結局のところ、人手不足が問題なのが学童保育の世界。どうして人手不足になるのか改めて確認しましょう。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 8月5日のブログでお伝えしましたが、学童保育の世界を揺るがしそうな補助金の不正受給の問題は、問題を起こした運営事業者が、契約上、配置が必要な職員数に関して虚偽の報告をしていた可能性が濃厚となっています。もちろん大前提として、必要な職員数が確保できていなかったらそれをそのまま事実通り、報告することは当然ですし、必要な職員数を確保することが事業者(役員など運営担当者)の仕事であり責任なのですが、現実問題として有能な人物をなかなか採用できないもどかしさがあることは、私も承知しています。

 繰り返しますが、法令や契約において必要な職員数を確保することは運営者の当然の責任です。確保できないからといって虚偽の配置報告が許されるわけはありません。コンプライアンスが軽んじられていることは大変残念です。しかし、これも繰り返しですが、現に、人の採用について困難な状況があるのは事実ですから、この点を改善していかない限り、学童保育(=本稿では「放課後児童クラブ」に限定します)の世界における安定した運営は実現できないでしょう。安定した運営ができないということは、「子どもの最善の利益を守る」学童保育の運営が困難になってしまう、ということなのです。

 職員数を増やすにはどうしたらよいのでしょうか。それは当たり前のことですが、「必要な職員数を確保できる予算が確保できること」です。では、その予算はどうやって確保したらよいのか、ということになります。結局、収入構造の問題になっていくわけです。構造的な問題ですから、個々の事業者の努力だけでは完全に解決することは困難です。

 それでも、解決を目指して動かねばなりません。「この点を改善しなければ、学童保育の運営の安定は達成できない」と、多くの人が声を出さなければなりません。

 必要な予算とは、どのくらいでしょう。現在、国が考える学童保育所への補助金は、常勤職員(年額約310万円)1人と非常勤職員2人(年額約180万円)を想定しているとされています。国が用意している基本的な補助金(運営費)は、1つの単位(1つのクラブとほぼ同じ)について約470万円(児童数が40人前後)です。このほかに、開所日数加算や長時間開所加算、処遇改善等補助金など種々の補助金があり、およそ1単位で700~800万円の補助金が収入として計算できるでしょう。
 (なお年額300万円ちょっとの常勤人件費といっても、手取りでは200万円ちょっとです。まさにワーキングプアです。そもそもの国の補助金設定からして、間違っているのです)

 一方で国は、学童保育所の運営経費は、利用者(つまり保護者)がその半分を負担するべきという考え方を提示しています。すると、1クラブの補助金収入が700万円として、同じだけの額を保護者から徴収(保護者負担金や保育料、月謝として)するという考え方になります。その結果、補助金と合わせて約1500万円の収入をもって1年間の運営をしなさいね、ということになります。
 (この利用者徴収分、つまり受益者負担分は、保護者の経済的負担の軽減が必要であることから、負担額を軽々しく引き上げることは事実上不可能です。むしろ、1円でも低めに設定することが期待されています。)

 1500万円で、人件費、水光熱費、通信費、消耗品費などの経費を全部、まかなえるのでしょうか。人件費を抑えての運営を余儀なくされてしまうのが当然の論理の帰結です。300万円を人件費以外の経費として、1200万円でどれだけの職員を雇用できるのでしょう。手取り300万円、ワーキングプアにならないギリギリの人件費を用意すると常勤3人で1200万円が必要です。それでは、重要な非常勤職員が雇用できません。結局、ワーキングプアになる常勤1人300万円を2人、残り600万円で非常勤職員を5人程度確保する、ということになるのです。

 特に、最低賃金が高い地域では、非常勤職員の時給も高めに設定する必要があります。ますます人件費が足りず、結果として必要な人数の職員を確保するのが困難になってしまうのです。

 現在の学童保育の収入構造は「低めに設定された補助金」がすべての元凶となり、保護者からの徴収分(受益者負担分)も安易に増やせるわけでもないので、ほぼ固定された収入構造なのです。最近の急激な物価高、最低賃金の急激な引き上げにとても対応できていません。よって、人件費にまわせる予算が足りず、職員を雇用しようにも低めの報酬を提示せざるをえず、人手不足が解消しない、ということなのです。

 これはもう、何十年も続いている、学童保育の世界を苦しめている、不治の難病です。でも、そろそろ、劇的な特効薬が必要です。その特効薬の作り方を次回以降、お伝えしたいと思っています。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の世界の発展と質的な向上のために種々の提案を発信しています。積極的に学童保育の現状や理想について社会に発信をしていきます。また、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供できます。学童保育業界が抱える種々の問題や課題について、具体的な提案を行っています。学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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