放課後児童クラブの課題は?
放課後児童クラブ(地域によっては学童保育所や、学童クラブといった様々な名前が付いています)には多くの課題、難題が存在しています。子どもの立場、保護者側の立場、働く側の立場、設置する側の立場など立場によって異なります。数えきれないほどたくさんの課題がありますが、例えば次のようなものがあります。
・待機児童の発生(いわゆる「小1の壁」や「小4の壁」)=児童クラブを利用できないことで、子どもの安全な居場所が確保できないこと、保護者の就労に重大な影響をもたらすこと。原因は施設数の少なさ。
・大規模状態の発生(いわゆる「ギュウギュウ詰め学童」)=児童クラブで子どもが過ごす環境が過密状態のため悪化することで、子どもの心理的なストレスが過大となるだけでなく物理的な事故の発生数も増える。勤務する職員にも大変な疲弊を及ぼす。
・劣悪な職員の雇用労働条件=低賃金で長時間の重労働が当たり前。仕事が長続きせず、児童クラブの世界は常に慢性的な人手不足。現実として、そのような条件ゆえに優れた資質の人材がなかなか集まらず、定着しない。資格制度が貧弱なことが原因の1つ。
・利便性向上への理解不足=児童クラブの開設時間によっては保護者のワークライフバランスに適合せず、使い勝手が悪い。午後6時台の閉所や朝8時の開所では、通勤に時間が必要な保護者にとって不便。利便性を向上させることの重要性を市区町村や児童クラブ事業者が必ずしも理解していない。盆期間の閉所がある、昼食提供も、利便性の問題。
・そもそもの事業目的である「健全育成」への理解不足=画一的なスケジュールを一方的に子どもたちに強いて放課後の時間を過ごさせる児童クラブの運営事業者が急増している。子どもの知的好奇心を刺激するプログラムは効果があっても、「それだけしか行わせない」という強固に固定化した児童クラブにおける過ごし方は、子どもにとって「学校から解放された豊かな放課後時間」を損ねることになる。
待機児童解消や職員の雇用労働条件の向上は十数年前から強く求められていることですが、一向に解決しません。国は放課後児童対策に対してもっと予算を投じ、法令を整えて制度を再設計して、利用する側も、従事する側も、最低限許容できる範囲にまで水準を引き上げるべきですが、残念ながらなかなかそこには至りません。これこそ児童クラブにおける最大の課題、問題でしょう。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)