令和7(2025)年の放課後児童クラブ実施状況の内容を順次確認していきましょう⑥ 株式会社が当然に運営する時代だ
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。ぜひ手に取ってみてください! 「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く成長ストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
令和7年版の放課後児童クラブ実施状況についての概要報告の6回目です。おそらく今回で概要報告を終わりとして、以降は気になった点について折に触れて取り上げていきます。今回は児童クラブを運営する担い手は、もうすっかり株式会社になったということを考えます。
(※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
<運営主体の状況>
まず、クラブ数の推移です。令和7年5月1日のクラブ数は25,928か所で、前年より293か所増えました。支援の単位数では、39,424支援の単位となっており、これは1,302支援の単位、増えました。
児童クラブは、増えています。
では児童クラブを運営しているのはどういう組織なのかを調査結果から見てみます。なお児童クラブの世界では、児童クラブを設置している組織について「設置主体」と呼び、設置された児童クラブを運営している組織について「運営主体」と呼んでいます。設置主体が地方公共団体(市区町村など)の場合は公が設置していることになりますから「公立」「公設」と呼びます。運営主体が地方公共団体の場合は「公営」と呼びます。地方公共団体以外の組織や個人が設置、運営している場合は「民立」「民設」であり「民営」です。例えば保護者会が運営している児童クラブでは、保護者会が運営主体となる民営クラブです。
令和7年 令和6年 増減
公立公営 5,800 (22.4%) 6,176 (24.1%) 376クラブ減少
公立民営(合計) 13,543 (52.2%) 13,076 (51.0%) 467クラブ増加
(内訳)
社会福祉法人 3,126 (12.1%) 3,217 (12.5%) 91クラブ減少
公益社団法人等 1,344 (5.2%) 1,242 (4.8%) 102クラブ増加
NPO法人 1,681 (6.5%) 1,713 (6.7%) 32クラブ減少
運営委員会・保護者会 2,362 (9.1%) 2,552 (10.0%) 190クラブ減少
任意団体 205 (0.8%) 239 (0.9%) 34クラブ減少
株式会社 4,299 (16.6%) 3,554 (13.9%) 745クラブ増加
学校法人 190 (0.7%) 186 (0.7%) 4クラブ増加
その他 336 (1.3%) 373 (1.5%) 37クラブ減少
民立民営(合計) 6,585 (25.4%) 6,383 (24.9%) 202クラブ増加
(内訳)
社会福祉法人 2,086 (8.0%) 2,030 (7.9%) 56クラブ増加
公益社団法人等 558 (2.2%) 500 (2.0%) 58クラブ増加
NPO法人 1,208 (4.7%) 1,176 (4.6%) 32クラブ増加
運営委員会・保護者会 1,157 (4.5%) 1,181 (4.6%) 24クラブ減少
任意団体 69 (0.3%) 65 (0.3%) 4クラブ増加
株式会社 664 (2.6%) 591 (2.3%) 73クラブ増加
学校法人 371 (1.4%) 364 (1.4%) 7クラブ増加
その他 472 (1.8%) 476 (1.9%) 4クラブ減少
合計 25,928 (100.0%) 25,635 (100.0%) 293クラブ増加
参考までに令和3年度の調査結果を紹介します。
令和3年 令和2年
公立公営 7,663 (28.5%) 8,103 (30.4%) 440クラブ減少
公立民営(合計) 13,183 (49.0%) 12,747 (47.9%) 436クラブ増加
(内訳)
社会福祉法人 3,693 (13.7%) 3,664 (13.8%) 29クラブ増加
公益社団法人等 1,230 (4.6%) 1,156 (4.3%) 74クラブ増加
NPO法人 1,878 (7.0%) 1,835 (6.9%) 43クラブ増加
運営委員会・保護者会 3,198 (11.9%) 3,381 (12.7%) 183クラブ減少
任意団体 274 (1.0%) 256 (1.0%) 18クラブ増加
株式会社 2,539 (9.4%) 2,109 (7.9%) 430クラブ増加
学校法人 214 (0.8%) 196 (0.7%) 18クラブ増加
その他 157 (0.6%) 150 (0.6%) 7クラブ増加
民立民営(合計) 6,079 (22.6%) 5,775 (21.7%) 304クラブ増加
(内訳)
社会福祉法人 1,917 (7.1%) 1,834 (6.9%) 83クラブ増加
公益社団法人等 432 (1.6%) 391 (1.5%) 41クラブ増加
NPO法人 1,066 (4.0%) 982 (3.7%) 84クラブ増加
運営委員会・保護者会 1,417 (5.3%) 1,466 (5.5%) 49クラブ減少
任意団体 85 (0.3%) 80 (0.3%) 5クラブ増加
株式会社 442 (1.6%) 354 (1.3%) 88クラブ増加
学校法人 311 (1.2%) 282 (1.1%) 29クラブ増加
その他 409 (1.5%) 386 (1.4%) 23クラブ増加
合計 26,925 (100.0%) 26,625 (100.0%) 300クラブ増加
この調査結果からうかがえることをまずは挙げていきます。
・公立公営はどんどん減っている。
・公立民営は5割を超えて増加中。
・公立民営の社会福祉法人運営クラブが減少。
・公立民営のNPO運営クラブが減少。
・公立民営、民立民営とも保護者会運営委員会クラブは減少が続く。公立民営ではついに1割を切った。
・公立民営の株式会社運営クラブは依然として増加が著しい。
・民立民営クラブは着実に増えている。
・民立民営クラブが全体の4分の1を超えた。
・株式会社運営クラブは公立が民立の約7倍もの多さである。
<運営支援の考察>
上記に挙げた点をわたくし萩原が独断と偏見で考察します。
「公立公営はどんどん減っている。」について。
この傾向は民営化ができない公営クラブだけになるまで続くでしょう。行政機構のスリム化、児童クラブ運営事業に費やされる手間ひま(保護者対応や職員への対応の業務)を削減したい意向がある限り、ずっと続くでしょう。民営化して民間にクラブ運営を委ねることができるならそうしてしまって少しでも職員数を減らすという自治体の意識がある限りきっと公営クラブ減少は続きます。何より、利用者からの苦情やクレーム対応、何かと手を焼く職員の労務管理にも自治体直営を続けようという意識はブレーキがかかります。
さらに日本版DBS対応がこれからのしかかってきます。公立の保育所や小学校があるんだから公営クラブだってたいしたことはないだろう、と思うのは行政執行部の現場を少しでも見ていた者には考えられないことです。極度の縦割り組織である行政機構が、「学校も保育所も公営児童クラブも一緒に取りまとめて作業をしよう」となるはずがありません。担当部署がそれぞれ作業に取り組むのが関の山。日本版DBSには取り組まねば市民住民からの問い合わせが相次ぐので数年以内には認定事業者になることを目指すとしてその作業は民営化してからになるでしょう。
こんな状況で「児童クラブの公的責任を果たすために公営クラブにすることを求める」という意識を持った活動に、何の現実的な意味と価値があるのでしょう。本気で公営クラブにすることを目指すのではなくて、単に自治体内部にある職員労働組合の加入者を増やしたいとか、実現しないスローガンを叫ぶことでそのスローガンを叫ぶ団体に存在意義を与えている(実現してしまったら、もうスローガンを叫ぶ団体の存在意義はなくなりますからね、スローガンは実現してしまったら困るのです。万年野党のお気楽さ、と同じです)としか、わたくし萩原には想像がつきません。
これは「準公営」ともいえる社会福祉協議会や自治体の外郭団体である福祉事業団にもおおむね当てはまります。なお同じく準公営組織であるシルバー人材センターは、構成員である世代がしばらく多いので稼働できる人員数を確保しやすい点で、シルバー人材センターが児童クラブ運営に関わるケースはしばらく増えるでしょう。
なお公営クラブは、おおむね、「予算を多くつぎ込まない」ので施設が古かったり児童受入時間や期間が少なかったりしますが、逆に「徹底的にやる」と腹を据えた公営では祝日に開所するという民営ではとても支出を考えて実施できない施策を実行します。これこそ公営の強みなのです。この国全体が、福祉にはカネがかかることを当然のことと理解して、児童クラブ事業単体で利益を上げられなくて構わないという理解のもと、児童受入時間を長くして祝日や日曜日にも開所するなどすれば、公営クラブの存在意義はぐんと上がります。もちろん雇用する職員は単年度の会計年度任用職員だけではなく常勤職員だけは正規職の公務員とするべきでしょうね。
「公立民営は5割を超えて増加中。」について。
公営クラブが減っていることの裏返しですが、公立民営クラブが増えているということはそれだけ「補助金ビジネス」の市場が拡大していることを意味します。公営クラブの減少分を上回る増加数ですから、待機児童が多い地域を中心に公設クラブが増える、しかし運営は民間にゆだねる、という潮流が当然のようになっているのだろうと推測します。
「公立民営の社会福祉法人運営クラブが減少。」について
興味深いです。令和3年の時点では増加傾向にあったのですが減少傾向に転じた背景があるでしょう。令和5年から6年にかけても大きく数を減らしています。考えられるのは社会福祉協議会や福祉事業団などの準公営組織による運営クラブが他の民間組織の運営に替わったことによる現象です。現に、公募型プロポーザルや指定管理者の選定委員会で、社協などが広域展開事業者運営に運営権を奪われてしまうことが各地で起きています。一方で、都内や三重県などでは社会福祉法人が各地で児童クラブを設置運営する事例が増えていますので、社会福祉法人でも社協系の運営クラブは減り、旺盛な事業展開意欲を持つ少数の社会福祉法人によるクラブ運営数の増加はこれからより顕著になるでしょう。
「公立民営のNPO運営クラブが減少」について。
これも最近続いているトレンドです。令和3年の時点では増えていましたが今や減少傾向に転じています。考えられる要因は、1法人1クラブや数クラブといった、零細規模のNPO法人による児童クラブが減っているということでしょう。そのようなNPO法人運営クラブは法人運営といっても事実上は保護者運営と同じですから、運営が困難になって解散する、あるいは児童数減少で閉所する、という事例が各地で起きているようです。
また、所沢市のNPO法人をその先陣として、保護者運営による任意団体運営クラブが法人化をする際に、法人化の作業が容易であったNPO法人での法人化がほぼ一択だった時代から、今や一般社団法人や株式会社等の方がより容易に法人化ができるようになりました。社員数を10人以上確保する必要があるNPO法人より、よっぽど他の法人の方が設立は容易です。また、NPO法人クラブが誕生するには保護者会運営クラブからの法人化がその源流でしたが大元となる保護者会運営クラブが減ってしまえば、NPO法人クラブもまた誕生数が減ることになるのは当然です。
もともと保護者運営の児童クラブとNPO法人は親和性があります。従来の保護者運営の児童クラブは、保護者が実質的に半ば強制的に従事を余儀なくされる面は大いに影響していたとしても「子育てをみんなで考えよう、みんなで取り組もう」という理念に(強制的にでも)包まれる形で1つの団体となっていたので、それはつまり構成員で共有した理念を事業に反映させるNPO法人という形態に適合します。
ところが、負担感という言葉に象徴されるように「どうして利用したいだけなのに運営まで背負わされるのか」という疑問がもはや当然の主張となってしまった現在は、子育てに関する理念を強制的にでも共有させて事業運営に従事させるというNPO法人本来の事業形態では、いちじるしい乖離、距離感が生じてしまっています。とりわけNPO法人運営の場合に見られる「児童クラブを利用するには会員になること。つまり会員の強制加入」という点は、団体に参加するしないを個人の判断で行うのは当然だとする意見の前にはまったくもって優位性を持たないことも影響しているでしょう。
NPO法人でも広域展開事業者はありますが、それらは事業型のNPO、つまり法人形態はNPOですが組織内部の意思決定機関はごく普通の企業と変わらない形態であることがほとんどです。これからしばらくは、理念共有型の本来のNPOによる児童クラブ運営数は減り、事業型のNPOによる運営が増えていくでしょう。そしてわたくしはこの事業型NPOに期待と危険性を共に感じます。「こどもの利益を最優先に、保護者の考えを事業運営に十分反映させる。職員の雇用をしっかりと確保する」という保護者会由来のNPOが往々にして抱いていた理念がそのまま事業型NPOでも組織の中核理念となっていればいいのですが、そんなのは単に表向きだけで中身は貪欲な利益追求至上主義の場合、「表面上は非営利をうたっていかにも社会正義に寄り添う」としつつ不十分な情報公開の壁の中では利益至上主義が跋扈して職員は最低賃金レベルでの雇用かつ職員数も極限、残業代もろくに出さないという、非営利法人だからこそ認められている優位性を悪用している組織団体がきっとあるだろうと、わたくしは感じているのです。それであればまだ、「カネ稼ぎしたいです」という営利企業による児童クラブ運営の方が、意図が明確なだけにまだマシです。
NPO法人運営クラブには、国や自治体の徹底した管理監督、また情報公開の義務付けが必要でしょう。
なお、公立民営のNPOクラブの減少数と、民立民営のNPOクラブの増加数が釣り合っています。もしかすると、可能性はかなり低いですが、委託等を受けていたNPOクラブが施設の権利移転等で民営クラブになったという可能性があるかもしれませんね。
「公立民営、民立民営とも保護者会運営委員会クラブは減少が続く。公立民営ではついに1割を切った。」について。
これはもうやむを得ないことです。児童クラブのルーツの1つですが、事業運営を保護者が行うことはもう時代遅れです。かつては、国や自治体から投入される資金が少なく、運営そのもののコスト、組織運営に要するコスト(いわゆる間接経費)がほとんど確保できないので保護者が手弁当で労務を無償で引き受けるほかなかった。保護者が設立したクラブだからと行政もろくに補助を出さなかった。保護者が必要に迫られて生み出した仕組みだけに公の強力な援助が少なかった時代は、保護者による運営が当然でもありました。それは労務負担の重さに耐えかねてクラブ入所をあきらめた子育て世帯の声なき声の上に繁栄した仕組みでありました。種々の法的責任を考えない、無視することで成り立っていた仕組みでもありました。
もはやそういう時代ではなくなったのであれば、コンプライアンスで問題のある保護者運営クラブが減るのはやむをえません。まして「日本版DBS制度」です。これはもう保護者運営が手に負える制度ではありません。日本版DBS制度は、保護者運営と保護者運営と実質において同等の法人組織運営クラブに、きっぱりと引導を渡す制度です。この極度に事業負荷が大きい制度を児童クラブが受け入れるには、保護者運営組織の理念を受け継ぎつつ事業規模を拡大した法人組織か、本業が別にある大きな法人か、児童クラブ運営を事業の中核としている広域展開事業者か、それらの運営組織でしか対応ができないでしょう。公営クラブは当然対応はできますが、制度実施に関するコストを考えると民営に「丸投げ」する方向性に勢いがつくでしょう。
それにしても、ついに1割を切りましたか。わたくしは、保護者運営を由来とする法人組織の児童クラブにお世話になった人間です。保護者が運営に関与することの利点は非常に重要だと感じています。むしろ必須であるものと考えます。それは事業運営の責任を強制的に負わせられることがなく、保護者が運営に関して意見を言い、事業運営に反映させる手段を確保することです。むろん法的な責任を背負って運営に加わることを希望する保護者を排除する必要はなく、そのような保護者が1人でもいてくれればありがたい、ぜひ経営陣に加わってほしいと考えるものです。ただし、万が一の場合に「わたしは保護者で、無償で役員をしているので、事業運営に関わる責任は免除してください」は通用しません。何か問題があったらしっかりと賠償責任を含めて向き合っていただきます。そのような覚悟のある保護者がどれだけいるか分かりませんが。保護者運営クラブは、この数年のうちに、日本版DBS制度をにらんで、「保護者運営の理念を事業の中核としてゆるぎない法人運営組織に昇華させて発展させる」ことを目指すべきでしょう。形は法人化しても理念は次代につなぎ続ける、ということです。業界団体が早くその点に気づくべきですがね。
「公立民営の株式会社運営クラブは依然として増加が著しい。」について。
補助金ビジネスが拡大しつつある証拠ですね。公営クラブが減ってNPOも減って保護者運営クラブも減って、しかし公立民営の株式会社運営クラブは大きく増え続けている。これはもう、公の事業である放課後児童健全育成事業を引き受けてビジネスとしている企業がどんどん運営クラブを増やしていることにほかなりません。象徴的なのが実施状況の表の調査項目の記載の順序ですね。かつては公立民営の株式会社運営クラブは数が少なく、記載の順序が下の方にあっても不思議ではありませんでした。保護者会運営はもちろんNPOよりも運営数が少なかった。それがもはや公立民営では最多の運営数になりました。時代の変遷を感じます。
ですので、今もまだこの時代の動きを知らないのか、保護者運営や非営利法人運営クラブだったものが公募や競争で企業に運営権が移ったときに「企業が児童クラブを運営するなんて、公的な責任の所在はどこにいったの!」と反対の声を上げる方々がその時になって登場するのですが、いかに普段から児童クラブの状況について無関心であったかの裏返しです。とっくに企業が運営することが主流となってしまっているのです。その大前提を無視して「企業委託反対!」と声を上げても、行政や一般社会から「今迄、何を見ていたの?」と冷ややかに見られて無視されておしまいです。
いまや児童クラブは企業(正式には広域展開事業者ですが)運営が当たり前で、それらが収益を上げる手段として児童クラブ運営が利用されているのだ、という認識のもと、「こどもと職員に優れた児童クラブであるためには?」を考えるべきです。情報公開を徹底させるとか、賃金条項付きの公契約条例を厳しく守らせるとか、手法はいろいろあるでしょう。仕様書、契約書で児童クラブ職員の賃金に高い下駄をはかせるのも良いでしょう。一番節約されて利益に転嫁されやすいのは人件費部分ですから、職員の雇用について欠員は許さないとすれば高い賃金を提示して雇用せざるを得ませんので、要は、国や行政、議会が、「運営する団体はどうあれ、質の高い児童クラブを目指してほしい。ついては、このようなルールを守ってもらう」と示せばよいだけの話です。それが弱すぎるから、高齢者ばかりを最低賃金レベルで雇用して、決められたプログラムをただマニュアル通りに実施させることで「多様性のあるこどもの保育」を自慢する馬鹿げた企業がどんどん児童クラブを運営したり、ただ怒鳴るだけしか能が無い人物を雇用(というか最低賃金レベルで雇用される人にはそういう方が往々にして紛れ込みます)して牢獄みたいな児童クラブを増やしているのです。貧すれば鈍するのが、市場化された児童クラブの一面です。
「民立民営クラブは着実に増えている。」「民立民営クラブが全体の4分の1を超えた。」について。
これはもう、待機児童の減少または解消または予防、大規模状態解消のために、公的な施設を予算を出して設置できない又はしたくない自治体が、民設民営クラブを公募している例が相次いでいることから、当然の結果です。民間活力の利用と言えばそれまでですね。これは望ましいことだと運営支援は考えます。
「株式会社運営クラブは公立が民立の約7倍もの多さである。」について。
株式会社(というよりも本質的には広域展開事業者であり、それは非営利法人をも含むのですが)の運営が民立より公立が多いのは、児童クラブの世界を知っていれば当然だと理解できることです。「えっ、民間企業が手掛けるのに公立の方が圧倒的に多い理由が分からない」という人には、前にも触れた「補助金ビジネス」という言葉を紹介します。公の事業のアウトソーシングを、収益事業の柱(の1つ)としている企業が多いのです。それは、公の施設を利用して「運営することで」利益を得るのですから、公の施設ではなくて自前で施設を用意する民立民営クラブを手掛けることは「施設を用意するコストが余計に必要となる」から、アウトソーシングを徹底する広域展開事業者には、好き好んで行うものではないのです。
例外は、「いずれその地域の公立公営クラブが民営化されるときに、その地域における放課後児童健全育成事業の実績をもって公募や指定管理者選定に参加できるので、その実績作りとして民立民営クラブを運営しておこう」というパターンです。いわば先行投資、といえますね。広域展開事業者も運営クラブ数の多さでは上位に位置する企業団体や、「これから児童クラブの市場をガンガン確保していくぜ」という意欲を隠さない企業団体には、このような先行投資型の民立民営クラブを認めることができます。
通常は、広域展開事業者はコンビニや飲食店によくある「ゾーン戦略」を取ります。基幹職員の動ける範囲に集中して運営する児童クラブを増やすのですが、時々、ポツポツと、近くに同じ企業団体が運営するクラブがないのに広域展開事業者運営クラブを見つけることがあります。公募や競争で負けて1つしか獲得できなかったこともあるでしょうが、「次の機会では一気に奪い取る」として先行投資で児童クラブ運営に乗り出すという可能性が高いものと運営支援は考えています。
待機児童を減らす、大規模状態を解消するには、素早い施設整備が必要です。それには数年かかる公設クラブよりも、意思決定と行動が早い民間の活力を利用することが合理的です.その点で、資金力のある広域展開事業者にはぜひとも社会的責任、公益に資する経済活動をも取り入れていただきたいと強く願います。国も、民間施設の新規建築に係る補助金を創設し、十数年先に児童クラブ以外の転用を認めるなど規制緩和をして、プレハブ等の児童クラブ新設を容易にすれば、株式会社(というよりも広域展開事業者)の民立民営クラブがもっと増えるでしょう。それは最終的にはこどもと保護者、地域社会に貢献するはずです。国は、放課後児童支援員になるための資格緩和ばかり検討するのではなくて、「どうすれば質の高い児童クラブが増えるか」の観点での規制緩和を検討して実施してほしいですね。
(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
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「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆
New! いわゆる日本版DBS制度を専門分野の1つとして事業者の取り組みを支えたいと事業活動を始めた新進気鋭の行政書士さんをご紹介します。「行政書士窪田法務事務所」の窪田洋之さんです。なんと、事務所がわたくしと同じ町内でして、わたくしの自宅から徒歩5分程度に事務所を構えられておられるという奇跡的なご縁です。窪田さんは、日本版DBS制度の認定支援とIT・AI活用サポートを中心に、幅広く事業所の活動を支えていくとのことです。「子どもを守り、あなあたの事業も守る。」と名刺に記載されていて、とても心強いです。ぜひ、ご相談されてみてはいかがでしょうか。お問い合わせは「日本版DBS導入支援センター | 行政書士窪田法務事務所」へどうぞ。
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)


