学童保育は必要ですか?
学童保育所(放課後児童クラブである場合も、そうでない場合も含まれます)を必要とする人にとっては、利用ができなければ生活に重大な支障を生じます。生活が成り立たない状況に追い込まれる可能性が高いのです。一方、必要でない人にとっては無用の存在でしょう。それは病院と同じようなものです。
学童保育が必要となる状況は、「保護者が仕事をしたり、学校に通ったり、身内の介護や看護をしたり、求職活動をしたり」という事情で家庭を留守にする時間帯が生じている状況です。この留守家庭の小学生児童の居場所として設置されているのが学童保育所です。もともと学童保育所は国や市区町村が制定した制度では、まったくありません。上記のような状況になった子育て中の保護者が自ら必要に迫られて編み出した仕組みです。それが全国的に広がって、やがて法律に書き込まれるようになったのです。ですから、法律上の学童保育、それは「放課後児童健全育成事業」と呼ばれますが、保護者が不在の間という、保護者の不在が放課後児童クラブの入所に必要な前提となっています。
子どもがいては活動ができない保護者にとって、学童保育は必要不可欠な仕組みです。よって学童保育が利用できない子育て世帯は、保護者(それはたいてい、母親)が仕事を辞めたり変えたり正規職員から非正規職員に変わったりして、つまり収入を減らすことを余儀なくされながら子どもの監護、養育に関わることになります。これはその世帯の家計はもちろん、そういう保護者を雇用していた企業にとっても損失です。
一方で、ほとんど注目されていませんが、学童保育は保護者の子育ても支援する役割があります。保護者が就労等で家を不在にしている間だけ施設が利用できるというのが現状ですが、子育て支援を考えると、保護者の一時的な休息のために子どもが学童保育を利用することは、もっと大々的に認められてよいでしょう。それが全体的に保護者の子育てに活力を与えられるのであれば、積極的に学童保育を活用するべきです。子どもの健全育成が学童保育のもう1つの柱ですが、健全育成を学童保育を含めて社会全体で行うという考え方が一般化されれば、保護者の不在、留守という前提条件とはかかわりなく子どもが学童保育を利用できる機会を提供できるということになります。将来的には、社会全体での子育てを推進するために学童保育の利用に関する保護者不在・留守要件は縮小、撤廃することが期待されます。
(運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)