「放課後児童クラブ(学童保育所」)用語辞典・運営支援版です。まるで悪魔の辞典? 楽しみながらご覧ください!
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援が独自の解釈で紹介する、放課後児童クラブ(学童保育所)用語辞典のページです。随時、加筆修正します。なお、このページで紹介している用語辞典ですが、「知られざる学童保育の世界」にも掲載しています。ぜひ、お買い求めください。
※当ページは2025年10月20日開始。
※放課後児童クラブの現場でこどもの援助、支援に関わっている皆様にお願いです。ぜひ、児童クラブで楽しんでいる「あそび」「ゲーム」について、この用語辞典に追加できるよう情報をお寄せください。お待ちしています。なお掲載される項目には氏名と所属先も掲載いたしますのでご了承ください。
※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。
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【頭おかしい条例(あたまおかしいじょうれい)】こどもだけの登下校や留守番、公園で遊ぶことを児童虐待だとする埼玉県の条例改正案に対して全国的に盛り上がった反対運動のキーワードとしてメディアで取りざたされた用語。「留守番禁止条例」ともども、インパクトの強さからあちこちで使われたが、「頭おかしい」という差別的な用語に疑問を持たない提唱者やメディアの姿勢は、運営支援としては大いに批判されるべきだと考える。この用語の意味するところは「頭がおかしい(人たちが作った)条例改正案」であろう。では、こどもの前で普通の大人は、「あの人は、頭がおかしい」と発言できますか? あの人とは考え方が違う、あの人の考え方は間違っているとは言えても、「あの人は頭がおかしい」という侮蔑的な言葉遣いは断じて行うべきではないと運営支援は思う。この用語を使って平気な人は、人間の尊厳、人権を守ることが絶対的に必要だ、という感覚が本当は備わっていないとすら運営支援には思える。こどもの前で使いたくない、こどもに使ってほしくない言葉づかいを大人が行って得意気にいることが、よほど「おかしな状況」であろう。
【育成支援(いくせいしえん)】放課後児童クラブ運営指針に定義された放課後児童クラブの事業目的。こどもが安心して過ごせる場所において、こどもが主体的な遊びや生活が可能となるよう、その自主性や社会性、創造性の向上と基本的な生活習慣の確立を図ること、及びその支援、援助を行う。放課後児童クラブの職員はこの育成支援が業務内容となる。
【育成支援討議(いくせいしえんとうぎ)】放課後児童クラブ職員による、クラブ登録児童の援助、支援に関する方針と具体的な手法について協議して内容を共有するための会議のことで、放課後児童クラブの運営支援が独自に提唱しているもの。とりわけ、丁寧かつきめ細やか関わり方が必要となっているこどもに対する職員の対応方針を職員全員で共有するために必要な会議。可能な限りにおいて開催数、参加人数が多ければ良い。小説「がくどう、 序」にその様子が描写されているのでどうぞご参考に。(2025年10月29日追加)
【運営指針(うんえいししん)】厚生労働省が定めた放課後児童クラブ運営指針のこと。全国の放課後児童クラブを望ましい方向に導いていくための統一的な標準仕様としての位置付けとされる。指針なので法的に強制力はなく守らなくても罰則はないが、放課後児童クラブはこの指針に沿った運営が求められる。放課後児童クラブの運営者と職員は指針の内容を完全に理解して実践することが必要であるが、現実は心もとない。
【運営主体(うんえいしゅたい)】放課後児童クラブを運営する組織、事業者のこと。主に放課後児童クラブの議論の場合に使われる。市区町村や営利法人、非営利法人、任意団体(保護者会、地域運営委員会)、もしくは個人。
【お迎え待ち(おむかえまち)】放課後児童クラブの閉所時刻が迫る時間帯や、あらかじめ保護者が迎えに来る時刻が分かっている場合に児童クラブ職員がこども(たち)に対して促す態勢またはその時間のこと。基本的には、持ち物を片付けてランドセルをロッカーからすぐに取り出せる状態にしておいて、こども自身は施設内で座って遊んだり読書したりして迎えを待つ。その日、こどもに何らかの事態が起きていた場合の職員たちは「今日は大事なことを伝えなきゃ。数十秒でどれだけ伝えられるか」と内心は緊張して頭の中でシミュレーションを繰り返すこともある。自動的に午後6時(30分)以降をお迎え待ちとしてこどもたちに座って過ごすよう呼び掛けている児童クラブもある。(2025年10月21日追加)
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【会計年度任用職員(かいけいねんどにんようしょくいん)】2020年4月から導入された制度で、非正規の公務員の地位を安定させる目的があるとされる。一定以上の勤務条件で期末手当や地方公務員等共済組合保険への加入、退職手当の支給対象となる。一方で、月額賃金の引き下げや雇い止めが問題となっている。最低賃金とほぼ同額で雇用される場合が多く、官製ワーキングプアの温床という指摘も根強い。
【開所時間(かいしょじかん)】放課後児童クラブがこどもを受け入れている時間。こども家庭庁は通知(令和6年12月27日付)で「開所時間とは、児童を受け入れることができる時間を指しており、これは小学生が実際に利用可能な時間、一般的に考えると学校の授業が行われていない時間(放課後児童クラブの運営に関する会議や打合せ、保護者等との連絡調整等の開所時間の前後に必要となる準備時間を除く時間)であり、かつ以下の①~③の要件を満たすことが求められます。① 開所時間について、国基準を参酌の上各市区町村が定める条例や、各事業所が定める運営規程等に定めており、利用者(保護者、児童)に周知していること。② 開所時間中は、職員の配置基準を満たしていること。③ 開所時間の設定に当たっては、事前の把握による利用者の利用ニーズがあることに加え、そのニーズを対外的に説明できる根拠資料(学校の時程表等により開所時間を確認できるもの)を備えておく必要があること。」と定義しています。問題は「準備時間」です。準備時間として説明されている内容は児童クラブ職員が業務を行う上で必要不可欠な勤務に必須の時間です。多くの自治体では開所時間を基に職員の勤務時間を決めていますが、準備時間こそ重要な時間であるという視点が抜け落ちています。スーパーマーケットは営業時間だけ従業員が働いている訳ではありません。営業時間の前後にも勤務に必要な時間があります。児童クラブにおいては、現行の開所時間を「児童受入時間」と再定義し、準備時間を含んで「開所時間」とし、その開所時間に応じた補助金を算定することが適切でしょう。(2025年10月20日追加)
【カスタマーハラスメント(かすたまーはらすめんと)】労働施策総合推進法が2025年6月に改正され、2026年12月までに企業はカスタマーハラスメントへの対策が義務付けられました。「職場における顧客等の言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置義務」が必要となりました。いわゆるカスハラに該当するかどうかは「社会通念上許容される範囲を超えたもの」が重要な判断基準となります。放課後児童クラブは利用者たる保護者や児童クラブ周辺地域に居住する地域の人々から、不当な要求を受けることがあります。しかし児童クラブ側は「保護者から無理な要求を言われたら受け入れざるを得ない」と半ば泣き寝入りしてきた現実があります。今後、カスハラは「人権侵害」であるという認識のもとで、児童クラブの職員が不当に人権を侵害されないよう事業者は「事前の予防措置」「事後対応」について綿密に対策する必要があります。(2025年10月25日追加)
【官製ワーキングプア(かんせいわーきんぐぷあ)】公営の放課後児童クラブで働く職員(おおむね、会計年度任用職員)の多くは低賃金で、毎月の手取りが10万円をやや上回る程度しかない場合もある。官公庁がワーキングプアの目安となる年収200万円程度の条件で職員を働かせる不正義は、児童クラブの世界から早急に解消されねばならない。
【虐待禁止条例改正案騒動(ぎゃくたいきんしじょうれいかいせいあんそうどう)】「頭おかしい条例」で触れた騒動。埼玉県議会の自由民主党議員団が、2023年10月4日に埼玉県議会に提案した埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例案について、こどもだけの登下校や公園で遊ぶことを含む外出や留守番をさせた保護者を、児童放置による虐待とする内容が含まれていたことから、「やむを得ずそうせざるを得ない状況に置かれた保護者を条例違反とすることは不条理」と猛反対が巻き起こった。反対運動を受け、同議員団は同月13日の本会議で議案を撤回した。改正案が目指す世界の実現には放課後児童クラブはじめ多くの子育て支援設備が同時に整うべきであり、子育て当事者の状況や意見を聴かずに性急に改正案の作成に及んだことなど、一連の過程には大いに問題があったが、「こどもだけの状況をなるべく作らない」という考え方そのものは、運営支援としてはいずれ実現するべきだと思う。行政の早急な取り組みが望まれる。それほど、今はこどもだけで過ごす時間の安全が確保しづらい時代なのだ。
【キャンプ(きゃんぷ)】学童キャンプとも。保護者(会)が運営に参加している、活動歴が長い放課後児童クラブには、夏のお楽しみとして学童キャンプを実施してきたことが多い。こどもたちにとっては楽しみだが職員、まして保護者にはその準備のための集まりや、出費のために歓迎されないことも多く、近年は実施する児童クラブは随分減ったようだ。しかしキャンプに参加すると保護者同士、保護者と職員の仲が一気に親密となる効果はあり、かねて「現役の役員が、来年の役員の目星を付ける」絶好の機会となっていた。
【広域展開事業者(こういきてんかいじぎょうしゃ)】運営支援が独自に名付けた用語。放課後児童クラブを運営する企業、団体であって、複数の地域(市区町村)で児童クラブを運営している事業者を指す。株式会社が多いが、NPO法人や社会福祉法人にも該当する事業者はある。運営する児童クラブが多ければ多いほど財務基盤が安定し、確保している人員数が多くなり人手不足に悩む児童クラブ業界にとって対応に有利とされ、公営児童クラブや保護者運営児童クラブに成り代わって相次いで運営する児童クラブ数を増やしている。代表的な事業者としては、シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社、株式会社明日葉、株式会社セリオ、労働者協同組合ワーカーズ・コープ、特定非営利活動法人三楽などがある。(2025年10月27日追加)
【公営(こうえい)】市区町村等が直接、放課後児童クラブを運営すること。
【高学年だから(こうがくねんだから)】放課後児童クラブの職員や保護者がよく使う言葉で、「高学年だから退所する(させる)」「高学年なのだからしっかりしなさい」という文脈で使われることが多い。高学年(小学5年生以上)の児童クラブ利用児童は、こども自身が他にやりたいことがある、留守番ができる、習い事に本腰を入れるなどの理由で急減するが、もちろん、高学年になったからといって児童クラブを退所する必要はない。高学年のこどもが低学年の子どもたちを相手にリーダーシップを発揮して取りまとめている姿は、運営が安定している児童クラブならではの望ましい光景である。
【公設(こうせつ)】市区町村(ごくまれに、地方自治体である組合)が放課後児童クラブ等を設置すること。
【合同開所(ごうどうかいしょ)】土曜日や盆休み期間など、放課後児童クラブを利用する児童が少ない場合に、複数の児童クラブの児童を1つの児童クラブで受け入れること。多くの地域でよく行われている。事業者側には経費節減の利点がある。一方で、児童には「普段とは違う環境で過ごすことや、顔なじみではないこどもたちと関わることの不安やストレス」があるとする見方があるが、「逆に、いつも遊べないこどもと遊べることで合同開所はさほど苦痛ではない」という意見もある。保護者には、通常、利用している施設とは違う施設にこどもを連れていくことになり、場合によっては遠い場所にある施設まで行くことで負担となることがある。合同開所では、補助金の算定に注意が必要となる。(2025年11月28日追加)
【校内交流型(こうないこうりゅうがた)】国は放課後児童クラブの拡充のため「新・放課後子ども総合プラン」(平成30年9月策定)を推進してきたが、結果として放課後児童クラブの整備は不十分であり、児童クラブ利用に対する受け皿は十分に確保できなかった。その新プランで国は放課後子供教室と放課後児童健全育成事業の関係を密にすることを推奨し、とりわけ「一体型」と呼ばれる形態を強く推していた。ところが児童クラブ側には一体型に対する抵抗感がとても強く、なかなか実施が進まなかった。そこで国は2023年12月25日に出した「放課後児童対策パッケージ」において、「放課後児童クラブ及び放課後子供教室が連携して、共働き家庭等の児童を含めた全ての児童が放課後子供教室の活動プログラムに参加し、交流できるものを「連携型」と呼ぶこととする。また、「連携型」のうち、同一小学校内等で両事業を実施しているものを、新プランにおいては「一体型」として推進してきたが、これを「校内交流型」と呼ぶこととする。同一小学校区内で両事業を実施する場合は、全ての放課後児童クラブと放課後子供教室が「校内交流型」又は「連携型」として連携が進められるようにする」と、一体型の名称を「校内交流型」と変更した。これで児童クラブ側の抵抗感が弱まるかといえば微妙である。(2025年11月8日追加)
【こども家庭庁(こどもかていちょう)】2023(令和5)年4月1日に発足した行政の組織。ホームページでは「こども家庭庁のスローガンは「こどもまんなか」。こども・若者がぶつかるさまざまな課題を解決し、大人が中心になって作ってきた社会を「こどもまんなか」社会へと作り変えていくための司令塔、それがこども家庭庁です。」と紹介されている。内閣府の外局にあたる。長官は大臣ではなく国家公務員で、「こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当」の担当大臣が庁の事務を所管する。もともと「こども庁」が構想されていたが家庭を重視する一部の政治家の勢力によって現在の名称に変更となったと言われている。保育所、認定こども園、放課後児童クラブを所管する。なお、こども家庭庁の予算は7兆円を超えるが、保育所や児童クラブへの補助金、児童手当、育児休業給付金も予算に含まれており、SNSで人気の「こども家庭庁を廃止してその予算を国民に配るほうが良い」という投稿は全く実現性がないどころか国民の暮らしを苦しめるだけの超悪質なデマ。しかも「子ども家庭庁」「子供家庭庁」など間違った名称を使う投稿者だらけ。こども家庭庁の廃止を呼び掛けたり賛同したりする投稿をSNSで見かけたら、その投稿をした人物の発信は以後、絶対に信じない方が賢明である。(2025年10月31日追加)
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【サンイチ(さんいち)】三分の一。放課後児童クラブに関する国の補助金は、国と都道府県と市区町村が三分の一ずつ負担することが多い。この通称。
【支援の単位(しえんのたんい)】こどもの集団の規模を表すもの。国の補助金はこの単位ごとに設定される。おおむね1つのクラブと考えてもよいが、大規模学童保育所では1つのクラブの中に複数の単位を持つ場合(名簿上の単位)もあるので注意が必要。この場合は1つのクラスが1つの支援の単位となっていることが多い。
【指定管理者制度(していかんりしゃせいど)】公共の施設の運営を指定管理者制度のもとに、民間の組織や団体に任せる(代行させる)こと。地方自治法に規定されている。放課後児童クラブでもこの制度の適用が増えているが、3~5年ごとに公募による選考が必要であり、事業の継続性から保護者や職員には不安の声が根強い。一部地域では公募ではなく随意契約で指定を受けている運営主体がある。
【指導員(しどういん)】放課後児童クラブで働く職員を指す一般的な名称。放課後児童支援員という資格ができるまで、放課後児童クラブには法令上、資格者の配置が必要なかったが、国は「放課後児童指導員」として、任用資格である「児童の遊びを指導する者」の配置が望ましいとしていた。学童指導員とも言う。
【指導員だけは嫌(しどういんだけはいや)】女性の働き手が多い放課後児童クラブの業界だが、その低い賃金水準を身に染みて分かっているために、女性児童クラブ職員の多くは結婚相手として「指導員だけは嫌」という考えの人は珍しくない。地区の担当の市区町村職員と結婚する例がままある。一方、全体からみて少数派である男性児童クラブ職員の結婚相手は同じ職員であることが多い。というか、仕事が忙しすぎて、外の世界に交際相手、結婚相手を見つける余裕もない。
【自腹(じばら)】公営や、株式会社系の放課後児童クラブでは、職員が専門的知識を学ぶための研修参加費などを支給しない例があり、そのような場合、職員は自費で研修に参加したり必要な資料を買いそろえたりする。児童クラブで使う教材や工作の材料、イベントの材料もその費用が支給されないと、職員が自腹で購入することもある。児童クラブの世界は、職員の給与が低いうえに、こうした自腹購入による出費もばかにならない。早急に改善されるべき悪弊である。
【就労証明書(しゅうろうしょうめいしょ)】放課後児童クラブの新規入所や継続入所の際に、児童クラブの事業者や市区町村に提出することが多い書類。放課後児童クラブは留守家庭のこどもを対象としているために、保護者がこどもの帰宅時間帯に留守であることを証明するための書類の1つとなっている。書式は事業者ごとや市区町村が独自に設定したものが多かったが、こども家庭庁が標準的な仕様の就労証明書(就労証明書(標準的な様式))を使用することを呼び掛けており、国が示した書式の就労証明書を利用する地域や事業者が増えているようだ。なお、就労証明書が出来上がる期間は保護者の勤務先によって異なるので、児童クラブの入所や継続利用を考えている保護者は「とにかく早めに」勤務先に記入、作成してもらうことを忘れてはならない。書類不備で入所申請ができなかったという悲劇を招かないようにしよう。(2025年11月6日追加)
【障害児受入事業(しょうがいじうけいれじぎょう)】国の補助金の一つ。障害のあるこどもの受け入れを推進するために、必要な専門的知識等を備えた放課後児童支援員などを配置するために設定されている補助金。およそ年間200万円超。なお、障害のあるこどもの受け入れ人数によって配置ができる職員数に変動がある。この事業で配置されている職員を「加配職員」と呼ぶことがある。
【小4の壁(しょうよんのかべ)】子育て世帯において、こどもが小学1年生になると直面するワークライフバランスに関わる種々の障害を「小1の壁」と呼ぶようになっているが、以前は小1の壁は「保育所を出たこどもが、小学生になると過ごす施設がない、つまり放課後児童クラブの待機児童となること」を指していた。今は小1の壁は、子育てのしにくさ全般を指すようになっているが、「小4の壁」については、今もまだ、放課後児童クラブにおいて小学校高学年になるとクラブに在籍ができなくなり、こどもの安全安心の居場所の確保に苦慮する状態を主に指しているようだ。放課後児童クラブは、児童福祉法の考え方によると小学生全般を対象とする仕組みだが、一部の地域では低学年を優先して受け入れるために高学年を事実上、クラブから退所退会させる風潮が残っており、小4の壁が生じている。放課後児童クラブの待機児童数でみても、小1より小4の待機児童数の方が多い。高学年なら留守番もできよう、学習塾やスポーツクラブなどで過ごせようというのは大人の身勝手な考え方であって、児童クラブは、児童クラブを必要する保護者とこどもが学年に関係なく、希望通りに利用できるように施設整備が進められるべきだ。(2025年11月9日追加)
【省令基準(しょうれいきじゅん)】厚生労働省が2014年4月に公布した省令である「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」のこと。省令に基づいて市区町村は放課後児童クラブ運営に関する最低基準となる条例を定めた。当初は、放課後児童支援員の資格と配置は「従うべき基準」とされ市区町村の条例にそのまま盛り込むこととされていたが、2019年5月に地方分権一括法によって緩和され、2020年4月1日から「参酌すべき基準」(参考とする基準)に緩和されてしまった。
【処遇改善等事業(しょぐうかいぜんとうじぎょう)】2015年度から始まった放課後児童クラブ職員の人件費に対する補助の仕組み。職員の賃金を改善した場合や、賃金改善に加えて地域との連携や協力を行う職員や常勤職員を配置した場合に、人件費が補助される。最大で約168万円の場合と、約316万円の場合がある。低賃金に悩む放課後児童クラブの職員の賃金を引き上げるための仕組みだが、全国すべての自治体がこの補助制度を利用しておらず、職員の待遇改善に問題が残る。もちろん、放課後児童クラブではない施設には適用されない。
【セレブ学童(せれぶがくどう)】2022年前後までよく使われていた語句。いわゆる民間学童保育所で、毎月の利用料が5万円超の高額ながら学習支援や各種アクティビティの提供、夕食提供、送迎サービスまで備えた民間学童保育所を指していた。大都市圏に存在する。セレブという言い方が差別的な意味を含むように受け取られたのか、2025年ではめったに耳にしない。同様の趣旨の語句に「高付加価値学童(保育)」がある。(2025年12月3日追加)
【全員静かになるまで(ぜんいんしずかになるまで】放課後児童クラブの職員なら一度は口にしたことがあろうせりふ。おやつの前、外遊びの前などに、「全員静かにしないと、いただきますができないよ、外に出られないよ」と、こどもたちの注意を促すために多用される。しかし、その効果はほとんどありません。職員がこのせりふを繰り返すたびに、おやつはどんどん冷めていき、日はどんどんと暮れていきます。
【全国学童保育連絡協議会(ぜんこくがくどうほいくれんらくきょうぎかい)】通称は全国連協。1967年結成。学童保育の普及と発展、内容の充実のために結成された民間団体。学童保育の質的向上や専門性の研究、職員の雇用状況改善を求めて活動を続けており、日本の学童保育を長らく支えている団体。
【専用区画(せんようくかく)】厚生労働省令や自治体の条例による設備及び運営に関する基準で、こどもの遊び及び生活の場として機能する、また静養のための機能を備えた区画のこと。部屋や間仕切りで区切られていることが原則。
【卒所式(そつしょしき)】小学6年生の最後まで在籍していたこどもたちを送り出すイベント。卒所式に出たいがために、あまり登所しなくても在籍だけはしているこどももいます。放課後児童クラブで過ごした日々を写真などで振り返ったり出し物を披露したりで、普段は「別に~」とそっけないこどもも、この時ばかりは涙を見せることも。職員も、保護者も、そしてこどもたちにとっても感動の時間。このタイミングで特別なお出かけの「卒所旅行」を行う施設もあります。
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【待機児童(たいきじどう)】放課後児童クラブに入所を申請したものの入所ができなかった児童のこと。こども家庭庁が取りまとめている「実施状況」には「利用できなかった児童」とされ、「調査日時点において、放課後児童クラブの対象児童で、利用申し込みをしたが何らかの理由で利用(登録)できなかった児童」とされている。実施状況では学年別の待機児童数や、都道府県ごとに待機児童数と、指定市と中核市の待機児童数、また50人以上の待機児童数がいる市区町村が掲載されている。小学1年生より4年生、5年生の待機児童数が多い。いわゆる「小4の壁」である。待機児童といえば保育所の待機児童問題が長らく社会問題となっていたが、今や保育所より児童クラブの待機児童が多い。都市部だけの問題ではなく地方都市でも待機児童が多い地域がある。つまり定住人口よりも「児童クラブで受け入れ可能な人数<児童クラブを利用したい人数」であればどこでも児童クラブの待機児童は発生する。児童クラブの待機児童が生じるかどうかは、その地域の人口の問題ではなく児童クラブの整備の進展具合に影響される。(2025年11月22日追加)
【大規模問題(だいきぼもんだい)】1つの支援の単位の放課後児童クラブにおいて限度を超えた児童数が入所している状態。かつては71人以上が目安とされ、現在も71人以上の児童数では補助金が大きく減額される。放課後児童クラブは、こども1人あたりの面積はおおむね1.65平方メートルとなっているので、この面積を下回るこども1人あたりの面積しか確保できない施設を、「大規模状態にある放課後児童クラブ」と呼ぶべきであろう。
【地域運営委員会(ちいきうんえいいいんかい)】放課後児童クラブを運営するにあたって、保護者や地域の有力者(校長や自治会長等)が参加して構成された組織。おおむね任意団体。実際の運営は保護者主体の場合が多いが、地域の実力者が口を出してまとまるものもまとまらない、という悲惨な事例もある。
【昼食提供(ちゅうしょくていきょう)】放課後児童クラブでは、これまで長期休業期間中や土曜日に昼食を施設運営側が用意したり手配したりすることは珍しかった。保育所と併設している社会福祉法人運営のクラブや、ごく一部のNPO法人が独自に昼食を提供している程度だったが、保護者からの利便性向上を求める声は年々強まっており、いわゆる「弁当の壁」も「小1の壁」に含まれて問題視されるようになっていた。こども家庭庁は児童クラブ昼食提供に関して好事例情報を提供したり補助金を昼食手配業務に従事する職員にも利用可能とするなどして児童クラブの昼食提供を後押ししている。こども家庭庁が毎年行っている「実施状況調査」にも令和6年度分調査から昼食提供の実施具合が調査項目に加えられた。同調査では昼食提供有りが全25,635施設のうち11,026施設、全体の43.0%となっている。今後も昼食を提供する児童クラブ事業者は増えることが見込まれている。(2025年11月7日追加)
【特定性犯罪(とくていせいはんざい)】こども性暴力防止法によって2026年12月25日から始まる「日本版DBS制度」で、この制度を適用するとした放課後児童クラブにおいて、就労希望者とすでに勤務している者に対する前科の確認対象となる犯罪のこと。刑法における「不同意わいせつ」「不同意性交等」や、児童買春、児童ポルノ所持提供、性的姿態等撮影や都道府県の条例で定められた一部の罪が該当する。(2025年10月21日追加)
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【2分の1(にぶんのいち)】国は、放課後児童クラブの運営費用について、利用者(保護者)と補助金の負担が5割ずつ、つまり2分の1となるように求めている。これが問題なのは、この理屈に従うと、補助金の額を増やすと保護者負担額も増えるから。もっと問題なのは、主に公営児童クラブにおいて、保護者の負担額を抑えた結果、それに対応して補助金の額も少なくなり、結果として運営費が足りずに職員の給与が極めて低い額に抑えられる恐れがあること。
【日本の学童ほいく(にほんのがくどうほいく)】全国学童保育連絡協議会が発刊している月刊誌。学童保育に関する情報や、有識者、運営に関わる保護者、学童保育所職員からの寄稿が掲載されている。日本で唯一の学童保育に関する専門誌。
【日本版DBS(にほんばんでぃーびーえす)】子どもを性犯罪から守る仕組みとしてイギリスで導入されたDBS(前歴開示・前歴者就業制限機構)にちなんだ制度が、「こども性暴力防止法」(通称)によって、2026年12月25日から日本でも施行されることになった。放課後児童クラブは、この制度の義務ではなく、「認定事業者」となることで制度の実施が可能となる。こどもに対する犯罪を過去に行った者の再就職先として、資格制度が有名無実である学童保育の世界が選択されがちであるため、この制度の導入は長らく望まれていた一方で、児童クラブの事業処理能力や、こどもに関わらない職場が無いなどの実態から、実務上、児童クラブでの実施が困難であるとの懸念がある。
【認定事業者(にんていじぎょうしゃ)】放課後児童クラブは、こども性暴力防止法による、いわゆる日本版DBS制度において「民間教育保育等事業者」に分類されています。この民間教育保育等事業者は、認定又は共同認定を受けることによって日本版DBS制度の対象事業者となります。(共同)認定を受けた民間教育保育等事業者は、対象事業者とも、認定事業者とも呼ばれます。認定事業者となった場合は、日本版DBS制度がそもそも義務である学校や保育所と同じ義務を負うことになります。つまり児童クラブは認定事業者になるかならないか、児童クラブの事業者が選択することができます。(2025年10月22日追加)
<は行>
【配置基準(はいちきじゅん)】放課後児童クラブにおいて必要な職員配置。法令上は最低限度として、支援の単位ごとに放課後児童支援員2人以上の配置が必要とされているが、その1人を除き補助員に代えることができる。なお2024年度から、放課後児童支援員の常勤職員2人を配置する場合の補助金が創設された。
【放課後児童クラブ育成支援体制強化事業(ほうかごじどうくらぶいくせいしえんたいせいきょうかじぎょう)】国の「子ども・子育て支援交付金」に定められている、放課後児童クラブに対する交付金(補助金)の一種。子ども・子育て支援交付金交付要綱には「遊び及び生活の場の清掃等の運営に関わる業務や児童が学習
活動を自主的に行える環境整備の補助等、育成支援の周辺業務を行う職員の配置等に必要となる費用を補助」と示されており、児童クラブの運営本部に従事する職員の人件費や、運営事業者が外部に代行する社会保険料や会計業務の費用、児童クラブで提供する昼食に関連する業務に従事する者の人件費も使える、とても使い勝手の良い補助金であり、大幅な増額が必要。いわゆる日本版DBS制度への対応を外部の専門家に依頼する際の費用にも使えるようにしてほしい。(2025年11月15日追加)
【放課後児童クラブ運営指針(ほうかごじどうくらぶうんえいししん)】放課後児童健全育成事業を実施するにあたって、目指すべき標準仕様として国が作成した指針。「こどもに保障すべき遊び及び生活の環境や運営内容の水準を明確化し、事業の安定性及び継続性の確保を目的」とする。指針の冒頭部分に「放課後児童健全育成事業の運営主体は、この運営指針において規定される支援の内容等に係る基本的な事項を踏まえ、各放課後児童クラブの実態に応じて創意工夫を図り、放課後児童クラブの質の向上と機能の充実に努めなければならない。」と、指針の役割が明確に記載されている。2015年度から運用がはじまり、2025年度からは改正された指針が運用されている。こども家庭庁は「こども基本法、こども大綱、こどもの居場所づくりに関する指針を踏まえて、こどもの権利に関する記述を充実した」としている。この指針は児童クラブにとって最も重要な基盤の1つだが、児童クラブ運営事業者に最重要視されているかどうかは心もとない。(2025年10月30日追加)
【放課後児童支援員(ほうかごじどうしえんいん)】放課後児童クラブに配置が求められている公的な資格と、その資格を持っている人。2015年度からスタートした新しい資格。都道府県知事が認定し、全国どの地域でも有効。名称独占資格。この資格を得るには、都道府県等が行う認定資格研修を受講することが必要。受講ができる条件、すなわち基礎資格として、保育士や各種教員、社会福祉士の資格を持っていることや実務経験などが必要となる。
【放課後児童対策パッケージ(ほうかごじどうたいさくぱっけーじ)】こども家庭庁と文部科学省の2省庁が、放課後児童対策を一層強化し、こどものウェルビーイングの向上と共働き・共育ての推進を図るため集中的に取り組むべき対策として予算・運用等の両面を盛り込んでとりまとめた総合的施策のこと。令和4年12月に「放課後児童対策パッケージ2024」が、令和5年12月には「放課後児童対策パッケージ2025」が公開されている。学校施設の一層の活用を推し進めて放課後児童の受け皿を増やすことを目的としている。(2025年11月9日追加)
【保護者運営(ほごしゃうんえい)】保護者で構成する保護者会(任意団体)が、放課後児童クラブを運営すること。運営にあたっては自治体から事業の委託を受けたり補助を受けたりするが、補助金が出ない場合もある。保護者が定期的に役員に就任しているNPO法人等による運営も、事実上は保護者運営といえる。
【保護者会(ほごしゃかい)】父母会とも。放課後児童クラブを利用する保護者の連携組織。クラブにおけるこどもの育ちやイベントを職員交えて定期的に話し合う。イベントを主催することもある。かつては保護者会が児童クラブの運営基盤だったが、保護者の活動に対する負担感から保護者会を設けないクラブも増えている。運営を保護者会が担う児童クラブは年々、減少している。出席する保護者の人数が少ないことが悩みの種である場合が多い。
【補助員(ほじょいん)】放課後児童クラブにおいて、放課後児童支援員の資格を有していない職員。フルタイムで働く常勤職員でも、放課後児童支援員の資格がないと補助員扱いとなる。
【補助金ビジネス(ほじょきんびじねす)】放課後児童クラブに株式会社が乗り出す事例が急増している。公営事業のアウトソーシングだが、定期的に運営に関する費用が入金される事業は好不況の波に影響されにくく、安定した事業展開が可能である。国の補助金単価が年々、上昇していることで株式会社にとって「オイシイ」事業となっている。大手メディア企業や新聞社も参入しており、今後さらに拡大する見込み。一方、運営企業が利益を確保するために人件費を抑制する傾向にあるため職員の雇用労働条件は低水準なことが多く、ワーキングプアを助長している面は否定できない。
<ま行>
【民営(みんえい)】民間事業者(株式会社や各種法人、任意団体)が放課後児童クラブを運営すること。
【民設(みんせつ)】民間事業者(株式会社や各種法人、任意団体)が放課後児童クラブを設置すること。
【面積基準(めんせききじゅん)】厚生労働省令や自治体の条例による設備及び運営に関する基準で、児童1人につき、専用区画に対しておおむね1.65平方メートルの面積を確保するよう求められている。この面積が確保できていない放課後児童クラブは大規模問題にあるといえる。
<や行>
【役員決め(やくいんぎめ)】保護者会がある放課後児童クラブを利用する保護者にとっては恐怖。会長、副会長、会計などその役職は通常よくある団体と変わらないが、仕事と子育てで忙しい保護者にとって、さらに保護者会の役員まで背負うとなると、それだけで精神的に参ってしまい、児童クラブを退所する理由にもなる。実際、役員を逃れられそうにない状況を敏感に察知して退所する保護者は珍しくない。まして、保護者会運営児童クラブになると、事業の管理運営責任まで背負うことにもなる。
<ら行>
【連絡協議会(れんらくきょうぎかい)】通称は連協。放課後児童クラブに関わる保護者や職員、運営従事者などが、児童クラブの業界の発展や充実のために連携して活動する、都道府県や市区町村など地域ごとの民間団体。主に任意団体だが法人格を取得している場合も。ただし全国的には存在しない地域が多い。



