「小4の壁」とは?

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)にまつわる「小4の壁」は、小学4年生になると児童クラブに在籍ができない状況を指します。小学4年生や小学5年生になると児童クラブに在籍できない規定を設けている児童クラブの運営主体や市区町村が相当数あります。理由としては、小学1年生など低学年のクラブ入所を優先するために、その入所人数枠を確保するために学年が上の子どもにクラブを退所、退会してもらうためです。つまり、児童クラブの受け入れ可能人数よりも、児童クラブを必要とする子どもの数が多いためです。あい和学童クラブ運営法人のまとめでは、2023(令和5)年において、小学3年生の児童クラブの登録率は31.43%ですが、小学4年生になると16.84%にまでおよそ半減します。これが数字上の「小4の壁」です。

 防犯上の理由や生活規律面の理由、もちろん子どもの居場所として子ども自身が児童クラブにいることを希望する場合など、児童クラブを必要とする理由は高学年になっても低学年と変わりありません。むしろ、高学年になると児童クラブの中でリーダーシップを発揮する機会が増え、子ども自身の社会性の伸長に大いに有益な場面が生じます。小4の壁は、児童クラブを必要とする側の生活に影響を及ぼすだけではなく、高学年児童の成長の場を損ねるといえます。早急に是正が必要です。

 なお、放課後児童クラブは児童福祉法に規定されている「放課後児童健全育成事業」を実施する場のことですが、この法律において放課後児童健全育成事業は、小学生を対象とする、となっています。よって小学4年生になって児童クラブが利用できない状況は、厳密に考えれば法律の趣旨に反しています。この点からも早急に是正されねばなりません。なお、2012年の児童福祉法改正で、2015年まではこの放課後児童健全育成事業の対象年齢としては「おおむね10歳」と示されていたので、過去には小学4年生で児童クラブを退所という状況は法的にも問題がなかった、といえます。

 (運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)