保護者運営系の放課後児童クラブ(学童保育所)。役員、係を決めるには「お互いさま」「できる人ができることを」。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
4月は放課後児童クラブに保護者会(父母会)がある場合、新しい会長や役員、係を選出する時期でしょうか。3月の会合で内定して正式に選出する、ということも多いでしょう。役員や係を選ぶのは、学童でもPTAでもそうですが難航しがち。じゃんけんやくじ引きで会長を決めた、というクラブも多いのでは。できることなら、「お互いさま」そして「できる人ができることをやる」の精神で、穏やかに役員係決めに臨んでほしいと、運営支援はお勧めします。
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(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<保護者運営系児童クラブ>
いろいろある児童クラブのうち、運営を保護者たち、もしくは児童クラブ運営業務の一部でも保護者会が担っている児童クラブを、運営支援は「保護者運営系児童クラブ」と呼んでいます。運営主体が保護者会または保護者が実質的に中心となって活動している(地域)運営委員会である場合が代表的ですが、運営主体が市区町村やNPO法人、一般社団法人等であっても児童クラブで行われる種々の業務を保護者たちが引き受けている場合も、運営支援は保護者運営系としています。利用料徴収業務や時間外利用・遅延利用料金請求徴収業務、入退所受付手続処理、非常勤職員採用、おやつ購入業務、早朝開所の保護者輪番担当などです。まとめると、保護者会が運営主体となっていて保護者会会長または児童クラブを以前利用していた保護者が、非常勤の立場で児童クラブを代表する立場として以下の任に就いている、という場合です。
・事業運営の責任者である。
・設置主体が市町村の場合、業務委託や指定管理者の契約の当事者となっている。
・職員の雇用主(使用者)である。
・各種の契約(通信、水光熱費等)の契約主体である。
上記に準ずるものとして次のような場合です。
・運営主体が市町村やNPO法人、一般社団法人、株式会社のような法人であって、運営主体からクラブ運営に必要な業務について再委任もしくは代行を求められて業務を実施している場合。
・クラブ運営に必要な業務を運営主体と分担して担当する業務を実施している場合。
民設民営放課後児童クラブで、設置主体も運営主体も保護者会や(地域)運営委員会である場合は当然ながら保護者運営系クラブになりますし、この形態がそもそも児童クラブのルーツの1つですね。
NPO法人や一般社団法人は、その前身は多くの場合、運営主体となっていた保護者会です。任意団体(実質は権利能力なき社団なのでしょうが)である保護者会や運営委員会よりも、法人になれば契約主体として都合が良くなるので法人化することが多いのです。かつてはNPO法人がほとんどでしたが一般社団法人や株式会社の設立が非常に容易になったので一般社団法人、株式会社を選択するケースが多くなったようです。
これら前身が保護者会や運営委員会である場合、役員も保護者が順番に務めたり運営業務も保護者が担ったりする場合があって、この場合は「外見だけ法人、中身は保護者運営」です。また、事業体の中核的な業務である人事や労務、会計処理は法人が行うもその他部分的にいくつかの業務を各クラブの保護者会が担う場合も、保護者運営系の児童クラブと言えるでしょう。
つい最近(2026年4月9日)の運営支援ブログに運営主体の数字データを掲載していました。再掲します。
令和7年 なお( )の割合は、児童クラブ総数(令和7年は25,928)に対する割合です。
公立公営 5,800 (22.4%)
公立民営クラブ合計 13,543 (52.2%)
うち
社会福祉法人 3,126 (12.1%)
公益社団法人等 1,344 (5.2%)
NPO法人 1,681 (6.5%)
運営委員会・保護者会 2,362 (9.1%)
任意団体 205 (0.8%)
株式会社 4,299 (16.6%)
学校法人 190 (0.7%)
その他 336 (1.3%)
5年前のデータも紹介します。令和2年のデータです。( )は全クラブ数(令和2年は26,625)に対する割合です。
公立公営 8,103 (30.4%)
公立民営クラブ合計 12,747 (47.9%)
うち
社会福祉法人 3,664 (13.8%)
公益社団法人等 1,156 (4.3%)
NPO法人 1,835 (6.9%)
運営委員会・保護者会 3,381 (12.7%)
任意団体 256 (1.0%)
株式会社 2,109 (7.9%)
学校法人 196 (0.7%)
その他 150 (0.6%)
ちなみに民設民営の保護者系放課後児童クラブの数字データも紹介しましょう。令和7年の民立民営クラブ全体で6,585クラブのうち運営委員会・保護者会運営は1,157クラブ(全クラブのうちの4.5%)です。NPO法人運営は1,208クラブ(同4.7%)です。なお令和2年は民立民営全体で5,775クラブ、運営委員会・保護者会運営は1,466クラブ(同5.5%)、NPO法人運営は982クラブ(同3.7%)です。
上記の数字データから、保護者運営系クラブはだいぶ数を減らしているもののまだ全体の10%近く、NPO法人を含めると約15%と、まだまだ頑張っていることが分かります。部分的に事業運営の一部を保護者が担っているクラブは潜在的にもっとあるでしょうから、「保護者が児童クラブの運営に多少なりとも関わっている児童クラブ」は、全体の2~3割ほどに及ぶのではないでしょうか。
<多くの人がやりたくない役員、係>
児童クラブの役員や係は、やりたくない、むしろ「やりたくても引き受ける余裕がない」方が多いでしょう。よく言われるのが「仕事と育児の両立で忙しい子育て世帯を支えるはずの児童クラブなのに、なんでそこでさらに負担を負うことになるのか」という恨みつらみです。それは確かにその通りでしょう。わたくし萩原の基本的なスタンスは「保護者が事業運営の責任を背負う形態の児童クラブはすみやかに解消されるべきだ」というものです。その理由は「こどもの生命身体の安全を確保する責任、職員に対する雇用主と使用者としての種々の責任、そして育成支援という事業内容の実施具合に関する責任に関し、保護者が負える責任は限定的であること、法令の理解及び遵守また事業執行の管理監督面に対して限界があるため、児童クラブ運営事業の安全かつ十分な実施において限界がある」からです。ですのでわたくし萩原に言わせれば「多くの人がやりたくない役員、係」ではなくて「保護者には児童クラブ事業運営責任を伴う役員と係は、やらせてはならない」というものです。
とはいえ、現におそらく2~3割の保護者運営系クラブがあると思われる中では、実際に毎年、役員や係を引き受けざるを得ない人がいるわけです。それに対して何らかの策を示さねばそれは無責任と批判されても仕方がないでしょう。多くの人がやりたくない役員、係をなんとかしなければなりません。
<無理強いは避ける。フォローをしっかりする>
役員決め、係決めの保護者会に欠席した人に役員や係を任命するということがまかり通っていますが、やめましょう。無理やり決めた人が必要な任務を遂行しなかった場合、児童クラブ運営にダメージを及ぼすことがあります。それを考えると無理強いは避けるべきです。やめましょう。
事業運営の責任が伴う役員や係は、やるべき任務を怠ったりいい加減に実施したりして事業運営に支障が生じたときの影響の大きさを考慮すると、「できる能力がある人」にやってもらうのが一番良い。しかし、そういう能力のある人が積極的に任を引き受けるかどうかは別の話しです。難しいですね。
くじ引きやじゃんけんも多く採用されています。それも望ましくないです。まずは、時間をかけてでも話し合って役員や係を選出することです。どうしてもくじ引きなどの手法を取るのであれば、全員に対して「結果はどうあれ、全員が引き受ける」ことの了解を得てからです。任務の遂行が不十分であると事業運営に重大な結果を及ぼす可能性がある役員や係については、経験者や前任者が補佐、サブ役でフォローする体制にするなど、「いかにして任務を確実に遂行できるか」を重点にした役員、係決めをしていただきたいですね。
<本来は>
誰もやりたくない役員や係が「本当に必要なのか」を常にチェック、検討することが大事です。事業運営そのものに影響はないものの児童クラブの雰囲気や伝統を維持するために続けてきた任務を担う役員や係については、「将来も必要かどうか」を検討することは良いことだと運営支援は考えます。分かりやすい例ではいわゆる学童キャンプがあります。かつては二泊三日のキャンプをする施設も珍しくなかったのですが、保護者と職員の負担軽減が求められるようになって一泊二日、さらに日帰りデイキャンプに推移するということです。廃止したクラブの方が多いかもしれません。そもそも学童キャンプは保護者運営系ならではのもので、公営クラブや株式会社運営クラブでは行われる例は少ないですね。
時間はかかっても「運営業務そのものである業務の保護者代行は解消する」ことを目指すことが必要でしょう。時間外延長料金の徴収や入退所受付書類確認業務、非常勤職員(パートやアルバイト)の採用業務を保護者(会)が担うことは、運営主体が別にある場合にはその運営主体が引き受けるべきです。それを実現させるために運営主体や市町村と折衝、交渉するには、交渉能力や人当たりの良さ、論理的な思考ができる人が役員になってもらうことが大事ですね。「将来的に保護者の負担を軽減するために、いまこの時だけは、できる人が頑張ることが欠かせない」として覚悟を決めてはどうでしょう。
そういう場合にはしっかりと「見返り」を用意しましょう。以後の役員や係の免除は当然として、保護者会費の特別免除も保護者会の会則等に盛り込まれていることを前提に保護者会として承認するぐらいの見返りはあってよいでしょう。
<どうしてもできない人だっているはず>
児童クラブを利用する人はだれしも毎日が忙しすぎます。夫婦の家庭でもひとり親の家庭でも同じですが、ひとり親の家庭にはなぜだか風当たりが強い場合があります。「そもそもシングルになったのは自分の選択でしょ。それなのにひとり親だから大変だから役員も係もできないなんて、どの口が言うの?」という批判はよくあるものです。
ひとり親だから大変、とわたくしも断定することはしません。夫婦の家庭だって第三者から見えない家庭の中では夫は何もせず全部妻に押し付けるモラ夫の場合もあります。ひとり親だろうが夫婦そろっていようが、「何らかの事情があって、児童クラブの役員や係がどうしても担えない人だっている」ということがあるものだ、と言いたいのです。そういう人に、無理やり役員や係を押し付ける、拒否できない状態に追い込むのは、どうみても健全ではありません。そんな意地悪なこと、やめてほしい。そんなことをするぐらいなら、その係や役員は棚上げーだれも任命しないーするほうがマシです。利用料や時間外料金は個々の会員、世帯が自分で支払えば良い。
児童クラブの役員や係は「できる人が、できる範囲でやれる範囲を設定する」ことを原則にしていただきたいと運営支援は考えます。無理してやらねばならない業務を引き受ける役員や係は、根本的に見直すべきです。
児童クラブは、特に一般的な「居住地の小学校区に設置されている児童クラブに入るか、入らないかの二者択一」の場合、いろいろな家庭事情を持った世帯が利用します。表に出せない厳しい状況の世帯もあるでしょう。困っていることを困っていると打ち明けられない人がいるというのは当然にあります。わたくしは、この世知辛い世の中ー自分の利益にならないことは1ミリでも動かないのが当たり前。自分の負担をできる限り減らして得を取るライフハックを多く身につけた者が勝ちーという時代でも「こまったときはお互い様。いまはあなたを支えるから、いつか私が困ったときはみんな応援してね」という意識を(口に出さないでもちろんいいので)みんなで共有していく場で、児童クラブはあってほしいのです。
「あの人は何もしない。ただ乗り。楽している」ということで激しく怒る人も結構います。平等ではないと。わたくしに言わせれば「そんな考えをして他人にカッカと怒っている人ほどムダなエネルギーと時間を使って損している。どんな事情があるか分からないんだから、自分が他人の分まで背負って引き受けたら自分自身を褒めるだけでよい。同時に他者を責めてもムダ。どうしても楽して過ごしたい人に、苦労を背負いなさいと言って言うことを聞かせられる? ルールで決められたことを守らないのであればルール上で処理するだけの話しで、それ以外の感情面であれこれ思うのは無駄なこと」です。
その意識を本来は強く持っているべきなのが運営主体です。運営主体がそうであれば、保護者に本来は負わせないでよい事業運営責任を負わせることは解消する方向に動くはずです。
なお、わたくしが主張するのは「事業運営の責任を担う役員や係は、解消した方が良い」ということであって、個々の児童クラブや児童クラブを運営する運営事業者において、事業運営の質を向上させるために必要な育成支援の在り方や方向性について、サービスを受ける側の保護者が運営側と一緒になって意見を出し合い、議論し、一緒に考えていく「協働」は、大賛成です。そのような仕組みは必要です。また、完全なる任意で、あえて事業運営責任を背負う立場に就きたいという保護者の希望を実現できる組織体制を確保することも賛成です。ただしそれは組織を代表する立場にはなれないというルールも必要でしょう。簡単にいえば理事や役員にはなれるが代表理事や代表取締役にはなれない、ということです。社外取締役のような立場ですね。いずれにせよ任意性を確実に維持することは欠かせません。
<まとめ>
・保護者会の役員、係決めで「押し付け」はやめよう。
・くじ引き、じゃんけんもなるべくやめよう。できる限り話し合って選ぼう。
・「できる人が、できるだけの任務」をすることを徹底しよう。
・誰にもできない、誰もやりたがらない役員や係は、あえて選ばない。その役員や係が担っている任務は全員で分担する。カネの徴収なら全世帯が自分でカネを持っていけばよい。
・その役員、係が今も本当に必要なのか、常に見直す意識が必要。
・将来的な負担解消のために、あえて有能な人に役員になってもらって役員や係の態勢に大ナタを振るってもらうことは良い。その人の苦労に報いるリターンは十分に。
・人に言えない事情を秘めている人はいるもの。お互い様の精神で。「あの人は楽をしている」という考えは時間の無駄。ルールを守らない保護者がいるならルールに定められた対応をするだけのこと。
・運営主体は保護者に事業運営責任を負わせない体制を早急に確実にするべし。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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放課後児童クラブ事業を考えている民間企業の方へ朗報! 児童クラブ参入の手引きとなる「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」が公開されました。全40ページ。フルカラー。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。なお本スタートブックは弊会が作成受託しました。
(前編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf
(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf
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New! 日本版DBS制度について相談したい事業者さんにぜひともお勧めします。さいたま市南区の「エリーネ行政書士事務所」(https://www.eri-ne.com/)さんのご紹介です。行政書士の入澤えりな先生が、日本版DBS制度を中心に児童福祉施設や児童福祉の事業者様からのご相談に対応してくださいます。日本版DBS制度以外にも遺言作成・相続、介護タクシー等をメインにご相談に応じているとのことです。営業時間は平日9:30~17:00で、土日祝は応相談とのこと。ぜひ、困り事がありましたら頼ってくださいね。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)
