学童保育の「小1の壁」をどう乗り越えるか。小1の壁問題の対策、解消を提案します。(前編)

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。学童保育事業の質的向上のためにぜひ、講演、セミナー等をご検討ください。

 前日(10月16日)の育成支援ブログ記事で、岡山市の学童保育待機児童について報じた読売新聞の記事をご紹介しました。岡山市では来年度の2024年度の待機児童が今年度の3倍以上の600人以上となる見込みという、かなり衝撃的な記事です。施設整備を進めてもなお、600人分足りないというのは、双子世帯もいるでしょうが単純に考えて600世帯近くの家庭が「小1の壁」問題に直面するということです。

 これは岡山市だけではないでしょう。全国どこででも、学童保育所入所のニーズが高まっており、すでに小1の壁が発生している(=学童待機児童が発生している)地域だけでなく、これまで待機児童が0人だった地域でも、もしかしたら来春は待機児童が発生するかもしれません。来年3月になって「学童に入れない!どうしよう!」では、手遅れです。

 来春、新1年生になるお子さんがいる家庭で、学童保育所への入所ができないと、保護者の仕事の継続に重大な影響があるという場合は、「今すぐ」対策に取り掛からねばなりません。小1の壁対策について「保護者だけの視点から考えた」方策をいくつかご紹介していきます。

<前提>
この記事で使用する「学童保育所」は、放課後児童クラブ(法令の基準を基に運営されている施設)を指します。その中でも、市区町村から運営を任されているクラブのことを指します。「入所に際して、何らかの選考があるクラブ」と考えてください。

<最初に行うこと>
・居住地域では、学童保育所に入りたくても入れない待機児童が発生しているかどうかの確認
 →地域の市区町村の役場に確認しましょう。学童保育所を運営している団体本部に問い合わせても、役所や役場に問い合わせるようにと案内されることがあります。もちろん、知り合いの先輩パパママに聞いてみるのも情報収集の1つの手段です。2022年度までの待機児童の状況については、50人以上の待機児童が発生している市区町村について国(2022年度分まで厚生労働省)が公表しています。「放課後児童クラブ 実施状況」で検索してください。

・お子さんが入所することになる学童保育所の「種別」の確認
 →ここで言う学童保育所は放課後児童クラブですが、地域によっては放課後児童クラブではない形式の「学童保育所」を設置している場合があります。「放課後子供教室」だったり「放課後全児童対策事業」と呼ばれる形式です。「子どもの居場所」としての機能は同じですが、厳密には事業目的が異なります。ただ、小1の壁を回避することが目標であれば、「子どもの居場所として、子どもを受け入れてくれるかどうか」が重要です。
 なお、全児童対策事業実施の地域であれば、少なくとも午後5時ごろまでは子どもの受け入れを人数制限なく行っている地域がほとんどです。午後5時以降の受け入れ状況について、確認するようにしましょう。

・入所手続きについての確認
 →当然ですが、入所申請の手続き期間中に、入所申請を済ませましょう。入所申請に際して、就労証明書の提出を求められる場合がほとんどです。案外、時間がかかりますから、保護者の勤務先に急いで就労証明書の記入をしてもらいましょう。

<特に注意!>
・「学校があるときは、特に学童の必要はない。親の帰りも午後5時過ぎだから。ただ、夏休みだけが不安」という家庭も多いでしょう。「だったら、夏休み前に申し込もうかな」というのは、絶対にお勧めできません。同じように考えている新1年生の保護者が圧倒的に多いのです。むしろ「夏休みの不安があるから、学童に早めに入れておく」保護者が多いと考えてください。
 つまり、4月から夏休みを迎えるまでは学童保育所はもう人数がいっぱいで、夏休みだけの学童保育利用は事実上不可能、ということです。これを「夏休みの壁」と呼びますが、「夏休みの学童保育が必要なら、4月から入所しておくこと」を私は強く勧めます。「4~6月分の利用料がもったいない」と思われるかもしれませんが、7~8月に毎日心配しながら勤務するより、よっぽど精神衛生上に良いです。
 夏休み入所だけが必要な世帯でも、4月から入所することが有利な点が他にもあります。「子ども同士の人間関係になじめるかどうかの問題があるから」です。学童保育所は、子どもたちが集団で過ごす場です。4月から一緒に過ごして学童保育所内での人間関係が子どもなりに構築されている世界に、7月の夏休み開始から学童に通い始めた子どもは、その世界になかなかとけ込めません。「同学年で、普段、学校で一緒だから。同じクラスだから大丈夫」とは、なりません。学童保育所では学童保育所での、子どもなりの人間関係が存在しています。そこに溶け込むにはやはり子どもにストレスがかかります。

 今回は小1の壁の問題について、最初に行うべき対策をご紹介しました。次回も続けて対策をご紹介します。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の持続的な発展と制度の向上を目指し、種々の提言を重ねています。学童保育の運営のあらゆる場面に関して、豊富な実例をもとに、その運営組織や地域に見合った方策について、その設定のお手伝いすることが可能です。

 育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供するとともに、個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。もちろん、外部の人材として運営主体の信頼性アップにご協力することも可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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