「子育てしやすい街」ランキングで留意したい放課後児童クラブ(学童保育所)の充実度。最重視をしたい分野です。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台にした(とても長い)人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。ぜひ手に取ってみてください! 「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く成長ストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!

 「子育てしやすい街ランキング」というテーマでの調査結果や報道発表は、順位付けが大好きな日本人にぴったりで、常に多くの人に注目を集める分野でしょう。いろいろなメディアが手がています。2025年12月12日にも、とても興味深い報道発表がありました。「2025年版「共働き子育てしやすい街ランキング」 総合編1位は品川区」と題したものです。本日の運営支援ブログはこのランキングトップ10に紹介されている自治体の児童クラブの様子を運営支援が勝手に付記します。なぜなら児童クラブも、保育所やこども園同様、働きながら子育てする世帯に欠かせない社会インフラであって、児童クラブの充実度の違いが子育て世帯のワークライフバランスを左右する重要な分野だからです。
 (※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)
 New! いわゆる日本版DBS制度を専門分野の1つとして事業者の取り組みを支えたいと事業活動を始めた新進気鋭の行政書士さんをご紹介します。「行政書士窪田法務事務所」の窪田洋之さんです。なんと、事務所がわたくしと同じ町内でして、わたくしの自宅から徒歩5分程度に事務所を構えられておられるという奇跡的なご縁です。窪田さんは、日本版DBS制度の認定支援とIT・AI活用サポートを中心に、幅広く事業所の活動を支えていくとのことです。「子どもを守り、あなあたの事業も守る。」と名刺に記載されていて、とても心強いです。ぜひ、ご相談されてみてはいかがでしょうか。お問い合わせは「日本版DBS導入支援センター | 行政書士窪田法務事務所」へどうぞ。

<ランキング>
 「2025年版「共働き子育てしやすい街ランキング」 総合編1位は品川区」を紹介しているウェブサイトから趣旨を引用して紹介します。(2025年版「共働き子育てしやすい街ランキング」 総合編1位は品川区|日経BP
「株式会社日経BP(本社:東京都港区、社長CEO:井口 哲也)が運営する、女性のキャリアと企業のダイバーシティ推進を応援するサイト「日経クロスウーマン」と日本経済新聞社は、「自治体の子育て支援制度に関する調査」を実施し、2025年版「共働き子育てしやすい街ランキング」をまとめました。」
 なんといっても日本を代表する超一流マスメディアの調査です。大いに参考になるでしょう。調査の狙いも引き続き引用して紹介します。
「本調査は、共働き子育てを巡る現状と課題を明らかにする目的で15年から毎年実施しており、今年で11回目を迎えます。首都圏、中京圏、関西圏の主要市区と全国の政令指定都市、道府県庁所在地、人口20万人以上の都市の計180自治体を対象に25年9~10月に実施。159自治体から得た回答を集計しました。少子化が進行する中でも共働き家庭が増加し、保育所の利用率は上昇を続けています。今年の調査では、保育所、病児保育、放課後児童クラブ(学童保育)への入りやすさに加えて、保育料の無償化、ICT(情報通信技術)導入などによる手続きの効率化、学童保育での食事提供、「朝の小学生の居場所対策」など、忙しい共働き子育て世帯の利便性を向上させる取り組みにも注目しました。」(引用ここまで)
 さらに別の文章では、児童クラブの昼食提供が増えているデータを紹介しており、「利便性」がランキング上位に食い込むために必要な要素であることがこの調査のポイントであることが分かります。

 放課後児童クラブ(学童保育)と表記しているところがいいですね。「入りやすさ」がランキングの算定要素になっているようです。子育てしやすい街を選ぶのには当然でしょう。ランキングは以下の通りです。
1位 品川区(東京都) 82点
2位 福生市(東京都) 81点
2位 松戸市(千葉県) 81点
4位 宇都宮市(栃木県) 80点
4位 神戸市(兵庫県) 80点njm
6位 豊橋市(愛知県) 76点
7位 北九州市(福岡県) 75点
7位 札幌市(北海道) 75点
7位 豊田市(愛知県) 75点
7位 奈良市(奈良県) 75点

<運営支援が付け加えます>
  ランキングに登場する10自治体について、児童受入時間、月額料金(延長料金)、昼食、待機児童について運営支援が付け加えます。いずれも自治体のHPなど公開情報による情報です。

1位 品川区(東京都):A登録午後5時、B登録午後6時、C登録午後7時、朝は午前8時15分から/A登録無料、B登録3,000円、C登録4,000円/夏休み中の弁当配達あり(試行中。区の利用案内等に記載はありません)/待機児童は確認できず
(なお、日経によるプレスリリースには「学童保育など放課後の子どもの居場所としての機能を持つ「すまいるスクール」は午後5時までの利用料が無料で、区内37カ所すべてで夏休み中に昼食として仕出し弁当を提供。」と記載されています。放課後全児童対策事業を正確に表現しており、記事を書いた方は児童クラブの気組織を踏まえておられるようですね。

2位 福生市(東京都) :平日午後6時(延長午後7時、3クラブのみ午後8時まで)、朝は午前8時30分(延長午前8時)/4,000円(活動費1,500円加算)/弁当持参(一部、宅食サービスあり)/待機児童は確認できず

2位 松戸市(千葉県) :午後7時(土曜日午後6時)、朝は午前8時から、年度途中利用制度あり/9,000円(見直し中)/昼食提供に関する情報提供なし/待機児童は確認できず

4位 宇都宮市(栃木県) :午後6時(延長午後7時)、朝は午前7時30分から、長期休業期間中の受入制度あり/7,600円(延長1日100円加算、おやつ代2,000円程度加算)/昼食提供に関する情報提供なし/待機児童なし

4位 神戸市(兵庫県):午後5時(延長午後7時)、朝は午前8時から、原則として長期休業期間中のみの利用は不可/4,500円(午後7時まで延長は3,000円加算)/昼食提供なし/待機児童なし

6位 豊橋市(愛知県):(公営の場合)午後6時(延長午後7時)、土曜日午前7時30分から(長期休業期間中午前7時45分から)、長期休業期間中受け入れに関する情報提供なし/7,000円(午後7時まで延長は2,000円加算)/昼食提供に関する情報提供なし/待機児童あり(令和6年度は70人)

7位 北九州市(福岡県):4,000円~8,000円(クラブごとに異なる)/児童受入時間はクラブごとに異なる/昼食提供に関する情報提供なし/待機児童なし

7位 札幌市(北海道):午後7時まで、朝は午前8時から/午前8時45分~午後6時まで利用は無料、午前8時からと午後7時まで利用では2,300円/令和7年度冬休み期間に昼食の弁当配達を試行実施/待機児童なし

7位 豊田市(愛知県):午後6時30分、朝は午前7時30分から。土曜日は閉所、長期休業期間中のみの利用制度あり/5,500円/昼食提供に関する情報提供なし/待機児童なし(小学5、6年生は支援を必要とする児童を優先)

7位 奈良市(奈良県) :午後5時(延長午後7時)、朝は午前8時/5,000円(延長2,000円加算、おやつ代1,500円加算)/昼食提供あり(バンビーランチ1食250円)

 どうでしょうか。ランキング上位の豊橋市は待機児童が生じています。70人は決して少ない人数ではありません。ただし他の9つの自治体は待機児童はおそらく0人です。やはり待機児童があると、子育てしやすい街の上位には選ばれにくくなります。
 子育てしやすい街という概念がそもそも保護者にとっての「使い勝手の良さ」ですから、利便性が良ければ上位となるのは当然でしょう。午後7時までこどもを受け入れるのはほぼ基本的な条件。昼食提供もまさにそうです。

<小学生の子育てで放課後児童クラブを必要とするなら、ランキングにプラスして調査をしましょう>
 子育てしやすい街に関するランキングは当然ながら利便性、使い勝手に関して保護者に尋ねて作成するものですね。ですから、そこには「こどもにとって、居場所となっている児童クラブであるかどうか」の観点は、ほとんど意識されていないのではないでしょうか。
 つまり、待機児童を出さないように児童クラブ利用を希望する人は全員、入所ができる。ただしその結果として、児童クラブはこどもでギュウギュウ詰めとなっており、こどもが過ごす生活の場としてとてもストレスがたまる場所となってしまい、こどもが「行き渋り」を起こしてしまうという、「こどもにとって、行きたい場所になっているかどうか」という「児童クラブの、中身の質」については、数値化するのも難しいという事情はあるにしろ、こういう子育てしやすい街ランキングとして可視化することは難しい、ということです。

 このことから、小学生を子育てしながら保護者が活動するには児童クラブが必要である世帯や、将来的に児童クラブを利用したいと思っている世帯には、ぜひとも、「児童クラブの中身について、できる限りリサーチをしましょう」とわたくし萩原は呼びかけます。
 おそらく、戸建てやマンションなどマイホームを買って腰を据えて住むでしょう。家を買う、マンションを買うには、通勤事情を考えたり物件の相場を考えたりして「どこに住むか」を考えることでしょう。そのときに、こうした「子育てしやすい街ランキング」も参考にするかもしれません。家やマンションを買うという大きな決断の前には、ちょっとぐらい、手間ひまをかけて、「学童はどうなっているのかな?」という調査、リサーチもぜひしてください。
 利便性では次の点。
・待機児童の有無。これは実は表と裏があります。待機児童が出ている地域にあえて住むのは運営支援としてはお勧めしませんが、では待機児童を出さない、つまり希望者全員を入所させるとなると、先に述べたようにギュウギュウ詰め学童という、大規模状態児童クラブになりやすいのです。親は安心して働けれるけれどこどもはギュウギュウ詰めの過ごしにくい環境で我慢をしいられている、という状況になりがちです。裏の意味としては「待機児童が出ている地域の児童クラブは、こどもがクラブで過ごす上で適正な児童数を守っているので児童クラブの環境としては整っている」ということになるのです。
・児童受入時間。短いより長い方がいい。午後7時まで利用可能が最低水準ですが、むしろ「朝」の開所時刻こそ念入りに調べましょう。土曜日閉所の自治体がまだあります。盆期間閉所はまだまだ残っています。
・長期休業期間中の受入制度。最低限、こどもの居場所が確保できれば良いと割り切っている子育て世帯には必要な情報です。
・駐車場の有無。車通勤の人の場合、児童クラブの送迎に車利用不可、という児童クラブではとても不便になります。それほど多くはないですが車利用不可の場合があります。
・昼食提供。これは半数近くのクラブで提供を実施していますので、「値段」をリサーチしましょう。夏休みに弁当を用意してくれる、でも1食600円もする、のでは毎日、気軽に頼めませんね。保護者の昼食代だって毎日それほど用意できないかもしれません。奈良市のような値段になることが理想ですね。
・保護者会活動の内容。2パターンをチェックしましょう。「保護者会が、児童クラブの運営をしているか、または運営に関わっているか」の確認です。運営に何かしら関わっているクラブでは、入所した場合に当然、何らかの役務を提供することになります。もう1つは「運営は法人など組織が行うのでそこにはタッチせず、クラブでのイベントや、こどもの過ごし方について意見交換などをする会や会合がある」場合です。この場合はむしろ歓迎しましょう。こどもがクラブでどう過ごしているか、どのように過ごしてほしいかを知ったり意見を出したりできますし、地元の保護者との知り合い、友達が増えます。思わぬ人の輪の広がりで人生や仕事が有益になることがありますよ。

 質の点では次の点を地元の自治体や、児童クラブ運営事業者に聞いてみましょう。
・高学年で児童クラブに入所している人数。これは、高学年が多い児童クラブは「こどもにとって、居心地の良い居場所になっている」からです。こどもは正直ですから、いたくない場所に行きたがりません。もちろん、他にやりたいことがあって児童クラブを退所退会する高学年の方が圧倒的に多いのですが、そのような一般的な状態でも、高学年が児童クラブに残っているのは、よほどこどもにとって居心地の良い場所になっているから。つまり、児童クラブの中身の質が良いと推定できるのです。
・遊びの環境。外遊びがどれだけ、できているかを尋ねてみましょう。特に夏場です。熱中症対策で、夏の間は外遊びがほとんどできませんが、そんなときに、冷房が効いている学校の体育館や公共施設で体を動かして遊んでいます、というクラブがあれば「よし。決めた」でいいぐらいです。それだけこどもの遊びという児童クラブの本質を理解している運営事業者であり自治体である、といえるからです。
・クラブ職員の雇用形態。なかなか聴きにくいかもしれませんが、我が子の生活のためですよ、遠慮せずに聞いてください。「ところで先生たちは、有期雇用なのですか。それとも無期雇用ですか。常勤職員は常時何人の配置になっていますか」と、ずばり聞いてください。むしろ質問された側で、しっかりと児童クラブの運営についてなんとかしようと考えている職員であれば、内心、きっと歓迎するでしょう。「この保護者さん、児童クラブの質について関心があるんだ!」と。もちろん、常勤職員が常にいる、しかも2人以上いるというクラブは「大当たり」です。なお、ぜひとも児童クラブの求人広告もチェックしてみてください。もし、戸建てやマンションを買って住もうという地域にある児童クラブの運営事業者が、「こどもを見守るだけの簡単なお仕事です」という趣旨で求人広告を出しているのであれば、注意が必要です。もちろん「とても難しい仕事です」と求人広告を出す会社はありませんが、「こどもを見守るだけ」というフレーズがダメなんです。児童クラブは「こどもが自分の力で育っていくところで、それを支えるのが職員の仕事」ですから、「こどもの育ちを支える大切なお仕事です」という趣旨で募集しているクラブであれば、安心です。

 子育てしやすい街ランキングは、話題になりますし注目を集めやすいですからね、どんどんその手の記事が出てほしいです。その中で、最長6年間は利用する可能性がある児童クラブについて、もっとランキングの判定に要素を取り入れてみてはいかがでしょうか。というのも、様々な子育てしやすい街ランキングで、上位にランクインした市区町村内にある児童クラブの運営事業者の顔ぶれを見たとき、わたくしは思わず「えっ、あの広域展開事業者の一括運営ですか。それでもランキング上位なの? ほぇ~」となるのですね。スペックは良くても中身はちょっと、という事例を耳にすることが多いものですから。
 なんなら、「児童クラブを利用した子育てで過ごしやすい街ランキング」をメディアがまとめてみてはいかがでしょう。もちろんわたくしも若干お駄賃はいただきますが、識者として協力いたします。 

(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

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萩原和也