学童保育所は、子育て支援のために存在する児童福祉の制度。学童保育を必要とする世帯がいるなら開所するべし。

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 いわゆる「盆期間」に入っています。帰省や旅行で人の動きが活発になる時期です。この期間、学童保育所(=放課後児童クラブ)は多くの世帯が学童の利用を休み、登所する児童数も大幅に減ります。よって、この期間を休所とする施設も、それなりにあるようです。私も息子が通っていた学童保育所も以前はこの期間、休所していましたし、運営をするようになった時点で休所していました。運営本部に当たる事務局も閉鎖していました。

 当たり前ですが、この期間であっても小売業や飲食店など多くのサービス業が稼働しています。医療、介護の世界に休みはありません。実際は、かなり多くの人が働いているのです。なのに、「盆期間は休み=学童保育所も休み」という固定観念があって、そのために学童保育所を休所させているとしたら、保護者の就労等を支える役割を与えられている学童保育にとっては、極めて残念な事態です。

 要は、「学童保育を必要としている子育て世帯があるなら、そのニーズに応じるべきだ」と、私は強く言いたいのです。

 時折、SNS等で、こんな意見を見かけます。
「盆期間ぐらい、親子で一緒に過ごしてほしい。親子でいられる時間は貴重なのだから」
「学童保育の仕事は休みがない。盆期間ぐらい休ませてほしい」

 私は、本当に残念に思います。このような感覚の者が、学童保育で働いているからこそ、学童保育の質的向上がなかなか実現しないのだ、と言い切りたいぐらい、残念です。

 まず前者。学童保育の職員が、自己の保育観念、親子関係の過ごし方を、他の家庭に押し付けて従わせようとしていることの傲慢さに気付かないところが大変残念です。それぞれの家庭、それぞれの保護者にはそれぞれの生活があります。休みたくても働かなければいけないかもしれない、あるいは、休みよりも働くことを選んで収入を増したいのかもしれない。それは、それぞれの家庭のそれぞれの保護者の生き方です。子どもの虐待に直結しない限り、それらの保護者の生き方に修正を迫る権限など、学童保育所の職員にはありません。
 まして、「この期間に親子で過ごさず学童に預ける親は、子育ての大切さを理解していない。そんな親が多すぎ」という学童保育側の考え方は、本当にいただけない。そういうことを考える学童保育業界の人間の方が、すべてにおいて知識不足、理解不足、かつ、傲慢です。

 児童福祉法第6条の3の②、学童保育に関して規定されている法令を改めて確認してください。
 「この法律で、放課後児童健全育成事業とは、小学校に就学している児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう」とあります。

 この条文のどこに、「この期間は親子で過ごす方がいいから、学童保育所の利用を考えるより親子で過ごすようにしてください」と学童保育側が保護者に対して言える権利が認められているのですか?盆期間に労働して家に不在の保護者がいるなら、その世帯の子どもを受け入れて健全な育成を支援するのが、学童保育の当然の責務。基本的な法令の理解もせずに、ただ、職員や運営者が抱く親子間の観念や意見や「休みたい」という個人の都合を、盆期間でも働いている子育て世帯に押し付けるような学童保育所があるなら、一刻も早く、廃業していただきたい。

 後者は、完全に視野が狭いですね。自己の休日の確保と、学童保育所の閉所は関係ありません。経営者がしっかりと休日を職員に確保させればよいだけ。自己の組織の労務上の欠点を施設の運営形態に関連付けることは、あってはなりません。ろくに休みを与えない事業者に雇用されているなら、しっかりと休みを確保して事業を実施している学童保育の運営事業者に転職することを私は勧めます。

 言わずもがな、盆期間に休もうと考える経営者こそ、私にとっては、最低最悪の経営者です。そのような者は学童保育の運営を止めていただきたい。手を引いていただきたい。(同時に、経営側だけのんびり休んで、職員には休日も報酬も満足に与えないで働かせているような施設の経営者こそ、真に最悪です。)

 「いや、そうはいっても、ただでさえ労働条件が厳しい。今の状況で盆期間の開所で勤務をするのは避けたい」という意見もあるでしょう。それも私に言わせれば、「施設や運営主体の都合」に過ぎない。雇用労働条件が厳しい、過酷なことをもって、学童保育を利用する人に不便を強いてはならないのです。劣悪な雇用労働条件は、別途、解決に取り組んでいけばいいだけのことです。(人手不足の現状を知っているはずなのに、相変わらず低額の運営費しか補助金額で設定しない国の姿勢が最も責められるべきなのですが)

 さて私の場合。経営トップになって当然、盆期間開所を目指すことにしました。そのために重要だったのは「盆期間の休みは当然」と思ってきた職員の意識改革です。子育て支援ファーストになっていない思考をどう変えるか。もちろん、一気に「はい、今年から開所」と断行する手もありましたし、それが一番楽ですから。しかし、私は3年かけて開所する方法を選びました。初年度は、本部にあたる事務局だけ開所し、保護者対応のサービスを実施しました。(全日通して出勤は私だけ。もちろん誰も労わってくれませんでしたが、そんなのは期待すらしていなかった)職員に、経営トップの姿勢を示したのです。翌年度は、地域内で開所施設数を限定しての開所。そして3年目は、その開所施設数を大幅に増やしました。その後は、盆期間の開所はごく当たり前として組織、職員に受け止められるようになりました。

 やればできるのです。「盆期間は休み」という勝手な理屈を、子育てに日々、追われている世帯に、学童保育側が押し付けることは、法令からもおかしいということに気付かない低レベルのままであってはなりません。学童保育の世界は、社会的に高い評価が欲しいのでしょう?学童保育があってよかった、学童保育で働く人は本当に大切だから、もっと高い給料を出してあげなきゃね、と思われたいのでしょう?だったら、社会に評価される当たり前の事をやりましょうよ。それをやらずして文句ばかり言っている人が多いのなら、低賃金は当然です。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の世界の発展と質的な向上のために種々の提案を発信しています。学童保育業界の古い体質改善のために、厳しい意見を出して進歩発展を後押しします。積極的に学童保育の現状や理想について社会に発信をしていきます。
 また、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供できます。学童保育業界が抱える種々の問題や課題について、具体的な提案を行っています。学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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