2025年(令和7年)4月時点で最新の、放課後児童クラブの主な補助金の金額を紹介します。

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)運営者をサポートする「運営支援」を行っている、ほぼ唯一の事業者「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。放課後児童クラブを舞台に、新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描く、成長ストーリーであり人間ドラマ小説「がくどう、 序」を書きました。アマゾンで発売中です。ぜひ手に取ってみてください! (https://amzn.asia/d/3r2KIzc)お読みいただけたらSNSに投稿してくださいね!
 2025年(令和7年)4月3日付の「子ども・子育て支援交付金交付要綱」(第七次改正)の中から、放課後児童クラブに関する主な補助金単価を抜粋して紹介します。すべての内容は、こども家庭庁のウェブサイトに掲載されています。
 (※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。)
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<2025年度の補助金です>
 新たに示された交付金の主な情報について紹介します。

項目令和7年度令和6年度令和7年度と6年度の差額
放課後児童支援員(常勤職員に限る。)を2名以上配置した場合(250日以上開所)6,939,000円(児童数36~45人)6,552,000円(児童数36~45人)387,000円アップ
放課後児童支援員(常勤職員に限る。)を2名以上配置した場合(250日以上開所)で児童数71人以上の場合4,740,000円4,601,000円139,000円アップ
開所日数加算額(1支援の単位当たり年額)(1日8時間以上開所する場合)(年間開所日数-250日)×28,000円(年間開所日数-250日)×26,000円2,000円アップ
放課後児童支援員(常勤職員に限る。)を2名以上配置した場合(250日以上開所)の長時間加算分平日分(18時半を超えて開所する場合)=「18時半を超える時間」の年間平均時間数×720,000円/長期休暇等分(1日8時間を超えて開所する場合)=「1日8時間を超える時間」の年間平均時間 ×324,000円平日分=「1日6時間を超え、かつ18時を超える時間」の年間平均時間数×671,000円/長期休暇等分(1日8時間を超えて開所する場合)=「1日8時間を超える時間」の年間平均時間 ×302,000円単純比較できないが平日は49,000円アップ
放課後児童支援員、補助員(以下「放課後児童支援員等」という。)を配置した場合(常勤1人+補助員1人)(250日以上開所)5,117,000円(児童数36~45人)4,868,000円(児童数36~45人)249,000円アップ
放課後児童支援員、補助員を配置した場合(常勤1人+補助員1人)(250日以上開所)で児童数71人以上の場合2,917,000円2,917,000円同額(2年連続!)
開所日数加算額(1支援の単位当たり年額)(1日8時間以上開所する場合)(年間開所日数-250日)×21,000円(年間開所日数-250日)×20,000円1,000円アップ
放課後児童支援員、補助員を配置した場合(常勤1人+補助員1人)(250日以上開所)の長時間加算分平日分(18時半を超えて開所する場合)=「18時半を超える時間」の年間平均時間数 × 449,000円/長期休暇等分(1日8時間を超えて開所する場合)=「1日8時間を超える時間」の年間平均時間 × 202,000円平日分(1日6時間を超え、かつ18時を超えて開所する場合)=「1日6時間を超え、かつ18時を超える時間」の年間平均時間数×421,000円/長期休暇等分(1日8時間を超えて開所する場合)=「1日8時間を超える時間」の年間平均時間 ×190,000円単純比較できないが平日は28,000円アップ
放課後児童支援員1名のみ配置した場合(250日以上開所)4,301,000円(児童数36~45人)4,088,000円(児童数36~45人)213,000円アップ
開所日数加算額(1支援の単位当たり年額)(1日8時間以上開所する場合)(年間開所日数-250日)×17,000円(年間開所日数-250日)×16,000円1,000円アップ
放課後児童支援員1名のみ配置した場合(250日以上開所)の長時間加算分平日分(18時半を超えて開所する場合合)=
「18時半を超える時間」の年間平均時間数 × 298,000円/長期休暇等分(1日8時間を超えて開所する場合)=「1日8時間を超える時間」の年間平均時間 × 134,000円
平日分(1日6時間を超え、かつ18時を超えて開所する場合)=「1日6時間を超え、かつ18時を超える時間」の年間平均時間数×277,000円/長期休暇等分(1日8時間を超えて開所する場合)=「1日8時間を超える時間」の年間平均時間 × 125,000円単純比較できないが平日は21,000円アップ
障害児受入推進事業2,232,000円2,059,000円173,000円アップ
放課後児童クラブ運営支援事業・賃借料補助3,374,000円3,374,000円同額
放課後児童クラブ送迎支援事業・待機児童が既に100人以上発生している市町村に所在する放課後児童健全育成事業所の場合1,163,000円1,073,000円90,000円アップ
放課後児童クラブ送迎支援事業(待機児童100人以上ではない場合)581,000円536,000円45,000円アップ!
放課後児童クラブにおける要支援児童等対応推進事業1事業所当たり年額 1,369,000円1,369,000円同額
放課後児童クラブ育成支援体制強化事業1支援の単位当たり年額 1,500,000円1,500,000円同額

 主なものを抽出して紹介しました。運営費は、「1支援の単位」ごとの児童の数で区分されています。いわゆる適正規模である36~45人が最大で、これを下回る、あるいは上回るごとに減額されることは、児童クラブの経営、運営に携わる方ならご存じのことでしょう。表には書き込みませんでしたが、「常勤2人分」でも「常勤1人+補助員」でも、適正規模を下回ると人数分掛ける27,000円が減額されます。減額される額は前年(令和6年度)と比較して1,000円増額されています。適正規模を上回ると85,000円が減額され、これは前年より10,000円も増えました。つまり、46人以上の児童クラブは補助金がさらに減らされるということです。これは政策的に「適正規模を上回る児童クラブは損をするぞ」という、自治体に対する国の実質的なペナルティーですね。

 常勤職員2人配置の運営費補助金は前年の令和6年からスタートしたものです。引き続き実施されることは評価できますが、2人そろっていない月が1か月でも発生すると1年間通じてのこの補助金が全部、取り消されるのは、まったくもって許せません。障害児受入事業のように月割りで控除でいいじゃないですか。速やかな交付要件の変更を国に求めます。児童クラブの世界は極めて職員の出入りが激しい、つまり離職、退職がひんぱんにある業界です。国がそれを知らないはずがありません。知らなかったとしたら大問題です。この不安定な雇用条件ゆえに、市区町村がこの運営費の適用を見送っていることが容易に予想されます。補助金の返還手続きほど市区町村担当課も財政部局も嫌がる業務はありません。国は、常勤2人が実現できていない月については月割りで控除するように改めるべきです。

 常勤職員の定義もあやふやです。これは国が児童クラブに対する「開所時間」の定義が、児童がクラブに登所して過ごしている時間を基本に考えているからです。児童クラブは、こどもが来ている時間だけ、機能しているのではまったくありません。こどもが登所していない時間帯に、育成支援の内容や具体的な方針を協議検討することが、質の高い育成支援事業の実施に欠かせません。この時間をまともに確保していない事業者は実は残念ながらたくさんあります。全国あちこちでクラブを運営している広域展開事業者には珍しくありません。だからといって、こどもが登所する時間より前の時間は短くて構わないということではありません。
 どのくらいの協議検討の時間が必要なのか、それこそ国は調査してみるべきです。このほか、児童クラブの世界独特の傾向として、従事するクラブ職員が組織運営の業務にも従事する場合があります。こういう時間も含めて、児童クラブそのものが機能しているのですから、開所時間の定義をするのであれば、事業運営と組織運営に必要な従事時間を含んだものにするべきであって、現時点で国が掲げている開所時間は「児童受入時間」という解釈をするべきです。なお一部のクラブ事業者は、こどもが登所する時間より前の時間は別の事業に従事して組織全体の生産性や売り上げを向上させることで児童クラブ職員の賃金引き上げを図るべきだという意見を発しているようですが、運営支援はその考え方は相いれない立場です。一部の職員、いわゆる「ヒラ」の職員や非常勤職員、契約スタッフのような事業運営に格別の責任を持たない職員であれば、単なる兼業ですから構わないと考えますが、基幹的な職員、つまり常勤職員は事業の質を維持するために兼業を課すことは認めがたいと運営支援は考えています。

<気になった点>
 全体的に前年(令和6年度)と比較して、アップした額が増えています。評価しますが、最低賃金の急激な上昇分を吸収できるほどではないでしょう。光熱水費の上昇もクラブ運営を圧迫しています。また職員の賃金を考えると、主食のコメの価格高騰などあらゆる物価高を考えると、職員の給料アップにつながるだけの増額とはいえません。常勤2人分の運営費で38万7千円のアップですが、50万円ほどのアップが必要でしょう。

 常勤職員2人の場合の、いわゆる大規模状態(71人以上)はやや増額されました。13万9千円のアップです。一方で、常勤1人補助員1人の省令基準の配置基準の場合の大規模状態では、運営費補助額は据え置きとなっています。令和6年の単価も令和5年と同額でしたから、据え置きが続いています。これこそ、国の明確なメッセージです。運営支援はこの国の方針を高く評価します。つまり「放課後児童支援員1人プラスアルファの状態での71人以上の大規模状態は歓迎しないぞ。せめて常勤職員2人にしなさいよ」というものです。むしろ減額してもいいとすら運営支援は考えます。
 しかしそれでも大規模状態を半ば放置している自治体が後を絶たないのは残念です。こどものことを全く考えていない、そんな状態で勤務する職員のことを全く考えていないというのは、いかがなものでしょう。

 過去には運営の単価がほとんど据え置きの年度もありましたが、近年は濃淡、メリハリをつけながらも着実に運営費の補助額は増えています。これを児童クラブの事業運営に反映させることが必要です。指定管理者制度や3~5年間の委託では、入札応募や選定申し込みの場合に事前に指定された期間分の予算を提出しますが、その額に縛られることでは、着実に増える補助金額が反映されません。市区町村は、登所に契約した予算額はそれとして、補助金の運営費などの増額分は確実に反映させるべきです。その年度に必要な額として国が定めた補助金の額ですから、毎年、市区町村も見直して当然です。
 それを「3年間、5年間の予算額で業者を選定したのだから」と、毎年の運営費補助金の改定を無視している自治体があるとしたら、それは大問題です。児童クラブをまともに運営しようという意欲がまったく無いと断言します。自治体の当初予算を組み議会で審議される時点で、その年度の補助金単価が公表されていないことは通常あることですから、当該年度の途中で補正予算を組むなり、次年度の予算組みで前年度の補助金単価増額分を交付するなりして、事業者にしっかりと運営費補助の増額分を届けることが絶対に必要です。

 児童クラブの世界の団体はこの点、声を上げていませんが、事業者を応援するために業界団体の強力な声こそ必要でしょう。

<長時間開所はどうなる?>
 2025年度から条件が変わった、平日の長時間開所ですが、具体的にどうなるのか非常に気がかりです。1支援の単位あたり、午後6時30分を超えて開所する場合、その18時30分を超える時間の年間平均時間数に、72万円を乗じた額となります。つまり午後7時30分まで開所すれば1時間ですから72万円の補助金となります。しかし、午後7時30分まで開所するクラブは、それほど多くありません。0.5時間という単位も良いのでしょうか。であれば36万円ですし、10単位を運営する事業者であれば360万円になります。決して無視できる金額ではありません。大変気になります。
 この補助金の項目は、児童クラブの児童の受入れ時間を延ばすためにあるのですから、国はケチケチせずに、30分ごとに50万円ぐらいの補助金を設定して、今なお多い午後6時、午後6時30分閉所のクラブを減らすように政策的に誘導すればいいでしょう。なおその際、私は、利用者(保護者)に対して延長利用料を請求している事業者は除外しても構わないと考えます。つまり基本的に午後6時30分までの受入時間として、午後7時まで利用する保護者に月額上限2,000円などの利用料を請求しているケースが大変多いですが、そのような事業者には長時間開所の補助金の対象外としても構わない、という考えです。保護者利用者の経済的負担の軽減に少しでも役立つような補助金の創設と運用を、国に求めます。

<最後に、これは毎回言わせてもらいます>
 放課後児童クラブの補助金の単価は、まだまだ低いです。周りのいろいろな値段、料金がどんどん上がっているそのペースに追い付いていません。それでも以前よりかは増えているのは歓迎です。そこで気になるのは、補助金ビジネスに夢中の広域展開事業者が、この差額分をそっくりそのまま会社の利益に計上してしまわないか、という相変わらずの点です。市区町村はぜひ、その点に配慮してください。増額分が、運営事業者が行う事業と職員給与に還元されることを確認してください。今後は賃金条項付の公契約条例を整備して最低賃金レベルの賃金ではない賃金水準を設定するようにしてください。国や都道府県は、補助金の増額分を職員の賃金やクラブ運営に還元されるような枠組みを作るよう、市区町村を指導してください。

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 弊会は、次の点を大事に日々の活動に取り組んでいます。
(1)放課後児童クラブで働く職員、従事者の雇用労働条件の改善。「学童で働いた、安心して家庭をもうけて子どもも育てられる」を実現することです。
(2)子どもが児童クラブでその最善の利益を保障されて過ごすこと。そのためにこそ、質の高い人材が児童クラブで働くことが必要で、それには雇用労働条件が改善されることが不可欠です。
(3)保護者が安心して子育てと仕事や介護、育児、看護などができるために便利な放課後児童クラブを増やすこと。保護者が時々、リラックスして休息するために子どもを児童クラブに行かせてもいいのです。保護者の健康で安定した生活を支える児童クラブが増えてほしいと願います。
(4)地域社会の発展に尽くす放課後児童クラブを実現すること。市区町村にとって、人口の安定や地域社会の維持のために必要な子育て支援。その中核的な存在として児童クラブを活用することを提言しています。
(5)豊かな社会、国力の安定のために必要な児童クラブが増えることを目指します。人々が安心して過ごせる社会インフラとしての放課後児童クラブが充実すれば、社会が安定します。経済や文化的な活動も安心して子育て世帯が取り組めます。それは社会の安定となり、ひいては国家の安定、国力の増進にもつながるでしょう。
 放課後児童クラブ(学童保育所)の運営支援は、こどもまんなか社会に欠かせない児童クラブを応援しています。

 放課後児童クラブを舞台にした、萩原の第1作目となる小説「がくどう、序」が発売となりました。アマゾンにてお買い求めできます。定価は2,080円(税込み2,288円)です。埼玉県内の、とある町の学童保育所に就職した新人支援員・笠井志援が次々に出会う出来事、難問と、児童クラブに関わる人たちの人間模様を、なかなか世間に知られていない放課後児童クラブの運営の実態や制度を背景に描く小説です。リアルを越えたフィクションと自負しています。新人職員の成長ストーリーであり、人間ドラマであり、群像劇であり、低収入でハードな長時間労働など、児童クラブの制度の問題点を訴える社会性も備えた、ボリュームたっぷりの小説です。残念ながら、子どもたちの生き生きと遊ぶ姿や様子を丹念に描いた作品ではありません。大人も放課後児童クラブで育っていくことをテーマにしていて、さらに児童クラブの運営の実態を描くテーマでの小説は、なかなかないのではないのでしょうか。素人作品ではありますが、児童クラブの運営に密接にかかわった筆者だからこそ描けた「学童小説」です。ドラマや映画、漫画の原作に向いている素材だと確信しています。商業出版についてもご提案、お待ちしております。

 弊会代表萩原ですが、2024年に行われた第56回社会保険労務士試験に合格しました。これから所定の研修を経て2025年秋に社会保険労務士として登録を目指します。登録の暁には、「日本で最も放課後児童クラブに詳しい社会保険労務士」として活動できるよう精進して参ります。皆様にはぜひお気軽にご依頼、ご用命ください。また、今時点でも、児童クラブにおける制度の説明や児童クラブにおける労務管理についての講演、セミナー、アドバイスが可能です。ぜひご検討ください。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されました。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。学童に入って困らないためにどうすればいい? 小1の壁を回避する方法は?どうしたら低賃金から抜け出せる?難しい問題に私なりに答えを示している本です。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。注文はぜひ、萩原まで直接お寄せください。書店購入より1冊100円、お得に購入できます!大口注文、大歓迎です。どうかご検討ください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)