今年の夏も「猛暑」になる?学童保育所(放課後児童クラブ)の猛暑対策に国は緊急に補助をするべきです!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育の問題や課題の解決に向け、ぜひ皆様もお気軽に、学童保育に関するお困りごと、その他どんなことでも、ご相談やご依頼をお寄せください。講演、セミナー等をご検討ください。

 2月20日に、気象庁が夏に関して予報を発表しました。それによると、今年の夏も全国的に気温が高いとのことです。弊会は国と市区町村に、熱中症から学童保育所の子どもと職員の命を守るため、猛暑対策の緊急特別措置を実施してほしい」と要望します。その措置は以下の通りです。
・空調施設の整備に関する緊急補助(補助率は国の10分の10)
・学童保育所における子どもの人数を適正として室温の上昇を避けるため、大規模学童保育所の分割の推進
・夏季休業期間中、日中に空調の効いた小学校内や公共施設内で過ごせることができるよう施設借用が容易に実現するよう強力な指導

 もちろん、絶対に猛暑になると決まったわけではありませんが、「常に最悪を想定して対応する」ことが危機管理の鉄則です。tenki.jp(日本気象協会)が20日16時46分に配信した記事を一部引用します。
「今日20日は、気象庁からこの先の3か月予報と夏の暖候期予報が発表。今夏も全国的に気温が高く、「猛暑」となる可能性があります。春の終わりから気温が高く、早めの熱中症対策が必要です。」
「日本の南では太平洋高気圧の西への張り出しが強まり、日本付近には太平洋高気圧の縁を回って、暖かく湿った空気が流れ込みやすいでしょう。これらのことから、日本付近は、暖かい空気に覆われやすくなる見込みです。この理由から、全国的に気温が高い見込みで、この夏もまた「猛暑」となる可能性があります。」
「熱中症を予防するには、以下のポイントを心がけてください。
①暑くなり始めの頃から、暑さに備えて体づくりを行いましょう。「やや暑い環境」で「ややきつい」と感じる運動を、毎日30分程度行い、体を暑さに慣れさせてください。
②できるだけ暑さを避けて、喉が渇く前から水分補給を心がけましょう。なるべく涼しい服装を心がけ、日傘や帽子も活用するのが効果的です。入浴の前後や、起床後も、まずは水分を補給しましょう。汗を大量にかいた場合は、水分だけでなく、塩分補給も忘れないでください。
暑さを我慢せず、エアコンを使って室内の温度を適度に下げましょう。室内に温度計を置き、こまめに室温を確認しながら調節するとよいでしょう。なお、感染症対策として換気を行う場合は、窓とドアなど2か所を開放したり、扇風機や換気扇を併用したりするのが、おススメです。換気後、エアコンの温度は、こまめに再設定してください。
 もし、少しでも体調が悪いと感じたら、無理をしないで、自宅で静養することが必要です。高齢者や子ども、障がいのある方は、特に熱中症になりやすいので、周りの方が気を配るなど、十分ご注意ください。」
(引用ここまで。なお、太字は私が施したものです)

 学童保育所(この場合、放課後児童クラブ)は、多くの子どもの生命身体の安全を確実に保障しなければならない場所でありながら、夏の猛暑に対する対策は大変、遅れている施設が多いです。それは事業者側の責任ではまったくなく、すべからく、学童保育に投下される予算が足りず施設数が少ない、あるいは空調設備が十分整わないことに加え、子どもの過ごす環境における「快適性」まで留意した施設整備が必要だという認識にも欠けているからです。

 学童保育所の中には、民家を借りて利用しているところもあります。そのような施設では、エアコンはおおむね家庭用の壁かけタイプでしょう。それでは、猛暑における冷房能力は期待できません。また、ビルのテナントとして入居している学童保育所や、市区町村が設置した学童保育所に多い、天井埋め込み式の業務用エアコンであっても、設置してから十数年以上も経過していれば、老朽化によって冷房能力が落ちている可能性が十分にあります。
 それらの施設に対して、国は緊急に、空調設備に対する補助を創設し、熱中症を防止できる程度の室温にまで下げられるような空調設備の整備に乗り出すべきです。新型コロナへの対応と同じく、国は補助率100%で空調設備整備を強力に後押しするべきです。

 大規模学童保育所の解消は熱中症対策で極めて重要です。残念ながら大規模学童保育所は今なお増え続けています。当たり前ですが、子どもの人数が多ければ多いほど、施設内の室温は上昇します。人間という発熱体が何十人もいれば、そりゃ室温が高くなって当然です。熱中症対策で室温をコントロールするには、大規模学童保育所を解消することが手っ取り早いのです。国は、市区町村が大規模学童保育所の解消にもっと取り組めるよう、新規学童保育所の整備に、さらなる補助を強化するべきです。市区町村も、予算を割り振る優先順位を、「子どもと職員の命を守るため」として学童保育所の整備を上位に置くべきです。

 そして、国や市区町村の行政担当者が見落としがちなのが、ソフト面です。つまり、学童保育所で子どもたちが過ごす上で熱中症対策によってどの程度、影響を受けているかについての判断です。学童保育の本質である放課後児童健全育成事業は、子どもに生活の場と遊びを提供することになっています。生活の場における熱中症対策は上記の通り、空調設備の強化ですが、遊びに関する熱中症対策もまた必要です。しかし、熱中症危険指数の値によっては、子どもたちに必要な遊びに制限を加えざるを得ません。外遊びができない状況で、子どもたちに「座って読書しましょう」と言っても、子どもたちのストレスは増すばかりです。体を動かして遊ぶことが、当たり前ですが子どもには必要です。

 しかし、外は暑くて遊べない。ですから、空調が完備している市区町村の施設があるのなら、それを容易に学童側が借りられるよう、手続きの簡素化などに市区町村が十分取り組むよう、国は指導してほしいのです。現実に、小学校の体育館を借りようとしても、「何日も前に予約していないとダメ」とか「学校施設開放委員会(注:小学校の校庭や体育館などを外部団体が使用するために調整を行う委員会のこと)に加入していないからだめ」とか、「夏休み中は教職員が少なく管理ができないから貸せない」とか、いろいろな障害、難癖?をもって、容易に機動的に学童側が小学校や公共施設を借りられることが難しいのです。

 体を動かせる場所だけではありません。少しでも学童保育の施設内における人数を減らすため、図書館、公民館などを借りてそこに子どもの一部を移動させることも必要になります。その場所を借りるための手続きも、事前に調整されていない、利用における協定がない、等の理由で、とかく学童側が「いま、きょう、借りたいのに!」それがなかなかできない現実があります。とかく、「お役所」は、融通が利かないのです。

 いいですか、人の命がかかっているのですよ。熱中症は、適切な対応ができなければ命がたやすく失われてしまう危険な状態です。大変危険な熱中症ですが、予防も簡単です。涼しい場所、空調が効いた場所があって、そこで子どもたちが過ごせる、遊べる、それだけで子どもと職員の命を熱中症から守れます。それを実現するためには、これも簡単、「国や市区町村が、お金を出して設備を整える」だけです。

 これだけ毎年、猛暑だ熱中症だと言われておきながら、万が一、過密で苦しんでいる学童保育所で子どもや職員が熱中症で死亡する、あるいは重篤な後遺症が残るという事態になったとき、私は、行政の不作為による未必の故意の犯罪行為であるとまで言いたい。容易に予想でき回避の方策も取れたのに、それを行ったということですから。

 ぜひとも国は学童保育所における熱中症対策に本気を出していただきたい。業界団体も強く要望するべきです。いつまでも保護者の運営参画が大事だ、なんてことだけを言っているようでは困ります。いま、そこにある危機について提言を重ねてこそ業界団体の存在意義です。
 最後に、学童保育所の事業者も、快適な環境づくりに取り組む責務があります。「国が、市区町村が、カネを出さないから」何もできないではありません。予算をあまりかけなくても可能な熱中症回避策を大至急検討して導入するべきです。職場の快適性を確保するのは労働安全衛生法において事業者の義務となっているのですから。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。

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