夏休みを前に新型コロナ流行拡大。職員が感染して放課後児童クラブが閉鎖する事態を避けるのに保護者の理解を!

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。新型コロナウイルスがまた流行しているとのこと。夏休み、職員数がギリギリの中で開所している放課後児童クラブ(いわゆる学童保育所)の職員がコロナにかかったら、クラブが開けなくなる可能性があります。そうならないためには、保護者の理解と協力が必要です。
 ※基本的に運営支援ブログでは、学童保育所について「放課後児童クラブ」(略して児童クラブ、クラブ)と記載しています。放課後児童クラブはおおむね学童保育所と同じです。

<このタイミングで嫌な流行期突入>
 コロナウイルス、半年弱のペースで感染者数が増えたり減ったりを繰り返しているように見えますが、2024年7月はものすごい勢いでコロナウイルスの感染者が増えているようです。報道はすっかり減っているので気が付きにくくなっていますが、旧ツイッターの「新型コロナちゃん速報@コロナ後遺症 緊急地震速報 熱中症警戒アラート ChatGPT ニュース速報」では、データからコロナウイルスの感染状況の推移と傾向が一目瞭然なので、大いに活用したいものです。

 その「新型コロナちゃん速報」によると、沖縄県は以前なら警報レベルの感染拡大状況とのこと。四国も感染拡大で、関東も千葉県から感染が拡大している状況にあるとしています。7月14日午後7時33分の投稿では、「【超速報】日本全国77671人感染推計 新型コロナ 前週比1.3倍 実効再生産数1.082 うぅ😿連日7万人超えて、早くも8万人に近づいています。感染拡大時期です。しばらく感染拡大が続きそうなので感染対策したほうがよさそうです。」とあり、コロナの感染拡大には十分な対策、対応が必要だと警鐘を鳴らしています。

 昨年もその前も夏には感染拡大時期を迎えていた記憶があります。今年の夏も同じような状況なのでしょうが、今までと確実に違うのは、コロナに対する多くの人々の意識です。「コロナも風邪だよね」という意識がかなり広まっていると私には感じられます。以前のような行動制限が昨年春から撤廃されて、コロナも日常的に罹患する病気の1つという認識に落ち着きあるようですが、私も今年の3月にコロナにかかって実感しましたけれども、とてもしんどい症状でした。もちろん、個人差は当然ありますが、いわゆる「鼻かぜ」とか「夏かぜ」のような風邪とは違うものだという話はよく聞きます。そして後遺症で苦しんでいる人が大勢います。やはり、普通の風邪とは、まだまだコロナは違うではないでしょうか。

 そのコロナがこの時期、感染拡大を迎えている。放課後児童クラブにとっては毎日、朝から夜まで開所する時期に、です。

<保護者の方へ、くれぐれも守ってほしいこと>
 普段は意識することがないでしょうが、放課後児童クラブは、恵まれた事業者以外、常に人手が足りません。ギリギリの職員数で職場を回しています(まあ、介護、福祉の現場はおしなべて同様ではありますが)。つまり、職員がコロナにかかると、その厳しい症状が落ち着くまでは出勤できません。今も事業者によってはコロナになると1週間の出勤停止、という措置を継続している場合もあるでしょう。

 夏休みのコロナ流行でクラブ職員が相次いでコロナにかかったら、児童クラブに出勤できる職員が足りなくなります。そうなったらクラブは開所できません。条例で定められた職員配置基準を無視することはできません。つまり、有資格者を含んで決められている職員配置基準を無視して開所することができないからです。

 すると困るのは、子どもであり保護者です。子どもの居場所が機能しなくなりますからね。仕事を休まざるを得なくなります。休めなかったら子どもを留守番させなければならなくなります。
 職員も困りますよ。ノーワーク・ノーペイですから時給制で働く人はクラブが閉所したら、お金を稼げなくなりますから。他のクラブに応援に行って働けるかもしれませんが、感染拡大中のクラブに所属していた職員を、まだ感染が広がっていないクラブに勤務させることを忌避する考えは当然、あるでしょう。すると自宅待機になりますよね。この点において私は、事業者側にコロナやインフルエンザといった子どもから感染する可能性が多い疾患について、その治療のために数日休むときには、特別の有給休暇を付与する制度を導入してほしいと提言します。実際、私はそのような制度を導入し、職員から好評でした。

 さあまとめましょう。コロナに関しては、感染拡大防止の意識は以前より気にされなくなっている。ありていにいえば、コロナは単なる風邪だとして特に感染拡大に留意する行動は、人々が選択しなくなってきた。とはいえ、コロナの症状そのものは今も以前も同じで、症状はなかなか厳しい。重い。感染すると1週間はやはり動けないことが多い。児童クラブは常にギリギリの人数でまわしているのに、そこにコロナが感染拡大して職員が相次ぎ、いや、たった数人でもコロナにかかると、朝から夜まで人がほしい夏休みの期間、児童クラブで働く人が足りなくなって、クラブの開所ができなくなる可能性が高くなりますよ、ってことです。

 そしてその、クラブの感染拡大を招くとして考えられる1つの要因として指摘せざるを得ませんが、「保護者の無関心、無配慮」による感染拡大防止への行動がずさんになっている、ということです。「子どもの具合がちょっと悪そう。でも、仕事を休みたくないし、子どもをクラブに連れて行ってしまおう。体調が悪かったら室内でおとなしく過ごさせてくれれば大丈夫」という、油断した意識が保護者にあったら、その行動がきっかけでクラブ内でコロナの感染が拡大し、職員が感染するかもしれないということです。

 保護者の、コロナ感染拡大に関して誤った、軽視した対応が、クラブ内でのコロナ感染拡大を招く可能性の1つとして十分考えられるのです。もちろん職員の日常的な行動で、例えば買い物先や研修先、移動中に第三者からウイルスを浴びてしまうということだって大いにありえます。が、「体調が今一つよくない」状態にある子どもをクラブに登所させることは、より明確に感染拡大の可能性が高いといえます。コロナでなくても他の感染症だって同じことは言えますがね。

「子どもの体調が悪い時は、クラブ登所を避ける。自宅で静養させる。医師の診察を受ける」という当たり前のことを、当たり前に無視する保護者がいるとしたら本当に残念です。くれぐれも守ってください。当たり前の事です。100世帯あったとして90世帯はこの当たり前を守っていても残り10世帯が守らなかったら、意味がありません。

 同じように、朝は元気だった。だから登所した。それはまったく問題ありませんが、その後、日中になって急に子どもの体調が悪化したというときです。保護者は、できる限り早く子どもを迎えにいってください。クラブに長く滞在すればするほど感染症であれば感染拡大の可能性が高まります。「いや、仕事ってそんなに都合よく切り上げられない」は言い訳に過ぎません。

<自分だけが良ければいい、という姿勢は許せません>
 放課後児童クラブは就労等の事情がある保護者の活動を支えるために子どもを受け入れる仕組みであり、事情がある保護者のために存在しています。だからといって、自分自身の活動を遂行することを優先させたいがゆえに、体調がよくない子どもを「1日ぐらい大丈夫よね」「まだ37度ぐらいだから大丈夫」という甘い考えで児童クラブにつれていった結果、自分自身の活動はその日において実施できたとしても、その甘い考えに基づいた行動がきっかけとなってクラブ内でコロナが感染拡大し、職員や、他の子どもにコロナの症状が出てしまったら、公共の利益を考えた時に、大いに問題がある行動だと言わざるを得ません。「自分だけが良ければいい」という自己中心的な考えは絶対にやめていただきたい。

 あなたの家庭のためだけに、児童クラブが存在しているのではない。児童クラブを必要としている多くの子育て世帯のために等しく存在しているのです。ずさんな、緩んだ意識の中で、他人は関係ないという勝手な行動で、他の人たち、つまり「公(おおやけ)」に大きな影響を及ぼすようなことは、してはなりません。

 保護者のみなさんには今一度、「子育て世帯みんなのために存在している児童クラブ」の重要性を考えてください。身勝手なごくわずかな保護者の自己中心的な、他者への影響を想像しない行動でコロナの感染が児童クラブ内で拡大してしまい夏休みのクラブ開所に影響が出ないよう、今からでもいいのでしっかり意識を持って行動してほしいと願います。職員や、他の保護者さんが協力して、互いに意識高揚に努めることも必要ですね。事業者も、保護者には「体調がすぐれないときはクラブに登所させないようにしてください。たびたび繰り返されるときはクラブ利用を停止することがあります」等と厳しい態度も示すことも1つの手段でしょう。
 クラブを閉鎖させずに夏休みの子育て支援を遂行するために、皆ができるかぎりの協力をしましょう。そうやってコロナの夏を今年も乗り切りましょう。

<おわりに:PR>
※書籍(下記に詳細)の「宣伝用チラシ」が萩原の手元にあります。もしご希望の方がおられましたら、ご連絡ください。こちらからお送りいたします。内容の紹介と、注文用の記入部分があります。

 放課後児童クラブについて、萩原なりの意見をまとめた本が、2024年7月20日に寿郎社(札幌市)さんから出版されます。本のタイトルは、「知られざる〈学童保育〉の世界 問題だらけの社会インフラ」です。(わたしの目を通してみてきた)児童クラブの現実をありのままに伝え、苦労する職員、保護者、そして子どものことを伝えたく、私は本を書きました。それも、児童クラブがもっともっとよりよくなるために活動する「運営支援」の一つの手段です。どうかぜひ、1人でも多くの人に、本を手に取っていただきたいと願っております。1,900円(税込みでは2,000円程度)になる予定です。注文は出版社「寿郎社」さんへ直接メールで、または書店、ネット、または萩原まで直接お寄せください。アマゾンでは予約注文が可能になりました!お近くに書店がない方は、アマゾンが便利です。寿郎社さんへメールで注文の方は「萩原から勧められた」とメールにぜひご記載ください。出版社さんが驚くぐらいの注文があればと、かすかに期待しています。どうぞよろしくお願いいたします。
(関東の方は萩原から直接お渡しでも大丈夫です。なにせ手元に300冊ほど届くので!)

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の事業運営をサポートします。リスクマネジメント、クライシスコントロールの重要性をお伝え出来ます。子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。セミナー、勉強会の講師にぜひお声がけください。個別の事業者運営の支援、フォローも可能です、ぜひご相談ください。

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