学童保育所でありがちな「さっきはOKと言われたのに、どうしてダメなの?」。職員でバラバラな対応はバツ!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。

 学童保育の世界でありがちな話の1つが、「あの先生はOKしたのに、どうしてダメなの?」という、職員によって子どもへの対応や指示する内容がバラバラということがあります。これはあらゆる局面で起こりがちです。大きく分けて、2つの態様に分かれます。

 1つは、職員同士で、当日のスケジュール、プログラムを共有していないために起こる指示の違い。例えば、おやつの後に外遊びに行っていいよと、ある職員に言われたのに、別の職員から「おやつの後は全員でお掃除」と言われた、などです。職員間での情報共有が出来ていない点で、深刻です。職員同士で連携ができていない職場といえるでしょう。こういうクラブでは、深刻な事案(ハザード)が発生する可能性があります。

 もう1つのケースは、育成支援の方向性が職員ごとにズレているパターンです。遊びの決め方、トラブルが起こったとき、子どもたちだけでイベントやルールを考えようとしているとき、諸々の局面で、育成支援の考え方を基に支援員が子どもと接する場面があるはずです。それを、クラブの職員ごとに違った指示や見解を出すというケースです。これは、学童保育所(放課後児童クラブ)の最重要業務である育成支援において職員同士の理念と方向性の共有ができていない点で、絶対にあってはならないことです。

 考えてみてください。通常、業務を行うにおいて、その企業や組織の方針や目指す目標が、企業や組織の内部で統一されていなかったらどうなりますか?品質管理、マーケティング、ターゲッティング、ありとあらゆる局面で担当者ごとに違った考え方では、ビジネスとして成り立ちませんよね。

 学童保育所も同じですよ。育成支援の考え方の理解、解釈が職員ごとにバラバラでは、子どもたちが戸惑い、混乱します。もっと言えば、職員ごとに言っていることが違う状態に置かれた子どもたちは、職員=大人を信用しなくなります。育成支援どころではありません。

 この状況を防ぐには当然ながら、組織全体で、育成支援について理解を深めることです。具体的には、組織全体として、育成支援を行う上で最終目標となる理念を定めて全職員で共通理解とすることと、その理念を実現するための手段、方法についても同様に全職員が共通理解とすることです。
「わたしは、子どもが困っているとき、早く解決させて子どもを楽にさせてあげたいから、答えを教える方がよいと思う」
「わたしは、子どもが困っているときも、子どもたちが自分の力で解決する力をもってほしいから、できるだけ子どもたちに考えてほしいと思う」

 こういう考えの違いの差は重要です。育成支援の基本的な解釈の差だからです。その組織がどのような理念を掲げて、その実現のためにどのような方法を採用するか、組織全体で方向性を統一しておかねばなりません。

 こういう意見には必ず「保育には、支援には、支援員の個々の価値観や保育観が反映される。多様性のある支援が大事なのであって、組織が支援の考え方の統一を共有することは多様性のある保育の妨げとなる」という反論があります。私はその意見は、「反対したいための意見」として、まともに議論する気にもならない、浅はかな意見だと考えます。要は「自分でやりたいことを、やりたいだけの屁理屈」だからです。

 学童保育所が1つだろうが、何十もの単位であろうが、学童保育をやっている限りは事業を行っているのです。職員は、給料をもらって仕事を行っている限り、それは事業に従事しているのです。事業であれば、その組織、企業、団体で、統一された事業運営方針があるのは当然です。それが事業の質の均一化です。それを否定するのであれば、自分1人で行えるシッターになればよいのです。組織に所属する限り、組織が決めた方針に従うのは当然です。また、組織がある程度の幅を決めてその幅の間であれば職員の裁量を認めるというのであれば、その幅の中で己の価値観を反映させればよいのです。(むろん、その幅で行えることは、組織で定めた育成支援の理念の実現を目指す方法論を否定するものであっては、なりません)

 学童保育の世界は、事業の質を考えるという「考え方」についてあまり深く考えることはないようです。個々の支援員の技量スキルや対応には、やたら注視しますが、組織やチーム全体での育成支援は二の次、三の次になっていると私は思います。それが、学童保育業界がいつまでたっても「単なる子守り」と認識される原因の1つだと私は残念に思っています。

 組織全体で育成支援の理念を定め、理念を実現するための手法、方法について職員全体で共有するようにしてください。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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