民間事業者が放課後児童クラブ(学童保育所)事業に参入する際に役に立つ「スタートブック」を埼玉県が作りました!

 放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の運営者と働く職員をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表で「あい和社会保険労務士事務所」の萩原和也です。放課後児童クラブ(学童保育所)運営支援アドバイザーであり、放課後児童クラブの労務管理や事業運営をサポートする社会保険労務士です。放課後児童クラブを舞台にした人間ドラマ小説「がくどう、 序」が、アマゾン(https://amzn.asia/d/3r2KIzc)で発売中です。「ただ、こどもが好き」だからと児童クラブに就職した新人職員の苦闘と成長、保護者の子育ての現実を描くハッピーサクセスストーリーです。お読みいただけたら、アマゾンの販売ページに星を付けていただけますでしょうか。そして感想をネットやSNSに投稿してください! 最終目標は映像化です。学童の世界をもっと世間に知らせたい、それだけが願いです。ぜひドラマ、映画、漫画にしてください!
 埼玉県はこのほど、民間事業者が新たに放課後児童クラブを設置運営する際に、その手引きとなる「放課後児童クラブ新規参入スタートブック」を作成し、公開しました。実はこれ、県という公の存在が民間事業者のビジネスに役立つノウハウを紹介するという「攻めに攻めた」画期的なスタートブックです。ぜひ多くの方に手に取っていただきたいと運営支援は大いに推薦します。
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 (※基本的に運営支援ブログと社労士ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブは、いわゆる学童保育所と、おおむね同じです。)

<URLはここ>
 「埼玉県 放課後児童クラブ新規参入スタートブック」は全40ページ。フルカラーです。冊子は2部に分けて埼玉県福祉部こども支援課のページで公開されています。
(前編)
 https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook01.pdf

(後編)
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/166938/r0803_houkago-jidou-club-startbook02.pdf

 運営支援がなぜこの埼玉県が作成したスタートブックを激推ししているかといえば、このスタートブックの作成編集を弊会が受託したからですがそれ自体は実はささいな理由で、誰が作成しても運営支援はこのスタートブックを大いに推薦します。以下、その理由を紹介します。

<どの地域でも通じる内容>
 このスタートブックは、民間事業者(つまり市区町村など地方公共団体以外のすべての事業者)を対象に、「放課後児童クラブの運営事業を新たに手掛けてみてはどうでしょう? そのノウハウをここに収めていますよ」というものです。民間事業者に児童クラブを造って運営してもらいたい、ということですが、それはなぜでしょう。2つの理由があります。
1 児童クラブの待機児童数を減らしたい、待機児童が生じる状況を解消したい。そのためには、児童クラブそのものの量的な整備が必要。民間事業者に児童クラブを手掛けてもらいたい。
2 待機児童が出ていない地域でも、待機児童を出さないために定員を超えて入所希望のこどもを受け入れてギュウギュウ詰めの「大規模状態」にある児童クラブがかなりある。民間事業者に児童クラブを手掛けてもらうことで入所できる児童クラブを増やして、ギュウギュウ詰めの大規模状態の児童クラブを減らしたい。

 そしてもう1つ、大切な狙いも、このスタートブックには込められています。それは、放課後や長期休業期間中の、こどもの過ごし方に選択肢を増やすことです。放課後児童クラブは放課後児童健全育成事業を実施展開している場所ですが、その放課後児童健全育成事業の内容を画一的なこととして理解するのではなく、放課後児童健全育成事業を土台にしつつ民間事業者ごとに多種多彩な事業運営を実施していただくことで、こどもと保護者に「こういう児童クラブがあるなら、通ってみたい」と思っていただける選択肢を増やすことも、スタートブックに込められた期待です。たしかに多くの地域で現状は、住んでいる場所によって入所できる児童クラブが指定されています。その場合の選択肢は「児童クラブに入るか、入らないか」だけです。「児童クラブに入らないと子育てと仕事等の両立はできない。でも、地域にある児童クラブでは、こどもが過ごしにくい」という場合に、更なる入所先を提示できることが実は必要です。今は児童クラブの量的な整備の遅れが「こどもの過ごす時間の質的な向上」を阻む状況にありますが、民間事業者の新規参入が進めば、こども(そして保護者)の選択肢が増えて、よりこどもにとって過ごしやすい、こどもの居場所になりえる場所が増える可能性がある、ということです。
 こどもの過ごす時間の場所と質に多彩な選択肢を提供できる社会の実現も、このスタートブックに込められた大きな期待です。

 これは、埼玉県だけの話しではなくて、日本全国どこにでもあてはまることです。人口がどんどん減っている時代ですが、こどもの人数がどんどん減ることと児童クラブの入所ニーズが比例して減る、ということは必ずしも成り立たないとわたくし萩原は考えています。何度も書いていますが今の小学生全体の4人に1人が児童クラブを利用しています。ということは残る4人のうち3人には、児童クラブの利用ニーズが秘められている、ということです。まずそもそも低学年の入所を優先するために高学年の入所をやんわりと断っている地域はあちこちにあるので高学年の利用ニーズは実はとても強いことと、高学年になれば興味関心の向く方向が多彩になるので、児童クラブにおいても画一的な内容では高学年のこどもが過ごす時間の多彩化が必要となるのです。その多彩な利用ニーズを満たすのは民間事業者の放課後児童クラブ新規参入です。
 「待機児童も出ないし、こどもの人数が減っているから、児童クラブの整備は必要ない」と地方自治体は安易に考えないでいただきたいと運営支援は強く願います。こどもの多彩な過ごし方の実現は、種々の事業内容を展開する児童クラブの整備を自治体が推し進めることで実現できるということを、ぜひ行政執行部と議会の方々に考えていただきたいと切に願います。

<新規参入を考えている人の「知りたい」を押さえた内容>
 このスタートブックを読めば、児童クラブに新たに参入してみたい、あるいは先行きが読めない時代で何か新たな事業の柱を考えたい、と考えている民間事業者の方に、「なるほど、こうやって児童クラブ事業を始めることができるのか」ということが理解できるでしょう。参入決定から児童クラブ開設までのフローチャートや、覚えておきたい法令、補助金のメニューも重要なことに限られますが紹介しています。児童クラブをやりたい、ついては知りたいことが山ほどある、という方々にぴったりです。あるいは「児童クラブをやりたいけれど、何をどうしたらいいのかすら分からない。何を知っておけばいいのかすらよく分からない」という方もいるでしょう。まさに、「知りたいと思うようなこと」を先回りして紹介しているのが、このスタートブックです。

<とても大胆>
 このスタートブックは聞くところ、日本で初めてのようです。ちょっと考えてみると分かるのですが、県という公の組織が民間事業の参入を促すこと自体は企業誘致そのもので特段珍しいことではありません。半導体の工場があちこちで完成しましたね。ところがこのスタートブックが扱っているのは放課後児童健全育成事業です。民間も実施できますが市町村による公の事業です。多くの市区町村が税金を投じて整備している事業です。公の事業ですからね。それを、県という存在が、公の事業への民間の参入に際して困ることが無いように丁寧に案内するということは、なかなか実は大胆なことなのです。
 もちろんこのスタートブックのどこにも「公が児童クラブを整備する時代は終わった」などの誤った内容は記載されていません。あくまで、こどもの成長と保護者の社会経済活動を支える社会インフラの整備として民間事業者にもその役割を担える時代ですよ、そのために必要なノウハウを紹介しますよ、という内容です。しかしそれでも、県という大きな存在が民設民営の児童クラブの設置と運営のノウハウを紹介するというのは、大胆に「攻めている」画期的な内容であるということを、ぜひともご理解いただけますと幸いです。

<あえて紹介します。真の狙い>
 丹念にスタートブックの文章を読んでいただけると自然に理解できるとわたくしは思うのですが、単純に「なに? 民間企業が児童クラブに参入して儲ける、利益を確保することをお前たちは勧めるのか! 許さん!」と勘違いされがちな内容でもあります。「児童クラブはあくまで公が整備するもの。民間に任せることはダメだ!」とお怒りの方もいるでしょう。

 誤解を生まぬようはっきり言っておきます。このスタートブックは、民間事業者による放課後児童クラブ、つまり民設民営放課後児童クラブの新規参入に際して役に立つノウハウを紹介するものですが、冊子の内容には、「放課後児童健全育成事業」がとても丁寧に紹介されています。それはすなわち、放課後児童健全育成事業を土台にした民設民営放課後児童クラブの新規参入を期待していることです。

 勘違いされやすいのですが、民設民営放課後児童クラブは民間事業者が設置して運営していますが、その内容はあくまで公の事業である「放課後児童健全育成事業」を実施していることを意味しています。これは、放課後児童健全育成事業に関する基準(いわゆる基準条例)を遵守して市町村への届出を済ませている、ということです。この場合は、児童福祉法による放課後児童健全育成事業を実施している、ということになります。届出をせずに放課後児童健全育成事業を実施している施設もありますし、届出をしないことで基準条例に縛られない自由な運営をしている施設もあり、この場合を特に「民間学童保育所」と呼称することが多いのです。
 つまりこのスタートブックは、放課後児童健全育成事業を実施する事業者を前提にした内容であるということです。それはすなわち、こどもの健全育成に重要な育成支援を必ず実施しましょうね、ということでもあります。この点でもう、「こどもが過ごす児童クラブを利用したカネ稼ぎ」という見方は外れます。育成支援はとてもコストがかかる事業です。「児童クラブにどんどん参入して補助金で利益を得る仕組みに乗っかるといいよ!」とは実は正反対の内容です。その上で、「こどもと保護者と職員のためにしっかりとお金を使って、その上でまた予算が余るのであればそれは事業者の利益計上でいいんですよ」ということです。

(さらにあえてわたくし個人の意見を申します。これはすでにある公設民営児童クラブへの強烈なパンチです。公設民営児童クラブで営まれている育成支援は常にアップデートされていますか? こどもたちの多種多様な願いをかなえようと考えていますか? 自分たちがやってきた育成支援だけが正しいからそれにこどもたちを合わせているというのは運営する大人たちの手抜きでありおざなりのクラブ運営であると理解していますか? 公設民営事業者が補助金ビジネスで利益をただ上げるために児童クラブを運営していることを自治体は見て見ぬふりをしていませんか? 児童クラブの運営はとても大変で生半可に利益を上げられないよ、とこのスタートブックは示していますが、公設民営の広域展開事業者は職員とこどもの得られる利益を犠牲にして事業者の利益計上を容易にさせてはいませんか?) 

 その他にもこのスタートブック、とても役立ちます。
<放課後児童クラブの仕組みが分かる>
 このスタートブックは、放課後児童クラブの仕組み、概要を丁寧に説明することに多くのページ数を費やしました。放課後児童クラブ事業に新たに参入するにあたって、なるべく児童クラブの基礎的なことを知っていただきたいから、という狙いが込められています。
 ということは、すでに運営している児童クラブにおいても役に立つ局面が大いにある、ということでもあります。児童クラブの基礎的な事項を確認するための手引きとしても利用できますよ。

<専門家も登場します>
 スタートブックには行政書士と社会保険労務士が児童クラブ運営について助言をするページもあります。これは冊子作成の公募に応募する際に私が目玉企画として盛り込んだものです。民間事業者が児童クラブに参入しようとしても書類をどうしていいのか分からないということを、わたくしはよく耳にしてきました。そこは行政書士の出番であろうということです。
 何より日本版DBSです。今後、児童クラブに新規参入する事業者は避けては通れない重要なテーマです。これについても専門家に触れていただきたいということで登場願いました。
 社労士については児童クラブの運営はなかなか労働関係法令が遵守されにくい業界にあることをわたくし自身が承知しているので、事業の運営は職員を大事にすること、それはまさに労働関係法令の遵守であることを伝えたく、具体的な事項への解説を通じて新規参入を考える民間事業者の方々に意識してほしいということも狙ったものです。
 企画に賛同して取材に快諾いただいた佐久間彩子先生と藤原依美先生にこの場をお借りしまして御礼申し上げます。

<結びに>
 埼玉県が作成して公開したものですから、このスタートブックは基本的に埼玉県内の状況を紹介しています。とはいえ、大都市や大都市近郊の地域においては事情が共通しています。紹介されている児童クラブ数や待機児童数は埼玉県内の数値ですが、その点さえ除けば内容は全国どこでも通用する内容であると自負しております。
 民間事業者を対象にしていますが、保護者会や地域運営委員会のような民間の任意団体で児童クラブ運営に関わっている人たちにもきっと参考になると考えています。ぜひ手に取ってみていただけると嬉しいです。

 このスタートブックは連日、埼玉県こども支援課の担当者さんと相談打ち合わせしながら作成したものです。多種多彩な児童クラブの必要性を深く認識されこのスタートブック作成に踏み切った埼玉県には改めて御礼申し上げます。

(お知らせ)
<社会保険労務士事務所を開設しました!>
 2025年9月1日付で、わたくし萩原が社会保険労務士となり、同日に「あい和社会保険労務士事務所」を開業しました。放課後児童クラブ(学童保育所)を中心に中小企業の労務サポートを主に手掛けて参ります。なお、放課後児童クラブ(学童保育所)に関して、労働関係の法令や労務管理に関すること、事業に関わるリスクマネジメント、生産性向上に関すること、そしていわゆる日本版DBS制度に関しては、「あい和社会保険労務士事務所」を窓口にして相談や業務の依頼をお受けいたします。「あい和社会保険労務士事務所」HP(https://aiwagakudou.com/aiwa-sr-office/)内の「問い合わせフォーム」から、ご連絡のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 New! 日本版DBS制度について相談したい事業者さんにぜひともお勧めします。さいたま市南区の「エリーネ行政書士事務所」(https://www.eri-ne.com/)さんのご紹介です。行政書士の入澤えりな先生が、日本版DBS制度を中心に児童福祉施設や児童福祉の事業者様からのご相談に対応してくださいます。日本版DBS制度以外にも遺言作成・相続、介護タクシー等をメインにご相談に応じているとのことです。営業時間は平日9:30~17:00で、土日祝は応相談とのこと。ぜひ、困り事がありましたら頼ってくださいね。

 「一般社団法人あい和学童クラブ運営法人」は、引き続き、放課後児童クラブ(学童保育所)の一般的なお困りごとや相談ごとを承ります。児童クラブの有識者として相談したいこと、話を聞いてほしいことがございましたら、「あい和学童クラブ運営法人」の問い合わせフォームからご連絡ください。子育て支援と児童クラブ・学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と児童クラブ・学童保育担当者の方、議員の方々、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

(ここまで、このブログをお読みいただきありがとうございました。少しでも共感できる部分がありましたら、ツイッターで萩原和也のフォローをお願いします。フェイスブックのあい和学童クラブ運営法人のページのフォロワーになっていただけますと、この上ない幸いです。よろしくお願いいたします。ご意見ご感想も、お問合せフォームからお寄せください。出典が明記されていれば引用は自由になさってください。)

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萩原和也