまさにそうでした。明治24年(1891年)の昔に起きた大地震です。

(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

投稿者プロフィール

萩原和也