子どもが学童保育に行きたがらなくなるというのはなぜですか?

 小1の壁をうまく乗り越えて、無事に学童保育を利用できるようになった。あるいは「放課後全児童対策」なので何ら心配がなく子どもが小学1年生になって学童保育所、児童クラブを利用を始めた。これで安心して親が仕事に取り組めると思ったら、子どもが「学童に行きたくない」「クラブに行くのは嫌だ」と言い出すことは、実はまったく珍しいことではありません。いわゆる「行き渋り」という超難問です。なぜ子どもは親の気持ちをヨソに学童、クラブに行きたくないというのでしょうか。

 1つは「その場所が子どもにとって嫌だから、居心地が悪いから。つまり、居場所になっていない」ということがあります。特に「嫌な場所になっている」という場合、直ちに施設側と連携して対応する必要がある深刻な事情が存在する可能性があります。他の児童との間にトラブルとなっている、いじめ又はいじめに近い子ども同士の関係が固定化している、あるいは不適切な職員による不適切な関りがおこなわれている、などです。その場合はもちろん子どもも我が身を守るので「行きたくない」となります。

 また、子どもにとって種々の理由で居心地が悪くなっていることもあります。ほとんどの学童、クラブは、それほど広くないスペースに大勢の子どもがいます。その声による音量はとても大きく、静かな落ち着いた環境が好きな子どもにとっては苦痛です。しかもあまり広いスペースがないので、静かに落ち着いて過ごしたい子どものためのスペースjが確保できないことも当たり前に多いのです。そのような子どもにとって、静かに読書をしたり宿題をしたりしたい子どもには、居心地がとても悪い空間になってしまいます。暑い寒いなど環境面も。また、施設にある本やおもちゃが、知的好奇心を満たさない場合も、居心地が悪くなります。施設の方針で「外遊びを重視する」という場合、室内遊びが好きな子どもにとってはうれしくないでしょうし、その逆もまた当然。むしろ、外でたくさん遊びたいのに、施設側が、けがやトラブル防止として外遊びを一切させない方針である場合、アクティブに遊びたい子どもにとっては苦痛の時間と場所になってしまいます。

 他にも、子ども自身に取り組みたい、やりたいことが明確に芽ばえ、それは学童やクラブではできない場合も、行き渋りになります。この場合は子どもの自主性の成長ですから、安全面、防犯面には留意した上で、保護者は子どもと話し合って、学童やクラブではない世界で過ごすことができる可能性を探してみるべきでしょう。もちろん費用面の問題はありますが。

 否定的な問題、排除し解決するべき問題で行き渋りが起きたのか、それとも子ども自身の成長によって「他の世界で頑張ってみたい」という積極的な理由なのか、まずは「行きたくない」という気持ちについて、しっかりと子ども自身と話し合う事から始めましょう。

 (運営支援による「放課後児童クラブ・学童保育用語の基礎知識」)