学童の先生を何と呼びますか?

 学童保育所(放課後児童クラブである場合も、そうでない場合も含まれます)が、そこで働いて子どもたちの支援、援助をしている職員を何と呼ぶのかについては、実は大いに意見が分かれる「難問」です。答えが出ない難問といえます。

 全国的に統一された規定やルールはありません。児童クラブを運営している事業者や、あるいはクラブ毎に異なっています。呼び方としては、「先生」呼称があり、「~さん」呼称があり、「あだ名、ニックネーム、愛称」呼称があります。それぞれに根拠や理由があって、その優劣はなかなか付けられません。

 「先生」呼称については、多分に無難です。児童クラブにおける職員は教員ではないので、教師という意味での「先生」ではありません。もっと広く一般的な意味での先生です。「goo辞書」には、こうあります。
「教師・師匠・医師・議員など学識のある人や指導的立場にある人を敬っていう語。呼びかけるときなどに代名詞的に、また人名に付けて敬称としても用いる。「—がたにお集まりいただく」「—、お元気ですか」「鈴木—」」
先生(せんせい)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書
 この使い方にあてはまります。よく、児童クラブにおける先生呼称について、職員自身または隣接する小学校側から「教師でもないのに先生と呼ばせるのはいかがなものか」という意見が寄せられますが、いわゆる人生の先達に当たる人への呼称でも「先生」を使うことがすっぽり抜け落ちています。

 「さん付け」は丁寧な言葉遣いを心がけようとさせる施設に見られます。ただ児童クラブではそれほど多くはないでしょう。むしろ、あだ名、ニックネームで子どもから呼ばれる児童クラブ職員はかなり多いです。これは、先に述べた「先生という指導的な立場ではない」という意味を強調し、職員と子どもとの関係性をより強固としたい意味合いが込められています。ただこちらについては、保護者の側から「大人をそんなあだ名で呼ぶなんて、教育上よろしくない」という反対意見が寄せられることがあります。

 児童クラブ職員に対する呼称については、実のところ、どんな形であるかというよりも、前提として児童クラブ職員と児童クラブに在籍している児童、子どもたちとの関係性の問題です。一方的な指導、服従被服従関係にあるか、それに近い関係であるのか、あるいは、子どもたちから「自分たちを守ってくれる大事な存在」として根底では尊敬、信頼という意識が存在して普段のやり取りが生じているのかどうか、それが重要なのです。児童クラブの子どもたちが職員に対して、口では「うるさいなーあっちに行けよ」と言うことがあっても実は困ったときには頼りにしている、悩みを相談する、という関係にあるなら、呼称が先生であろうがニックネームであろうが、実はあまりこだわる意味がありません。逆に言えば、親しそうなニックネーム呼ばわりでも子どもは内心、児童クラブ職員のことを信頼していない、頼りにしていなければ、その親しそうなニックネーム呼称は単なるうわべだけの言葉の響きにしか、過ぎないのですね。

 よって、どのような呼称にするかは、事業者が一律に定めようと、クラブ毎に自由に任せようと、運営支援としてはあまり重要視していません。もちろん、第三者が聞いて不快感を覚えるような呼称だけは避けたいですね。児童クラブは、子どもたちの集団生活を通じて子どもたちが社会的な規律、マナーを会得する場所でもありますから。ちなみに運営支援の代表の子どもが通っていた児童クラブは、「せんせい」の「せん」を使って{~せん」でした。これも児童クラブには珍しくない呼び方です。例えば「しらはま職員」なら「しらせん」であり、「くみこ先生」なら「くみせん」でした。

 (運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)