放課後児童クラブには定員がありますか?

 放課後児童クラブとは、児童福祉法で定める「放課後児童健全育成事業」を行っている施設のことです。地域によっては学童保育所や、学童クラブといった様々な名前が付いています。この放課後児童健全育成事業には、国が定めた基準(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準。厚生労働省令)があります。その基準は、「一の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね40人以下とする」(第10条第4項)と定められています。ここでいう「一の支援の単位」とは、放課後児童クラブの数え方で、1つの施設に2つのクラスがある場合はそのクラスを指すことが多いです。

 つまり、児童クラブはおおむね40人の児童が在籍することを法令上では想定されています。ということは、定員が40人のクラブが多くなりそうですが、現実には、週のうち何日間、児童クラブを利用するかによって児童の数の数え方が決められており、例えば、月~土の6日間開所のクラブで週3日利用する児童は、0.5人と数えるという仕組み(=利用児童数の仕組み)があるために、定員を40人とするのではなく実際の利用する人数を考慮して50人前後としているクラブが多いようです。なお、同じ基準で、児童1人あたりの面積としておおむね1.65平方メートルが必要であると規定されていますので、施設の面積を1.65で割って得られた数値も参考として定員を設定するクラブが多いのです。

 定員については、定員を超える児童数は受け入れない、つまり待機児童を出すことをやむを得ないとする市区町村があれば、定員を超えても待機児童を出さないために施設において許容できる範囲まで(つまり上記の1.65平方メートルを下回っても)児童を入所させる市区町村もあります。定員を超えて児童を入所させてはならない、という趣旨の法令はありません。各市区町村の判断に委ねられています。

 この「おおむね40人」を超える状況では、子ども達が生活の場として過ごす児童クラブの環境が悪化します。以前は、入所児童数が71人を超える状態を「大規模状態」と呼ぶことが多かったのですが、現在は、この40人を超えて、かつ、児童1人あたりの面積が1.65平方メートルを割り込む状態を大規模状態として考える傾向が強まっているようです。

 なお、現実的には、40人もの子どもが同じ場所で過ごす状態でも、とても大変です。誰かにぶつかったり、職員の目の届かないところで、ふさわしくない行為が行われたりすることがあります。児童クラブの世界では、1クラブにおいて30人前後が適切な入所児童数であるとしています。定員もすべからく30人前後に設定されることが期待されます。

(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)