「放課後児童クラブは、社会インフラです」。児童クラブを新たにスタートさせる事業者さんで研修を実施しました!

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。学童保育(放課後児童クラブ)運営支援アドバイザーとして、セミナーや研修、講演のお仕事をいただいておりますが、本日(2025年3月3日)は、2025年度から新たに放課後児童クラブを運営する事業者さんに招かれ、職員と運営の方々を対象に、児童クラブの制度や意義について、私なりにお話をしてきました!
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)

<研修について>
 今回の研修は、愛知県大治町内で2025年度から放課後児童クラブを運営する「特定非営利活動法人ママ・ぷらす」さんからのご依頼でした。育成支援については専門家を招いて研修を行うということと、放課後児童クラブに関する制度や社会における児童クラブの役割、社会的な責任、職員の責任等について研修を、という依頼を受けました。制度や仕組みについて研修を受けるのは初めてということでしたので、児童クラブ全般を網羅する内容を基礎として、同法人の川原史子理事長と打ち合わせを経て私が決めたタイトルは次のようになりました。

「放課後児童健全育成事業の基礎と社会的アプローチ」~社会インフラの責務を果たすために必要なこと~

 そして、私が理事を務めている、大治町にすぐ近い愛知県津島市の児童クラブ運営事業者(指定管理者)である「特定非営利活動法人放課後のおうち」の理事長である、谷口雅子氏と一緒に、2人で今回の研修を引き受けることとしました。内容は、次の要旨をご覧いただければおおよそ想像がつくでしょうか。

 実は、ママ・ぷらすさんは2024年度、大治町が行っている「ランドセル来館事業」を受託運営して、子どもへの支援、援助の事業を始めたということです。それが2025年度、満を持して放課後児童クラブの運営になるということでした。その大事な節目に、放課後児童クラブについて職員の皆さん、そして運営にあたる自分自身も含めて「児童クラブの意義を考え、学ぶ機会が必要」と川原理事長が考えられたことは、とても素晴らしいことだと私は感じました。
 こうした、法人トップの「必要なことをしっかり学んでいきたい」という姿勢は、当時に参加されていた全員に共通していました。誰ひとりとして雑念にとらわれている様子がありませんでした。私のつたない、しかもややこしい小難しい話でも、集中して聞き入っていました。本当にすばらしい皆さんでした。

 やはり、組織というのは、トップの姿勢、考え方が、組織を構成する人たちに反映します。組織を形作る人たちは、実は組織のトップの姿勢や態度、考え方を見事に反映する「鏡」みたいなものであると私は常々思ってきましたが、まさにそうだということを本日も実感できました。

<児童クラブは、社会インフラ>
 何度も私は申し上げていますが、放課後児童クラブは今の社会に欠かせない「社会インフラ」です。小学1年生の2人に1人が利用していること、小学生全体でも4人に1人の割合で児童クラブが利用されていることは、児童クラブなくして、育児と仕事の両立、つまりワークライフバランスが成り立たないことを示しています。
 そのことは、研修でもしっかりお伝えしました。

 社会にとって欠かせない存在だからこそ、児童クラブの側も、社会から見て「いい加減」では困るのです。社会一般のルール、法令をしっかりと守っていること。社会一般が動いている流れに乗って動いていかねばならないことを、力を入れてお伝えしました。
 この点、児童クラブの世界では時々勘違いされがちです。「子ども、保護者のことを大事にするあまり、ルールを逸脱した運営が行われてもそれを良しとする風潮」が、残念ながらありえます。分かりやすいのは、子どもが希望するからといって子どもが暴れているのをただ見守っている、ということですね。いくら子どもが発散したいからといって、はちゃめちゃなふるまいを許していいことは話が違います。児童クラブは社会性を身に着けていく場所でもありますからね。「子どもなんでも優先」ではないのです。
 市区町村が行う児童クラブの事業を民営という形で引き受けて行っている限り、その児童クラブは市区町村が考えている範囲において行われることになります。その範囲の中でベストを尽くして、事業の内容を向上させていくことになります。そこを取り違えると、市区町村など自治体からの信頼を失ってしまいますし、地域社会、そして社会一般からの信頼もまた失ってしまうおそれが大いにあります。

 社会インフラとして存在する児童クラブの価値をもっともっと高めるためには、児童クラブの側も、社会にとって利益になるために自らの事業の質を常に高めていく姿勢がとても重要です。そのことを、伝えたかった研修でした。

 私が特に力を入れてお伝えしたのは「組織として」取り組むことです。例えば育成支援に関しては、組織全体が理念としてどういう育成支援を行っていきたいのかを「育成支援綱領」としてまとめ、それを基本として個々の事業場において具体的な育成支援目標を期間ごとに定めていくことが大切であると、お話ししました。組織全体の育成支援の方向性を、職員たちが集まって作り上げていくことは、組織の育成支援に関する理解を深めるうえで、きっと有意義な作業となるでしょう。

<社会的なアプローチをどんどん学ぼう>
 今回は、谷口理事長も、とても重要な講話をしてくれました。保護者から信頼される児童クラブの職員というテーマで十数分、とても実のある話でした。私も大いに賛同し、頷くことばかりでした。実際に児童クラブの運営に取り組んでいる者ならではの視点で、支援員として業務への向き合い方、その支援員を育てる組織の考え方について、価値のある内容の話となりました。
 児童クラブは子育てを支え、地域社会が引き続き存在できるために子育て世帯をその地域に定住、定着させるために必要な仕組みです。重要だからこそ、一部の児童クラブを例外として補助金という形で公金が投入されています。公の事業を公のお金を受け取って行うことの意味をしっかりと胸に刻みつつ、子育て世帯、地域社会の期待に応えるために、児童クラブはその事業の内容を常に磨き、質の向上に努めねばなりません。それを貫いてこそ、名実ともに「社会インフラ」として社会から敬意を受け、評価を高め、最終的に必ずや地位待遇の改善につながるでしょう。

 児童クラブの社会的なアプローチを考えることの重要性を、運営支援は今後も訴えていきます。とりわけ中京圏では、私(萩原)と谷口氏の2枚看板で、児童クラブの運営を支える研修やセミナーについてご依頼があれば積極的に引き受けてまいりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

 <おわりに:PR>
 弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。

 「リアルを越えたフィクション。これが児童クラブの、ありのままの真の実態なのか?」 そんなおどろおどろしいキャッチコピーが似合う、放課後児童クラブを舞台にした小説を完成させました。「がくどう、序」というタイトルで、2025年3月10日に、POD出版(アマゾンで注文すると、印刷された書籍が配送される仕組み)での発売となります。現在、静岡県湖西市の出版社に依頼して作業を進めております。
 埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子ども達の生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。児童クラブの運営に密接にかかわった、元新聞記者である筆者だからこそ描ける「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分、活用できる内容だと確信しています。ご期待ください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)