人手不足に苦しむ学童保育の世界。人手不足を解消するには構造的な問題に取り組まなければなりません。その3

 学童保育運営者をサポートする「あい和学童クラブ運営法人」代表の萩原和也です。子どもの育ちを支える学童保育、保護者の安定した生活を支える学童保育、そして社会を支える学童保育を支援する「学童保育運営支援」の重要性と必要性を訴えています。

 学童保育(本稿では、放課後児童クラブのことを指します)の世界は継続的に慢性的な人手不足状態です。低賃金ゆえなかなか働き手が確保できない。働き手が少ないことや、学童保育の仕事は(なかなか知られていませんが)とても業務量が多いので、働き手が少ないと当然、長時間労働に迫られます。待遇が良くないので離職者も多いです。また、これは言いにくいことですが、低賃金ゆえ質の高い人材の確保が難しく、事業の質の向上もまた難しい。人手不足が、学童保育の世界を長年にわたって厳しい業界、つまりブラック業界に追い込み続けているのです。

 前回のブログでは、児童福祉法上における学童保育の位置づけの見直しを「児童福祉施設」に変更し、自治体は学童保育を必要とする者がいる限りは学童保育所を設置運営しなければならないようにすることが必要と訴えました。そうすることで、国も自治体も、学童保育への補助金を必要な額だけ必ず用意することになるからです。

 ここまでのところは、
・国が示す、補助金と保護者の負担の割合を現行の5割ずつから、補助金の負担割合を多くすること
・国:都道府県:市区町村が3分の1ずつである補助金負担割合を市区町村と都道府県が6分の1、国が3分の2とすること
・児童福祉法を改正し、放課後児童クラブを地域子ども子育て支援事業から児童福祉施設に位置付けを変えること
 この3点を訴えてきました。

 これで学童保育所をめぐる収入構造は大きく変わり、人手不足を解消するための人件費に充てられる予算が確保できる可能性はかなり高まります。しかし、まだまだ不完全です。というのも、人手不足を解消するには、「業務に見合った賃金、報酬が確保される」ことが大事だからです。保育所では、保育士の処遇が極めて悪いのに、経営者が莫大な報酬を得ている例が珍しくありません。「委託金の弾力的運用」という便利な仕組みをある意味、悪用している可能性が高いのですが、学童保育の世界においては、もともと巨額の報酬を経営者が得られるだけの補助金はそもそも出ませんが、それでも「なけなしの」補助金を運営本部が吸い上げてしまうという構造が、特に株式会社が運営する学童保育所に見られます。

 しっかりと報酬が職員に届くためには、「賃金条項付きの公契約条例を設定し、自治体が、学童保育所職員にふさわしい賃金額を最低保障すること」と、「学童保育での業務の質を担保するために、育成支援の事前準備時間を確保した就業時間の設定と、常勤職員の無期雇用を委託もしくは代行の条件とする」、この2点を合わせて実行することが必要なのです。

 前者は何度か紹介しています。自治体が民間企業に学童保育の運営を行わせる(委託契約、指定管理者制度、そのどちらを問わず)場合は、公の業務の代わりを民間企業に委ねることになるので、事業の質を一定以上に保つための職員の質と数の確保のため、その賃金の額を一定程度に設定する条例を自治体が設定するのです。これは、行政から学童保育所の運営を任された民間企業が、不必要に人件費を削減して剰余分を運営本体の利益として吸い上げることができる可能性を減らします。

 また後者は、民間企業の運営スタイルに踏み込むことになるので難しいのですが、育成支援の質を保つためには学童保育所で働く人の雇用の安定と業務に十分な就業時間の確保が極めて重要である、という当たり前の事を実現するために、「業務の柱となる常勤職員は無期雇用とし、就業時間を育成支援の業務を行うに十分な時間を確保する」ことを、自治体と民間企業との間で取り決める契約に盛り込むことはできるでしょう。当然、常勤職員を無期雇用としない場合や十分な就業時間を確保しない場合は契約違反となるため、次の契約更新からは外されるでしょう。もちろん、常勤職員数を契約より減らして配置する、ということは論外になります。
 就業時間を短くすることは人件費の抑制に最も簡単につなげられる方策ですから、株式会社運営の学童保育所だけでなく、公設公営の、会計年度任用職員で運営している学童保育所にもよくあります。それは、子どもの育成支援に十分な準備ができず、事業の質の低下に直結するため、できる限り排除したい方策でもあります。

 補助金の負担割合に関する部分を改善し、法的な位置づけを変え、そして自治体と運営組織との間の契約を充実させることで、学童保育の運営組織が確保できる予算は劇的に改善します。それをもって、人手不足は解消に向かうことができるでしょう。

 しかし、さらに大切なことがあります。運営組織側の「人件費の使い方」にもメスを入れないと、人手不足は解消できません。次回以降も、学童保育を苦しめる「人手不足」の解消についてさらに考えていきます。

 「あい和学童クラブ運営法人」は、学童保育の世界の発展と質的な向上のために種々の提案を発信しています。積極的に学童保育の現状や理想について社会に発信をしていきます。また、育成支援の質の向上に直結する研修、教育の機会を提供できます。学童保育業界が抱える種々の問題や課題について、具体的な提案を行っています。学童保育所の運営について生じる大小さまざまな問題について、取り組み方に関する種々の具体的対応法の助言が可能です。個々の学童保育所運営者様へ、安全安心な子どもの居場所づくりとその運営手法において、学童保育組織運営について豊富な経験を持つ代表が、自治体や学童保育運営事業者に講演や具体的な助言、アドバイスを行うことが可能です。

 子育て支援と学童保育の運営者の方、そして行政の子育て支援と学童保育担当者の方、ぜひとも子どもたちの安全と安心を守る場所づくりのために、一緒に考えていきましょう。どんなことでも「あい和学童クラブ運営法人」に、ご相談ください。子育て支援の拡充に伴い、今後ますます重要視されていく子どもの居場所づくり事業の充実のため、一緒に取り組んでいきましょう。

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