学童保育所の職員は、過去に性犯罪をした人でも採用されやすいと聞きましたが本当ですか?
現時点では、学童保育所(放課後児童クラブのことを指している場合がほとんどです)の職員を採用するにあたって、過去に性犯罪や盗撮などを行った人物を完全に排除できる仕組みがありません。よって、採用されやすいとまでは言えないとしても、採用してしまう可能性については完全に排除できません。
インターネットには「学童保育の職員は過去に性犯罪をしでかした人がたくさん働いている」という趣旨の書き込みもありますが、それは完全な事実ではありません。ただし、採用するにあたって事業者側が、求人に応募してきた人の過去の犯罪歴を知ることができませんので、結果的に性犯罪を行った人を採用してしまう可能性はあります。それをもって「たくさん働いている」と言えるかどうかは、なんとも言えません。
採用に当たっては当然ながら事業所側も、「念のために確認しますが、過去に子どもに関して何かあったことは、ないですよね?」程度のことは確認します。そこで応募してきた人が正直に「はい、実は過去に子どもに対してわいせつなことをして逮捕されたことがあります」と述べることは現実的ではないでしょう。確実に採用されませんから。現時点では「いいえ、そのような過去はまったくありません」と答えられても事業者側には確実に確認できる手段はありません。せいぜい、過去の報道記事を検索してみるぐらいです。
しかし2年後の令和8年(2026)年度からは、いわゆる「日本版DBS制度」(通称:こども性暴力防止法)が施行されます。放課後児童クラブは認定事業者として、要件を満たした事業者であれば過去に性犯罪歴がある人物の採用と就業を防ぐことができます。しかし認定事業者になるには数々の要件をクリアする必要があり、小規模の事業者が多い放課後児童クラブの世界ではどれだけの事業者が認定事業者になるのか、まだ見通しすら立っていません。
よって、現時点では、児童クラブの現場において、職員が犯罪行為に及ぶことを防ぐための職場環境づくりを徹底することが事業者に求められますし、人権擁護の観点から子どもへの犯罪行為がいかに許されないものかについても教育研修を徹底する必要があります。児童クラブにおける性加害を起こさないための強固な仕組みを児童クラブ事業者が講じなければならない、ということです。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)
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