児童指導員と放課後児童支援員の違いは何ですか?

 放課後児童クラブ(地域によっては学童保育所や、学童クラブといった様々な名前が付いています)において、その資格を持っている者の配置が求められる資格については、「放課後児童支援員」(都道府県知事が認定)だけです。それ以外の名称はすべて資格に基づく名称ではなく、単に慣習的に呼称しているだけです。放課後児童支援員ではない職員のことを法令上は「補助員」とひとくくりにしていますが、その補助員を指して放課後児童指導員である、と定義しているインターネット上の記事や文章がありますが、そういう呼び方をしている者は実際にいるとしても、広く社会においてそういう呼び方になっている、と決まっていることは全くありません。惑わされないようにしてください。

 児童指導員というのはまったくの通称です。何ら法令上に根拠のある資格ではありません。放課後児童支援員という資格は2015年から運用されていますが、それより以前は、放課後児童クラブに直接関係する資格はありませんでした。また、放課後児童クラブにて従事する者を「学童(保育)指導員」「(放課後)児童指導員」など、「指導員」という呼称を付けて取り扱っていました。その慣習が今もなお根強く残っているだけです。ただ、放課後児童支援員は名称独占資格ですから、放課後児童支援員ではない職員、つまり補助員は放課後児童支援員とは呼べません。放課後児童クラブで仕事に従事する人たちをひっくるめて取り扱う場合には、補助員もいると放課後児童支援員とは呼べませんから、これまで使われてきてなじみのある「児童指導員」や「学童(保育)指導員」という呼び方をすることが多いのです。法令上の根拠がないだけに自由に使える面があるということです。

 なお、児童指導員によく似た資格として、「児童の遊びを指導する者」という資格があります。これは、かつて「児童厚生員」と呼ばれていた資格です。児童館に配置が求められる資格ですが、放課後児童支援員という資格ができる前は、放課後児童クラブにおいても、この「児童の遊びを指導する者」の配置がふさわしいという扱いを受けていました。市区町村によっては「児童の遊びを指導する者」の配置を求める独自の基準を制定していた地域もあります。子どもへの関りにおいて一定程度の質の高さを求める点では評価できるものでした。なお、児童館系の業界団体と目されている児童健全育成推進財団においては、「認定児童厚生員資格」として、同財団が独自に認定している資格制度を運用しています。

 一方で、放課後児童クラブの業界の一部にも「学童保育士」や「放課後児童育成支援師」という名称で独自の資格を運用している動きがありますが、もちろん、公的なものではまったくありません。

(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)