<運営支援ブログ・ミニその12> 放課後児童クラブ(学童保育所)の大問題「学童が無法地帯」。こどもだけが原因ではない。
放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンのみで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc) お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
本日(2025年7月18日)は所用のため、運営支援ブログはミニ版です。でも、テーマはとても深刻。いずれ回を改めて私見を述べますがとりあえずこれだけはいいたい。「荒れている学童は確かにある。私も直面してきた。そうなる理由はしっかりあるし、解決もできます」
(※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
<無法地帯の学童、そうなるには理由がある>
学童(放課後児童クラブ)が無法地帯になっているという状況に心を痛めている方の投稿が旧ツイッター(X)に載っていました。かなりの反響があったようです。それだけ現実に荒れているクラブに悩んでいる、悩まされた人が多いのでしょう。反応で目立ったのは「荒れている状況を作っているこどもを退所、退会させることができるかどうか」の趣旨の投稿でした。
クラブを「荒らしている」(=暴れたり他者を傷つけたり、物品を壊したりする)こどもに対する対応ばかりが意見に挙げられていたと私は感じました。私の感覚では児童クラブが無法地帯に導かれる理由は次の通り。そしてそられの理由が同時多発することは当然ですし、連鎖反応的に次々と原因が生じると感じています。
・運営側の育成支援の方針が不明瞭。現場に丸投げ。よって現場職員は困惑しつつ、あるいは独自に、思い思いの育成支援を遂行する。育成支援の根幹の理念が土台に存在しない育成支援は「その場しのぎ」となる。支援の方針が無い、その場しのぎの支援、援助では、こどもたちの集団がまとまらない。結果、荒れる。
・職員の育成支援に関する理解と実践があやふや。結果、その場しのぎの育成支援は往々にして「前に示した方針と、いま示している方針が異なる」ことがよくある。結果、こどもたちが大人(児童クラブ側)を信用せず、荒れる。
・こどもを1人の人間として向き合わない職員による強権的な関わり方に当然、こどもたちが反発する。頭ごなしに一方的にこどもたちを支配しようとする職員がいると、こどもたちは抵抗する。結果、荒れた状況に見える。(実はこどもたちの抵抗)
・事実として、いかに職員やクラブ側が心を寄せようとしても、それを一向に受け入れないこどもも、いる。私(萩原)の感覚に過ぎないけれども、そのような「秩序をまったく理解できない」こどもの保護者が、ルールを守ることや他者への思いやり、いたわりといった感覚を軽視しているか、無視していることが多々ある。こどものことでクラブ側が相談を申し入れても「うちの子は全く悪くない。クラブがバカだからこどもがそうなるんですよ。職員をクビにしたら?」ぐらいのことを平然と言ってくる。
(これもまた私の独断と偏見ですが、たくさん習い事を無理強いしている家庭のこどもは、クラブで手の付けられない暴れ方をすることがある。しかし親の前や学校の先生の前では驚くほど従順になるので、「学童の対応が間違っている」と曲解される)
・クラブに関わる立場の大人(職員だったり、保護者だったり、行政担当者だったり、学校の教職員だったり、地域社会だったりします)たちが「児童クラブで数時間、こどもを預かる程度の仕組みなんだから、その間は、こどもに大人の言うことを聞かせて従わせておけばいいんだ。小学生が自分であれこれ考えて何かをするなんてまだ早い。社会規律や礼儀作法をしっかりと叩き込む段階なのだから、こどもには厳しく向き合えばいい」という浅はかな認識でいる。
・そのクラブに通うこどもたちが在校している学校の運営方針が極めて管理的、抑圧的。結果、児童クラブで抑圧されたこどもたちの感情が爆発し、クラブが荒れる。
<荒れるのは確かにこども。でもその状態に導くのは大人の場合が多い>
私はこどもを特別に神聖視しません。大人もこどもも、単に1人の人間です。人間ですから尊重されねばならない権利や尊厳は大人もこどもも、クラブ職員にも保護者にも同じだけある。それだけです。こどもが荒れるのはこどもがバカだからとか、幼いからとか、そんな単純な理由で片付かないことを痛いほど受け止めてきました。
ええ、中には、保護者がとても悩み、児童精神科医や心理職、行政の教育センター、もちろん児童クラブ側とずっと協議相談して、こどもの「荒れる行動」に向き合っていることももちろんあって、それでも、その荒れているこどもの内面世界を救うことが非常に困難ということだってあります。そういうこどもがクラブにいると、確かにお手上げになります。現場の職員は疲弊し、こどもより先にクラブを辞めてしまう。「職員を大事にするなら、あの子を退所させてください」と現場から強い要求が上がります。
現実に向き合ってきた者として、こどもを絶対に守れ、こどもこそいかなる場合においても絶対的な被害者だ、と言うつもりはありません。
ただそれは、そうそうあることではありません。多くの場合は、大人がヘマをしているので、とりわけ運営が失態を重ねているのでこどもたちが当たり前に反発する。保護者との親子関係の悪化でこどもがクラブで暴れることもありますが、その場合も、クラブ運営側が対応していかない限り、それは運営の失態でもあります。運営だけの失態ではないにせよ、運営にも失態があると私は考えます。
まして、育成支援の本旨を理解せず、場当たり的に支援、援助を適当にその日暮らしで行っているようなクラブでは、こどもが荒れて当然です。職員の定着が難しいとか、職員数が少なくてこどもに丁寧に関われないとか、資質のある職員を運営が雇ってくれないとか、いろいろあるでしょう。こと人事や職員研修は、「うまくいって当然。うまくいかなければそれは経営、運営の失態」という結果論の世界ですから、それが嫌な人は児童クラブの経営、運営に関わってはなりません。児童クラブの運営には覚悟と才能が必要です。
最善を尽くして対処してきたけれども、家庭も向き合ってくれない、行政も学校も「クラブの問題でしょ」に終始する、そしてこどもが他のこどもに危害を加えることが頻発する場合には、やむなくクラブの退所、退会という選択肢は、取らざるを得ない場面もあるでしょう。残念ですが現実的にあります。しかそそれは退所、退会が最後の合理的な選択で残る場合に限られると運営支援は考えます。児童クラブ以外に、要保護児童対策地域協議会で対応しているこどもの育ちに関わっていく仕組みは、この社会になかなかありません。まして要対協で取り上げていないこどもについては、社会がその子、その家庭に関わっていく仕組みがほとんどありません。児童クラブがいわば最後の「人権の砦」です。できる限り、荒れているこども、無法地帯を作っているこどもとその家庭に関わっていくことが必要です。しかしその法的な根拠も予算の措置もない。単に児童クラブの現場と運営事業者の善意に任せっきりの今の社会は、まったくもって「こどもまんなか」社会ではありません。
ここから変えていかない限り、無法地帯の児童クラブの問題はそう簡単に解決しません。
<私が取り組んだ実例>
最後に、私が無法地帯となっていたクラブにどう対応したか、箇条書きで紹介して終わります。
・原因の分析。職員側の要因が大きいが、こども自身の抱えている問題もあることが強く想定できた。
・職員側の要因としては複数配置されていた正規職員が反目していた。お互いにそれぞれの育成支援の理念、手法に反発してこどもへの支援、援助に一貫性、統一性がなかった。こどもの前で他の職員の悪口を言っていたこともあった。
・(いわゆる問題行動を繰り返す)こども自身に衝動をコントロールできるだけの内面的な成長が遅かった。
・こどもを強く抑圧している家庭の教育方針があることが判明した。
・偶然にも複数の正規職員が退職等でクラブを離れる時期が判明していたので、他のクラブから優れた職員の人事異動を計画し実行した。
・クラブの状況に危機感を覚えていた複数の保護者が保護者会でも行動を始めたので事業者として連携した。保護者を理事に迎えてさらに情報共有を強化し、事業者の方針についても保護者理事から丁寧にクラブ保護者に情報や方針を周知説明した。
・事業者が全力を挙げてクラブの対応に取り組んでいることを他の全職員に伝えた。現場の職員を徹底的に支える方針を明確にした。同時に、職員に物理的な危害が加えられた等の場合は、泣き寝入りではなく厳正に対応するとして職員を守る姿勢を強く打ち出した。
・新たに配属された現場職員が、現場の秩序維持やこども集団の成長のために工夫したいことには全面的に協力した。
他にもいろいろありましたが、あとは「じっくりと、腰を据えて」推移を見ていくことが大事でした。2年ほどかかりました。しかし2年もすれば、そのクラブは見違えるほど、こども集団も、職員集団も、落ち着いたクラブになりました。投石や泥がたくさん投げ入れられ、ガラスや壁がボコボコにされ、電線まで切断されて手の施しようがないほどの「無法地帯」に陥った状況から、こどもたちが「辞めたくない!」というクラブにまで大変身したのです。現場の職員の信念すなわち育成支援を信じる力、それ以上にこどもを信じる姿勢、それに共鳴した保護者の支えもあってこそです。
全国にはたくさんの、厳しい状況のクラブがあるでしょう。ぜひ運営支援に相談してください。愚痴を打ち明けるだけでもいいです。具体的に状況の変化をもたらすお手伝いもできます。こどもの「いま」を支える大事な児童クラブです。冷静に合理的に対応策を考えて、施策を相次いで打ち出して、状況を変えていきましょう。 こどものためであることはもちろん、職員の職業生活を守るためにも、です。
(お知らせ)
<新着情報!> 2025年6月から放課後児童クラブ(学童保育所)の新規設立と日本版DBS制度への対応に際してご相談者様、ご依頼者様からのニーズに万全対応を期すべく「イオリツ行政書士事務所」(佐久間彩子代表)と、業務上において連携することと致しました。
弊会に寄せられた児童クラブ新規設立のご相談、ご要望に際しては、児童クラブ全般の説明や業務設定の支援を弊会にて行い、クラブ設立に関する具体的な相談や手続きにつきましては、イオリツ行政書士事務所にて対応となります。また、日本版DBS制度につきましては、弊会は事業者の労務関係面の対応助言や必要規程の整備を担当し、イオリツ行政書士事務所が制度の説明や、認定事業者を得るための具体的な手続きの説明や代行面を担当いたします。
佐久間氏は、「日本一、学童保育に詳しい行政書士を目指す」として2025年度から事業を開始された気鋭の行政書士です。児童クラブに関しても豊富な知識を有しており、また実際に保護者運営系の児童クラブの利用者であり運営にも関わっておられるので、児童クラブに関する業務についてはまさに最適任です。
児童クラブの新規設立や運営主体の変更の手続き、また日本版DBS制度の全般的な相談には、ぜひとも「イオリツ行政書士事務所」まで、お問い合わせいただけますと幸いです。
「イオリツ行政書士事務所」(https://office-iolite.com/)
代表者:佐久間 彩子(さくま あやこ)
所在地:〒231-0048 神奈川県横浜市中区蓬莱町2-6-3 KOYO関内ビル406
もちろん、イオリツ行政書士事務所は日本版DBS制度についてきめ細やかな事業者様のサポートが可能です。
・認定取得に向けた申請書類の整備/相談
・導入/管理体制の構築、運用のサポート
・職員/保護者向けの説明サポート
・制度や法令に関する最新情報の提供
・就業規則等の整備、労務関係面の対応助言(弊会も連携して対応いたします)
日本版DBS制度についてのご相談は、弊会並びにイオリツ行政書士事務所まで、ぜひご相談ください。(https://dbs.office-iolite.com/)
※新着情報はここまで。「お得情報」が下にあります!
〇弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない、あらゆる児童クラブを応援しています。
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弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイス、メディア対応が可能です。ぜひご連絡ください。
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放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。
さらに運営支援からの書籍第2弾として、放課後児童クラブを舞台にした小説「がくどう、序」を発売しました。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。もちろんフィクションですが、リアリティを越えたフィクションと、自信を持って送り出す作品です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いたハートフルな作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説です。児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描ける「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作にも十分たえられる素材だと確信しています。
この2冊で、放課後児童クラブの世界をかなり知ることができると運営支援は自負しています。いわゆる日本版DBS制度において、放課後児童クラブと関わりができるであろう弁護士や社会保険労務士、行政書士といった各士業の方々には、放課後児童クラブの世界を知るにはうってつけの書籍となっています。他の業種、業態とかなり異なる、ある意味で異質の業界である児童クラブについて知ることができる、運営支援からの2冊を士業の方々には、ぜひご活用ください。
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「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。
☆(お得情報!)
(放課後児童クラブのエアコン機器の点検と清掃を考えている方に朗報です。弊会をバックアップしてくれている、埼玉県上尾市の「SVシステム株式会社」(埼玉県上尾市の電気・空調設備施工管理会社|点検・修理・メンテナンス|SVシステム株式会社)が、「児童クラブ限定」で、格安にエアコン機器の点検と清掃を承ります。埼玉県や上尾市に比較的近い地域であれば県外でもお伺いできます。見積はもちろん無料です。技術者のスキルは超一流。私が以前、児童クラブ運営事業者だったときからの長いお付き合いです。弊会お問い合わせメールで連絡先をお送りいただければSVシステム社に転送いたします。直接のご連絡も、もちろん大丈夫です。夏前にぜひ、エアコンの点検を!)
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(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)