放課後児童クラブ運営指針はなぜ必要か?

 「放課後児童クラブ運営指針」とは、国(厚生労働省)が策定した指針です。平成27年(2015年)3月31日に発出されています。放課後児童クラブの運営において、その内容の水準を明確に示したものです。目的ですが、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長の通知の文面によると、「放課後児童クラブの運営の多様性を踏まえ、最低基準としてではなく、望ましい方向に導いていくための全国的な標準仕様としての性格を明確化する」との観点で策定されたとしています。

 これはつまり、放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)は、もともと、法律に規定される前に自然発生的に全国各地で誕生し、独自に発展を遂げてきた歴史が影響しています。つまり、放課後児童クラブはその市区町村ごとに形態が全く異なるので、その事業内容も、そして事業の質の高低もバラバラなのです。よって児童福祉法も「地域の実情に応じて」という文言を入れて現状を追認しているのですが、そのバラバラすぎる放課後児童クラブで行われる事業=子どもの健全育成に、新たな目安、基準を設けようというのが、「放課後児童クラブ運営指針」ということになります。

 全国的な標準仕様として、児童クラブの果たすべき役割や、児童クラブで働く職員の専門性に関する共通認識を、児童クラブの設置者である市区町村や事業者に向けて提示しているのです。極めて重要であるということがお分かりいただけますでしょうか。問題は、指針であって法的な強制力がないため、運営指針は手に取っても「まあ、理想論だね」で片づけて、職員や事業者、市区町村が、やりやすいように、都合がいいように児童クラブを運営している例が後を絶たないということです。その点の改善が望まれています。

 (運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)