学童保育の運営組織者は、雇用の安定に知恵を絞ろう
(代表萩原のブログ・オピニオン)学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」萩原和也です。「学童で働いた、こどもをあきらめた」の悲劇が起きないように全力で訴え続けます。学童保育の運営支援の必要性を代表ブログで訴え続けています。
学童保育の世界は、人材の流動性が極めて高い世界です。退職転職を繰り返し、いくつかの地域で勤務経験を持つ方が大変多いです。人材確保も当然ながら、新年度の新規採用より年度途中の中途採用のほうが圧倒的に多いでしょう。雇用の流動性が高いというのは働き手にとって雇用条件の良い組織・企業を選択できるという点としては有利化もしれませんが、こと学童保育の世界は、「雇用条件が悪すぎる」「勤め出した組織・企業の体質が想像とはまったく違っている」など、働き手にとって不利な環境を突き付けられることで生じるものと、わたくしは考えています。
学童保育の支援員さんが、しょっちゅう変わることは当然ですが、育成支援(保育)にとって悪いことにしかなりません。学童保育「あるある」では、「新しい先生だよね、いつまでいるの?」と子どもに言われてしまう、というのがあります。子どもだってずっと同じ先生に関わりたいのに、それができないのですから、頻繁に支援員さんの顔ぶれが変わる学童保育所では、子どもの集団が落ち着くはずもありません。
もちろん、学童保育の組織運営者は、雇用した人材の定着に最大限の努力をしています。給与を上げたくても補助金が増えないし、あれこれと新たな指示や義務が国や自治体から課せられるとそれに対応せざるを得ず、ただでさえ人手が足りないのにさらに業務量を増やさざるを得ないこともあります。このあたりは、大きな制度上の問題で、いち組織・企業で対応できる範囲を超えてしまいます。それは引き続き、制度の改善を要望し続けるとして、組織運営者でできる範囲について、働き手が安心して雇用の継続を希望するような組織内での制度や体制を構築する必要があります。
では、どのような制度や体制を構築すればいいのでしょうか。一口に示すことは大変難しく、その組織・企業に適合した制度や体制があるのは承知していますが、一例を挙げるならば、「業務上、感染することが多い病気(学校伝染病や新型コロナ等)での休みは特別休暇(有給扱い)とすること」や、「特に心理面における困難についての相談窓口の整備」だったり、「きめ細かな手当の整備」だったりするでしょう。また、少人数職場での働きやすさを向上するためのソフト面の施策はすぐに取り掛かれるはずです。新採用した支援員さんがしっかりと業務に慣れるまでの細かなフォロー体制などが一例です。
財政措置が必要な施策は、すぐに実現することが難しいとしても、自治体と相談しつつ、人材確保のために必要な施策であることを、粘り強く交渉して理解してもらうことは、学童保育の組織運営者の重要な責務です。
この点で、学童保育の運営組織として増えているのは、公営学童や地域運営委員会、保護者会が運営していた学童保育から、NPO法人や一般社団法人に移行したスタイルの組織の場合は、新規採用者の定着を促進する労務政策の経験があまりないこともあって、効果的な施策を打ち出せず思うように採用者が定着しない事例もあるようです。まして、有志の保護者(OB)や職員が理事となって運営責任を負うというスタイルでは、運営責任者が専従ではないことから、自治体との交渉そのものすらできないケースもあるようです。
企業(営利企業)が行う学童保育では、指定管理を取るために自治体の意向を超えるような要望はそもそも行わないケースがあります。そうなると、いつまでたっても、現場で働く支援員さんたちの雇用労働条件は向上しません。
まずは、自分たち運営組織で実行できる、人材定着の施策を考えましょう。どんな小さなことでも、1つ1つの積み重ねは、働いている人たちの安心につながります。結果的にそれが育成支援の安定につながります。もちろん、あい和学童クラブ運営法人は、こうした問題に対しても、学童保育運営組織の取り組みのお手伝いをいたします。
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